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2025年3月26日

ヒゲなの?「鼻の下の黒ずみ」考えられる原因を皮膚科医に聞いた

鼻の下が黒ずんで見えるけど、ヒゲなの? 剃っても消えないし、何が原因なんだろう。皮膚科医・本間有貴先生に聞きました。

黒ずみの原因は「肝斑・色素沈着・産毛」のどれか

本間先生:鼻の下の黒ずみは主に、肝斑、色素沈着、産毛などの原因が挙げられます。自分の黒ずみがどれに当てはまるのか、チェックしてみましょう。

原因1 肝斑(かんぱん)

肝斑とは、ホルモンバランスの乱れによって発症するシミの一種です。鼻の下以外にも両頬、顎などに左右同じ形で現れます。

妊娠・出産の後や更年期などに、ホルモンバランスが変化し、肝斑が悪化することがあります。紫外線などの刺激も要因になっていると考えられています。

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原因2 色素沈着

次のような肌への摩擦や刺激による色素沈着で、鼻の下が黒ずんで見えることがあります。

  • ニキビの炎症によるダメージ
  • ムダ毛の自己処理によるダメージ
  • 合わない化粧品による皮膚炎

これらは肌のバリア機能を低下させて、肌に刺激を与える要因となります。

原因3 うぶ毛

1本1本は目立たないうぶ毛でも、密集していると黒ずんでいるように見えてしまいます。

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黒ずみのケアは「刺激を与えず」「肌に良い環境」を作ること

本間先生:鼻の下の黒ずみをケアする方法は、主に5つあります。原因にあわせて行うと良いでしょう。

1. 洗顔・クレンジングの摩擦を避ける

肝斑・色素沈着が原因で黒ずみが目立つ方は、洗顔やクレンジングの摩擦に注意しましょう。ゴシゴシ洗いは肌の刺激となり、黒ずみがさらに濃くなる可能性があります。

クレンジング方法…たっぷりのクレンジング剤を両手に伸ばして、優しく肌を滑らせます。顔全体に馴染んだらぬるま湯で流しましょう。

洗顔方法…指でゴシゴシ洗うのではなく、泡で肌を押し洗いします。その後、ぬるま湯で洗い流しましょう。

2. 日焼け止めを塗って紫外線対策をする

肝斑や色素沈着は、紫外線を受けるとさらに濃くなってしまう可能性があります。外出しない日でも、日焼け止めを塗りましょう。

とくに、口周りは日焼け止めが落ちやすいので、2~3時間で塗り直すことをおすすめします。

3. 美白成分が入った化粧品を使う

肝斑や色素沈着は、美白成分が入った化粧品によるケアがおすすめです。

▼おすすめの美白成分
ビタミンC誘導体…メラニン色素の生成を抑制し、還元する働きを持つ
プラセンタ…メラニン色素の生成を抑える。代謝アップなどの効果も期待できる
アルブチン…メラニン色素の生成を抑える
ハイドロキノン…メラニン色素の生成を抑制し、還元する働きを持つ
トラネキサム酸…メラノサイトの活性を抑える

※メラニン色素…肌や髪の毛などの色を作る色素

※メラノサイト…メラニン色素を作り出す細胞

また、美白成分の働きを十分に発揮するには、保湿ケアも重要です。コラーゲンやセラミドなどの高保湿成分が入ったものを使用しましょう。

4. 生活習慣を整えてターンオーバーを促進させる

ターンオーバーによって、メラニン色素を含んだ角質が排出されれば、鼻の下の黒ずみにアプローチできるでしょう。ターンオーバーを促進するには、次のことを意識してください。

  • 6~8時間程の睡眠時間を確保する
  • バランスの良い食事を摂る
  • 適度な運動を行う
  • 紫外線や乾燥から肌を守る

5. 肌に負担のないように産毛を処理する

黒ずみの原因が産毛であれば、処理をすることで黒ずみが軽減されると考えられます。しかし、肌に負担をかけないように行わないと、色素沈着を起こすリスクがあるので注意しましょう。

カミソリや毛抜きなどによるセルフケアは、肌を傷める原因になります。しっかり保湿して、できるだけ肌に刺激を与えないように産毛処理を行ってください。

産毛が濃い人は医療脱毛も検討しよう

産毛処理には医療脱毛をおすすめします。医療脱毛は産毛を除去するという効果だけでなく、自己処理による刺激、色素沈着などのリスクを軽減できるメリットがあります。

また、永久的に毛が生えないようにするので、終了すれば産毛処理による肌ダメージを受けることがなくなります。

改善しない場合は皮膚科で相談を

Q. ケアを続けても、メイクをしても、鼻の下の黒ずみが消えません……。どうしたらいいでしょうか?

本間先生:セルフケアをしても変化がない方や、早く綺麗にしたいという方は、皮膚科での治療も検討しましょう。「レーザー治療」「内服薬による治療」「塗り薬による治療」があるので、医師と相談して決めてください。

カウンセリングの際は、費用面や治療期間などが説明され、その方にとってより良い治療を決定します。ご自分にぴったりの治療をするために、色素沈着の原因として思い当たることを医師に伝えましょう。治療法を選ぶときに、参考になることがあります。

治療法1 レーザー治療(レーザートーニング)

肝斑や色素沈着にレーザーをあてて、メラニン色素にアプローチしていきます。

レーザートーニングという弱いレーザーは、肝斑や色素沈着を悪化させずに、メラニン色素を排出できると考えられています。ダウンタイムはほぼありませんが、マイルドな治療なので、複数回治療が必要なケースが多いです。

効果…色素沈着や肝斑の改善
副作用…一時的な赤み、火傷・肝斑が濃くなるリスクがある
費用目安…1回10,000円~

治療法2 内服薬による治療

色素沈着や肝斑の改善に効果が期待できる、トランサミンやシナールなどの内服薬を服用する治療です。

メラニンの還元や、生成を抑制する効果が期待できます。肝斑の方は、まず内服薬から治療を開始することが多いです。

血栓症のリスクがある人は、トランサミンを内服することができまないので、必ず医師に相談をしてください。

効果…色素沈着や肝斑の改善・肌のターンオーバーが促進される
副作用…食欲不振、吐き気、下痢など
費用目安…1ヶ月2000~5000円程度

治療法3 塗り薬による治療(ハイドロキノン)

ハイドロキノン含有のクリームなどを塗って、肝斑やシミにアプローチします。ホームケアによる治療です。

ハイドロキノンには、メラニン色素を排出させる効果が期待でき、色素沈着のない肌を目指すことができます。塗り薬で治療したい人へおすすめです。

効果…色素沈着やシミの改善
副作用…赤み
費用目安…5,000円~

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▼参考
日本形成外科学会 しみ

監修・執筆者プロフィール

よこはま港南台形成クリニック
本間 有貴

札幌医科大学医学部卒業。横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局。関東労災病院 形成外科、横浜市立大学附属市民総合医療センター形成外科、横浜市立大学附属病院 形成外科、平成30年10月より小田原銀座クリニックに勤務。令和2年6月よりよこはま港南台形成クリニックに勤務

<Edit:編集部>

※本記事は、mocobe(モコビ)で掲載されていた内容を移管し、加筆・修正したものです。