ヘルス&メンタル
2024年4月30日

「五月病の予防は連休前の過ごし方が重要」。精神科医が“ゴールデンウイーク明けを楽にするコツ”を伝授 (2/3)

まず、人間の「ストレス反応」についてお話いたします。

加わったストレスが極めて軽度の場合、その疲労は一晩で完全に回復できます。しかしある程度の強さのストレスが加わった場合は、一晩では完全に回復できず、次の日に疲労を残すことになります。

その場合、毎日同じようなストレスがかかると、疲労が徐々に積み重なっていく状態になります。疲労の持ち越しです。

ただ、この時点ではまだ本人に不調の認識はありません。

生理学でいうところの「ストレス反応」(病名として用いられるストレス反応・ストレス障害とは別物です)という、ストレスを一時的にしのぎ、対抗するための反応が起きるからです。

脳神経系の興奮を高め、疲労感を覆い隠してしまう反応ですね。

これが生体に備わっているため、たとえ疲労を持ち越していてもパフォーマンスを落とさないで活動できるのです。

このため、知らず知らずのうちに疲労が積もり積もっている人がかなりいるはずです。こういう人たちは、五月病やうつ病の発症予備軍と考えられます。

フル稼働で疲労を覆い隠してくれていたストレス反応は、あくまでも一時しのぎのためのシステムであり、ゴールデンウイークのような比較的長期の休息により、一旦終了すると考えられます。

しかし、休み明けの時期になっても、積み重ねてきた疲労の回復が追いつかず、疲れを抱えたまま再び仕事や学校に戻る必要が出てきます。

しかしこのときはストレス反応系自体も疲労しており、すぐに再起動ができずに疲労を覆い隠せなくなっているのでしょう。

つまり、回復できずに残った疲労と疲労感だけが全面に出てしまうことになり、一時的なうつ類似状態をきたすことになる。というのが私の考える五月病のメカニズムです。

ストレス反応の観点からみると、うつ病自体もストレス反応系の長期にわたる破綻と捉えることもできます。したがって、以下のように理解できるというのが筆者の感覚です。

  • 五月病=ストレス反応系の再起動に時間がかかっている状態
  • うつ病=ストレス反応系の再起動がまったく起きない状態

次:休暇に入る以前にしておくといいこと

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