「五月病の予防は連休前の過ごし方が重要」。精神科医が“ゴールデンウイーク明けを楽にするコツ”を伝授 (3/3)
Q.GW明けの不調を起こさないために、休暇に入る以前にしておくといいこと、休暇の過ごし方、有効なリラックス法などがあれば教えてください。
A.五月病の予防は、休暇に入る前の過ごし方がいちばん大切だと思っています。
先に述べた通り五月病は、卒業・進学・進級・就職・転勤など行事が多い3月~5月前半に生じた疲労の蓄積もとになっていると考えられます。
ここで大切なのは嬉しいこと、楽しいこと、おめでたいことも疲労とストレス反応を引き起こすという視点です。
とくに祝い事などはなおさら疲労感を感じにくく、自分が疲労しているということはなかなか気づきにくいでしょう。ストレスは「変化」に対して生じるのです。
そうしたことを理解したうえで、この時期の疲労の蓄積をいかに予防するかということが大切です。
「疲労感は感じていなくても疲労はあるのだ」ということを自覚し、自分が興奮しすぎていないか(興奮は疲労を隠します)をときどきチェックし、意図的な休息をしっかり取りましょう。
すこし興奮しすぎているな(≒ストレス反応が起こっている)と気づいたときは、目を閉じて深呼吸をするのがおすすめです。
- 4秒かけて吸い込む
- その状態で4秒止める
- 4秒かけて吐き出す
4秒はあくまで目安であり、3秒でも5秒でも構いません。
吐くときに体中のちからが抜けるようにイメージしてみましょう。深呼吸の回数を重ねるほど体から力が抜けていくのがわかると思います。
まとめ
✓ 3月~5月前半は変化が多く疲労が溜まりやすい時期である
✓ ストレスが積み重なっても「ストレス反応」が作動し、疲労(ストレス)を感じにくくさせている
✓ 「ストレス反応」は長期休みでいったん停止してしまうが、積もり積もった疲労は回復しておらず、休み明けは疲れが前面に出てしまう
✓ 3月~5月前半にこまめにストレスケアを行うことが、五月病対策のカギ
✓ 「目を閉じて深呼吸を行う」は有効なリラックス法である
執筆・監修者プロフィール
飯島慶郎(いいじま よしろう)
精神科医・総合診療医・漢方医・臨床心理士。不登校/こどもの大人の漢方・心療内科 出雲いいじまクリニック院長。診療科の垣根を超えた総合的な心身医療を行う。他院で解決できない複雑な病態、とくに不登校児の診療や不定愁訴(心身におこる様々な原因不明の症状)を得意とする。全国で初めての「不登校専門クリニック」を開設し、社会問題の解決に尽力中。
<Edit:編集部>