インタビュー
2018年2月14日

「バク転の練習を続ければ、人生観が変わりますよ!」池谷幸雄が語る体操の魅力(後編) (1/2)

 東京都小平市にある『池谷幸雄体操倶楽部』は、池谷幸雄さんの直接指導も受けられる体操メインのスポーツクラブです。中でも注目の「バク転コース」は、このクラブで唯一成人も参加できるコース。

 前編では運動偏差値20のライターが、池谷さんご指導のもと補助付バク転に挑戦しました。後編では、池谷さんの体操への思い、クラブ運営への情熱、バク転コースで成功するコツ、そして、バク転を志す意味についてお伺いしました。

体操が人間の基本を教えてくれた

――池谷さんが体操を始めたのはいつ頃ですか?

4歳の頃からです。当時は相模原みどりスポーツクラブに通っていたのですが、僕はクラブを「仮面ライダーの学校」だと思っていて(笑)。ここで頑張れば、いつか仮面ライダーになれるんだ! と一所懸命通っていました。でも、そのうち体操競技の楽しさにハマって、小学5年生のときにはすでに体操に命をかける覚悟をしていました。体操は一歩間違えれば大変なことになるスポーツなので、子どもながらに万が一のことを覚悟していたんですね。それほど、体操が大好きな子どもでした。

――『池谷幸雄体操倶楽部』を作られたきっかけは?

僕は「挨拶をする」とか「返事をきちんと返す」とか、「人の話をしっかり聞く」とか、そういった“人間の基本”を、すべて体操に教えてもらったんです。「自分」という人間の、一番大切な基礎を作ってもらった、という恩があるので、その恩返しとして「世界でメダルを獲れる選手を育てよう」と考えました。いまはヘタに子どもを叱ると、虐待や体罰に誤解されてしまうなど、躾や教育が難しい時代になりましたよね。ここでは体操を教えるのはもちろんですが、そういった躾や教育の場としても使っていただけたら、と思っています。

――『池谷幸雄体操倶楽部』ならではの特徴を教えてください。

このクラブでは、バク転コース以外は全て未成年の方に向けて運営しています。メダリストを育てる「ジムナスト」というコースと一般のコースがありますが、全てのコースを、実際に競技を行っている経験豊富なコーチたちが指導をします。特にメダルを目指す子どもたちにとっては、専門家の実践的な指導は大きなアドバンテージになると思っています。

大人が子どもに交じって体操教室で練習することは恥ずかしくない!

――体操は、身体能力が高くないとできない、というイメージがあるのですが。

そんなことはありません。体操は、自由に体を動かせるようにする基礎的なトレーニングなので、すべての人に向いているスポーツだと思います。うちの「ベビー・ジム」というコースなんて、歩き始めたばかりの子どもが通っていますよ。そんなスポーツ、ほかにあまりないですよね。ジムナストのような専門性の高いコースは別ですが、一般のコースでは「逆上がりができない」とか「体育の授業が苦痛」とか、そんな子どもたちもたくさん通ってきています。体力や筋力は充分にあるにも関わらず、体の動かし方が分からないために、簡単なことができずに悩んでいるのです。

このクラブでは、遊びの延長みたいにしてどんどん体を動かすので、逆上がりなどはすぐできるようになりますよ。できるようになって、すぐに退会してしまう方もいて困るくらいです(笑)。運動が苦手な子どもには、とくに体を自由に動かす喜びを知ってほしいんです。だから、苦手意識のある子どもほど、どんどん来てほしいですね。

――バク転コースは、どのような方が多いのですか?

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