
毎日飲んでるけど意味ある?野菜ジュースで“期待できる効果”と“落とし穴” (1/2)
野菜不足だからと、野菜ジュースを毎日飲んでいる人もいるかと思います。完全に野菜の代わりにはならないのは理解していても、どれくらい栄養や効果はあるのか知りたいですよね。
実は、野菜ジュースには摂りやすい栄養素や摂りづらい栄養素があります。野菜ジュースを活用するメリットについて、管理栄養士の神原李奈先生に聞きました。
野菜ジュースで野菜不足は補える? 野菜ジュースで摂取しやすい栄養素・しにくい栄養素
──もっとも気になるのが「野菜ジュースで野菜不足は補えるのか」という点。これに対して、神原先生は一定のメリットはあるものの補いきれないとしていますね。
神原先生:野菜不足を補うことはできます。しかし、ジュースからの摂取が難しい栄養素も含まれているため、野菜を食べることの代用にはなりません。
食物繊維を丸ごとジュースにするスムージーとは異なり、野菜ジュースには食物繊維が少ないのが特徴です。また、ビタミンCも製造過程で失われる可能性が高く、加工後に添加されている製品もあります。
逆に、「リコピン」や「βカロテン」は、生野菜を食べるよりも加工品の方が体内での吸収が良いので、野菜ジュースから摂ると良いでしょう。
また、鉄分やカルシウム、カリウムなども、製造過程で変化しにくい栄養素なので、野菜ジュースから手軽に摂取することも可能と言えます。
──最近は機能性表示食品などさまざまなメリットを記載した野菜ジュースが多いですが、本当にパッケージどおりの効果はあるのでしょうか?
神原先生:農林水産省や消費者庁によって、商品の表示内容に関する基準が細かく定められています。そのため、基本的には各メーカーはその表示基準に則ってパッケージに表記しています。
製品に含まれる栄養素が記載されている「栄養成分表示」ですが、栄養素によっては時間の経過とともに減ってしまうものもあるため、賞味期限内に保証できるものとなっています。
また、メーカーによっては厚生労働省が設定している一日の野菜摂取量である350gから摂れる栄養素の量を調べ、それを基準に野菜ジュースを製造しています。そのため一日分と表示していても単純に350gの野菜を使ったジュースではないものもあります。
ビタミンCなどは、製造過程や保管状況によって失われることがあるため、ゼロと表示している製品もあります。
──糖分、添加物などが気になりますが、毎日飲んで問題ないでしょうか。
神原先生:野菜ジュースは毎日飲んでも問題はありませんが、飲みすぎには注意が必要です。糖分だけでなく、塩分、カリウムなどの摂りすぎになる可能性があります。パッケージに目安量の記載があるものは、それを目安にしましょう。
製造過程で失われてしまう野菜や果物本来の香りを補うために、天然香料を添加している製品もあります。残念ながら、具体的にどのような香料を使用しているのかは表示ではわからないため、詳細を知りたい場合はメーカーに問い合わせると良いでしょう。
とはいえ、食品添加物に関しては、厚生労働省で使用基準が定められているため、過剰に飲みすぎなければあまり気にすることはありません。
市販もいいですが、自作のジュースの方が食材も選べますし、ミキサーを使用すれば食物繊維も効率よく摂取できます。添加物が心配な方にもおすすめです。
──毎日飲む野菜ジュースの適量は。
神原先生:健康に良い影響を与える可能性があるとしても、たくさん飲めば良いということではありません。目安量の記載がないものは、一日200ml、カップ1~2杯を目安に飲みましょう。
──毎日の野菜ジュースだけで健康維持できるでしょうか。
神原先生:残念ながら毎日の野菜ジュースだけで健康を維持するのは難しいでしょう。健康は、栄養バランスの良い食事、運動、睡眠などにより維持されます。
ですが、野菜ジュースを飲むことで身体に良い影響を与えることはできるかもしれません。
──野菜ジュースはいつ飲むとよいでしょうか。朝、夜など。
神原先生:野菜ジュースを飲むのなら、夜寝る前よりも朝がおすすめです。リコピンなど栄養素の種類によっては、朝に吸収率が高いからです。
またリコピンは、オリーブオイルや乳製品などの油脂類と一緒に摂取すると、より吸収率があがります。ジュースをアレンジしてスープを作り、オリーブオイルを少し垂らすなどしてもおすすめですよ。
なお、糖分の摂取により太る原因になる可能性があるため、寝る前に飲むのはおすすめできません。
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