ウェルネスフード
2024年10月23日

柿の食べ過ぎ、どのぐらいからヤバイ?胃石や腹痛、下痢…1日何個までがセーフなのか (2/2)

柿の食べ過ぎは「柿胃石」やお腹を壊すリスク大!

栄養価も高くおいしい柿ですが、食べ過ぎることで体に不調が現れることがあります。注意すべき症状と、その原因を解説します。

柿の食べ過ぎによる「柿胃石(かきいせき)」

大量のタンニンを一度に摂取すると、「胃石(いせき)」ができます。

胃石とは胃の内部に石のようなものが生じる症状で、胃痛や胃潰瘍、吐き気や食欲不振、腸閉塞の原因になります。

  • タンニン豊富な柿ゆえに「柿胃石」の原因に

タンニンが胃酸と混ざって変化し、食物の成分が加わることで胃石ができやすくなるようです。柿を食べ過ぎて胃石が生じる方が多いことから、「柿胃石」と呼ばれることもあります。

胃石が生じても、大半は便として排出されます。しかし胃石が大きくなると胃や腸の中で動かなくなり、場合によっては手術が必要になるでしょう。

柿に限らず、タンニンを豊富に含む食材を食べるときは注意が必要です。

柿の食べ過ぎによる「冷え症」

柿を食べることで、体が冷えると言われています。体が冷えるとお腹を壊したり、免疫力が低下したりといった不調が現れてきます。

お腹が冷えやすい方、産後の方、普段から冷え症や貧血気味の方は注意が必要です。柿を冷やして食べるとさらに体を冷やしてしまうので、常温や温めるのがおすすめです。

柿の食べ過ぎによる「下痢・便秘」

食物繊維は、腸内環境を改善する効果を持ちます。一方、過剰に摂り過ぎることで下痢や便秘を引き起こすことがあります。

水溶性食物繊維を過剰に摂ると、便が柔らかくなり過ぎて下痢になるおそれがあります。

また、不溶性食物繊維によってかさが増した便を排出できないと、便秘が悪化するおそれがあります。腸の働きが低下している方は、とくに注意しましょう。

食物繊維をたくさん摂れば便秘は解消される?|マッスルデリ管理栄養士が解説

柿に多く含まれる不溶性食物繊維は、前述の通り便のかさを増す働きを持っています。そのため、摂り過ぎるとお腹の張りが気になる方もいるようです。

柿はどのぐらい食べていい? 1日の推奨摂取量

柿の食べ過ぎによる不調を避けるために、1日の推奨摂取量を確認しましょう。また、生柿だけではなく干し柿についても解説します。

生柿の推奨摂取量は1日1個

柿を食べる際は、1日1個を目安にしましょう。

柿は果物のなかでも糖質やカロリーが高く、1個あたり糖質30~40g、カロリーは120~150kcal含まれているので、食べ過ぎることで肥満になるリスクもあるでしょう。

干し柿の場合も1日1個

干し柿は小さいためたくさん食べがちですが、生の柿に比べて栄養が濃縮されています。1日あたり1個程度の摂取に留めておきましょう。

干し柿1個あたり(30g)に含まれる栄養素は、以下の通りです。

  • ビタミンC:1mg
  • β-カロテン:110μg
  • カリウム:200mg
  • 食物繊維:4.2g
  • タンニン:1,500mg
  • 糖質:21.2g
  • カロリー:82kcal

干し柿は量が少なくても豊富な栄養素を含みます。生の柿と同様に食べ過ぎには注意してくださいね。

柿をたくさん食べてはいけない人の特徴

以下のような特徴を持つ方は、とくに柿を食べるときに注意が必要です。自分に当てはまらないか、チェックしてくださいね。

冷え症の人

冷え症の方は、柿を食べることでさらに体が冷えるおそれがあります。食べるときには柿を温めたり、服装や室温を暖かくしてから食べるようにしましょう。

とくに、手足が冷える末端冷え性の人は要注意。柿を食べることで手足の皮膚温度が下がると言われています。

お腹が弱い人

お腹が弱く普段から下痢をしやすい方は、柿に限らず食物繊維を多く含む食材には注意が必要です。食物繊維で胃腸に負担をかける恐れがあるので、お腹の調子が悪いときは食べるのを控えましょう。

さらに、柿の体を冷やす効果によってお腹が冷えて痛むこともあります。腹巻や湯たんぽを使うとよいでしょう。

高血圧治療薬・貧血治療薬を飲んでいる人

前述の通り、タンニンには血圧を下げる効果があると言われています。

既に高血圧治療薬を飲んでいる方の場合、血圧が下がりすぎる恐れがあるので、一度に大量の柿を食べないように注意しましょう。

貧血治療薬の鉄剤は、タンニンと結合することで吸収が妨げられて、薬の効果が弱まることがあります。貧血治療薬を飲んでいる方も、同様に注意してください。

心配な方は医師や薬剤師に相談してみましょう。

安心して柿を食べる方法は「量」「タイミング」「食べ合わせ」

注意点があるとはいえ、柿は栄養価も高く、食べることによるメリットも多い食材です。安全に柿を食べるための方法を3つ紹介します。

食べる量を守る

生柿も干し柿も、食べるときは1日1個程度にしましょう。先述の通り、食べ過ぎると胃石や腹痛、肥満の原因になる恐れがあります。

また、他の食べ物との栄養バランスにも注意すると安心です。

たとえば柿を食べる日に食物繊維が豊富な食材を多く食べると、下痢や便秘を引き起こす可能性があります。

食後に食べる

柿に含まれるタンニンは、胃酸と反応して胃石になると言われています。胃石防止のためにも、柿を食べるときは空腹時ではなく、食後のデザートとして食べるようにしましょう。

ただし、二日酔い防止のためには飲酒前に食べるほうが効果的です。その場合も、空腹時ではなく少し何かを食べてから柿を食べるのがおすすめです。

タンニンが多い飲み物を控える

柿以外にもタンニンを多く含む食材はあります。柿を食べるときは、タンニンが多い飲み物を控えるようにしましょう。

緑茶、コーヒー、紅茶、赤ワインはとくにタンニンが多いと言われています。

柿は適量をおいしく食べることで効果が期待できる

食べ過ぎると不調が現れる原因となるものの、柿は栄養価も高くておいしい果物です。喉の炎症や咳を抑えるなど、柿が旬を迎える冬には嬉しい効果もあります。

食べる量に気をつけながら、柿を味わってくださいね。

参考 食品成分データベース

監修・執筆者プロフィール

あんしん漢方薬剤師 山形 ゆかり

薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師を経て食養生の大切さに気付く。

牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニューも開発。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘル-Youtubeチャンネルで簡単薬膳レシピ動画を公開中。

症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」で薬剤師を務める。

<Edit:編集部>

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