内臓脂肪を最速で落とす方法|原因・食事・筋トレ・サプリまで解説【医師監修】 (2/2)
内臓脂肪の落とす食事法
では内臓脂肪を減らすために、食事はどのように変えればいいのでしょうか。
筋肉を増やすたんぱく質を摂る
「内臓脂肪を燃焼させるには基礎代謝を上げることが大事です」と原田先生。基礎代謝はカラダの筋肉が多ければ多いほど上がるため、筋肉を作るたんぱく質を食事から摂ることが必要とも。
また、「たんぱく質はエネルギーを燃やすための酵素やホルモンの原材料でもある」とのこと。
食物繊維、EPA、DHAを一緒に摂る
「バランスよく3食食べることが大事ですが、3大栄養素の中でも炭水化物や脂質を減らして、内臓脂肪を燃焼させる働きのあるたんぱく質を多くとることをおすすめします。
糖質や脂質を排泄しやすくする食物繊維を一緒に摂ると効果的です。またいわし、さんま、サバなどの青魚に含まれる必須脂肪酸であるEPAやDHAは、コレステロールや中性脂肪の低下にも効果があります」(原田先生)
腹八分を目安に、ゆっくり噛んで食べる
「食事は腹八分目を目標に、ゆっくり噛んで時間をかけて食べることも、満腹中枢を刺激して少ない量でもお腹が満たされるようになります」と原田先生。
「内臓脂肪を減らすためには、揚げ物などの高カロリーな食品を控え、低カロリーな野菜や豆腐などを積極的にとり、バランスのよいメニューで食べ過ぎないことを意識しましょう」(原田先生)

内臓脂肪の落とす運動
では運動ではどんなことに取り組んだらよいのでしょうか。
「ちょっときつい」程度の有酸素運動30分以上
「30分以上の有酸素運動が脂肪の燃焼に適しています。強度は、ちょっときついと感じる程度がおすすめです。
1分間の心拍数で表すと最大心拍数*の40~60%程度の運動が脂肪燃焼によく、速足のウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳など続けられるものを選びましょう」(原田先生)
*最大心拍数(回/分)=220-年齢 または208-0.7×年齢にて算出
筋トレもおすすめ
「脂肪燃焼を促進させるアディポネクチンは、AMPKという酵素を活性化する働きがあります。AMPKはインスリンの働きをよくして、体内の糖質や脂肪やたんぱく質からエネルギーを作り出す働きを持っています。
筋力の収縮や、虚血と再灌流によってもAMPKは活性化するため、筋力トレーニングを続けることで脂肪を燃焼しやすい身体を作ることができます」(原田先生)
健康維持のためにも、筋トレは必須です!
たとえばこんなトレーニング。2分でも継続することで内臓脂肪をやっつけることができます。
内臓脂肪対策に活用したいサプリ&お茶
ダイエットをサポートするサプリメントには、「カット系」「燃焼系」「整腸系」の大きく3つに分類されるといわれています。どんなものがあるのか紹介しましょう。
カット系サプリメント
胃腸の中で食べたものを吸着し、消化吸収を遅らせる成分を含んだサプリメント。吸収を緩やかにすることで食事量を減らさなくても太りにくくする効果が期待できます。
燃焼系サプリメント
体脂肪の分解、代謝を高めて脂肪の燃焼を促進する成分を含んだサプリメント。加齢などによる基礎代謝の低下で、痩せにくくなった場合などに効果を期待できます。
整腸系サプリメント
便秘を解消し、お腹の調子を整える整腸成分を含んだサプリメント。食生活が乱れがちで便秘がちという場合に効果が期待できます。
トクホのお茶
最後に、ダイエットをサポートするお茶。TVCMなどでよく見る、内臓脂肪を減らすと謳った「トクホのお茶」など、内臓脂肪対策やダイエットサポートなどさまざまな商品が販売されています。
お茶に含まれる成分の中でも「茶カテキン」に、脂肪を燃焼する効果があるといわれています。なので、ダイエットや脂肪燃焼のサポート効果を期待するなら緑茶がおすすめ。
あわただしくストレスフルな日常の中で、急須でゆっくり淹れたお茶を飲んでホッとリラックスすることも、ダイエットや内臓脂肪を減らすために大切なひとときとなるはずです。
皮下脂肪、体脂肪との違い
日頃よく目に耳にする「内臓脂肪」や「皮下脂肪」、「体脂肪」という言葉。これらはすべて脂肪ですが、どんな違いや特徴があるのでしょうか。
皮下脂肪とは
皮下脂肪は皮膚のすぐ下、筋肉との間に蓄積されます。お尻や太ももなど下半身にとくに多くつきますが、二の腕などにもつき、全身につきます。
こちらは女性の方がつきやすく、少しずつじわじわとつき、減らしにくいといった特徴があります。

体脂肪とは
体脂肪とは、体に貯えられた脂肪の総称をいいます。
よく聞く「体脂肪率」は、体重に占める体脂肪の比率を表す数値のことで、男性で25%以上、女性で30%以上になると体脂肪量過剰(厚生労働省)とされています。
内臓脂肪と皮下脂肪は見分けられる?
内臓脂肪と皮下脂肪では脂肪がつく場所が異なるため、体形の変化や皮膚の感触、表面温度などで見分ける方法があります。自分がどのタイプなのか、チェックしてみましょう。
体型でチェック
太ももやお尻など下半身を中心に脂肪がつく「洋ナシ型」体型は、皮下脂肪型肥満。お腹に脂肪がついて大きく膨らんで丸いリンゴのように見える「リンゴ型」体型は、内臓脂肪型肥満。

皮膚の感触の違いでチェック
皮膚がやわらかく、皮膚の表面からつまめるのが皮下脂肪。皮膚が張っているような感触で、皮膚の表面がつまみづらいのが内臓脂肪。

皮膚表面温度でチェック
皮下脂肪は保温の役割を持つため、基本的に触ると温かい。一方、冷えているように感じたら内臓脂肪だと考えられる。
また、簡単な判断方法として、ウエストとヒップのサイズを計り、その比が0.9を超える場合は内臓脂肪型肥満、0.9以下なら皮下脂肪型肥満といわれます。
内臓脂肪はデメリットだけじゃない!?
お腹ポッコリ、リンゴ型肥満を引き起こす内臓脂肪ですが、不必要なものかというと、そうではないようです。「内臓脂肪は内臓を正常な位置に保持し、衝撃から内臓を守る役割を持っています」と、原田先生。
カラダにとって内臓脂肪は、実はなくてはならない存在なのだそうです。そこで、内臓脂肪のメリットとデメリットについて伺いました。
内臓脂肪のメリット
「脂肪燃焼、インスリンの働きの正常化、動脈硬化予防、高血圧予防、心臓の保護などの働きをするアディポネクチンの分泌があります。さらに、食欲を抑えるホルモンで、肥満抑制や体重抑制の役割を持つレプチンの分泌もメリットといえます」(原田先生)
アディポネクチンは脂肪細胞から分泌される善玉ホルモンの一種で、ヒトの健康維持に重要な役割を持つといわれる物質です。では、デメリットについてはどうでしょうか?
内臓脂肪のデメリット
「内臓脂肪過多になるとメリットであるアディポネクチンやレプチンの分泌が逆に低下してしまい、体重増加、動脈硬化の促進、血栓を作りやすくなります。また、高血圧、高血糖、血中コレステロールや中性脂肪の増加も引き起こしやすくなります」(原田先生)
内臓脂肪は、少なすぎても多すぎてもだめ。脂肪といえど、適度に保つことが大切なようです。
なお、体脂肪率とは別に、お腹(腹腔内)に蓄積された内臓脂肪がどれくらいのレベルかを示す「内臓脂肪レベル」があります。内臓脂肪レベルは動脈硬化疾患などの生活習慣病にリスクを判断する指標で、脂肪の蓄積状態を推定します。
内臓脂肪レベル 年齢別・男女別平均値
| 年代 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 20代 | 6 | 3 |
| 30代 | 8 | 4 |
| 40代 | 9 | 5 |
| 50代 | 10 | 7 |
| 60代 | 12 | 6.5 |
※判定レベル/1~10:標準、11~14:やや高い、15~18:高い、19~30著しく高い
体脂肪率や体脂肪レベルはあくまでも目安ですが、体組成計で計ることができます。たとえばタニタの体組成計ではほかに筋肉量判定、筋質点数、基礎代謝量、体年齢、推定骨量、皮下脂肪率などの項目があります。
メーカーによって計れる項目に違いはありますが、こういった機器を利用してチェックするのもひとつの方法です。
[監修者プロフィール]
原田明子(はらだ・あきこ)
医学博士・日本循環器学会専門医。2007年、台湾へ留学し中国医薬大学卒業後、台湾中医師免許を取得。2012年明クリニック院長、2021年より医療法人社団たいなTAINA渋谷クリニックにて内科、漢方内科、鍼灸治療に従事。
<Text:京澤洋子(アート・サプライ)>

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