「五月病の予防は連休前の過ごし方が重要」。精神科医が“ゴールデンウイーク明けを楽にするコツ”を伝授 (1/3)
ゴールデンウイーク明けの5月は、メンタル不調が起こりやすいと聞きます。大型連休が終わる最終日は「会社行きたくない」「仕事したくない」と憂うつな気持ちになる人も多いのでは。
こうした、いわゆる五月病の疑問や対処法について、出雲いいじまクリニック院長・飯島慶郎先生が回答しています。ズバリ、五月病を予防するカギは、連休前の3月~5月前半にあると言います。
Q.「五月病」という言葉は昔から聞きますが、実際、GW明けに体調を崩す人は多いのでしょうか。
A.ご指摘の通りです。小中高の子どもたちの不登校の始まる時期として、夏休み明けと並んで多いように思います。
大人の場合は、憂鬱な気分を訴える人はいるものの、真に病的な反応を呈するケースは少ないように思います。
Q.この時期に不調が起こる原因や身体的メカニズムについて教えてください。
A.「五月病」というのは正式な医学用語ではありません。五月病そのものを研究対象とした医学的な文献は極めて少なく、臨床家の「論考」といったものしか見当たりません。ですから、私も論考という形で私見を述べさせていただきます。
ネットを検索すると、一般に言われている五月病の症状は以下のようなものと考えられます。
- やる気が出ない
- 憂鬱な気分になる
- 集中力がなくなる
- 疲労感
- 眠りが浅くなる
- 身体症状(胃痛、食欲不振、頭痛、めまい、動悸など)
これらは、精神科・心療内科医がみると、病態としてうつ病性の症状だとすぐに感じられます。
しかしながら、全体としてうつ病と言えるほどの重篤さ(症状の重さのこと)や持続期間がないというのもまた事実です。
そのため、私は五月病については診断域値以下の「軽症」のうつ病だと考えるのが自然だと思っています。さらに悪化すれば、うつ病そのものと診断されることもあるでしょう。
こうした「軽症」のうつ病は、臨床上はたくさん存在していますが、昨今の診断基準(DSM-5やICD-10)を用いた場合、五月病に関しては診断がつかず、病気として扱わないことになります。
しかし、診断基準を用いない伝統的・慣習的な診断法を用いますと、五月病のうち身体症状がないタイプを「小うつ病」、身体症状が前に出ているタイプを「仮面うつ病」と診断することもできます(症状がある程度の期間続いていることが必要です)。
Q.こうした軽症のうつ状態が5月に起こるのはなぜでしょうか。
A.これに関しても学術的な研究はなされていません。学問的な答えはないのですが、私の臨床経験からお答えさせていただきます。