2025年6月2日

虫歯になりやすい「意外な食べ物」とは?歯科医が解説 (3/3)

「酸」にも注意! お酢やレモン、炭酸飲料は歯を溶かす?

酸蝕症は主に「飲食物の酸」によって、歯表面のエナメル質が溶かされてしまう状態です。口の中は通常、唾液による作用で「中性」の状態に保たれています。

しかし、酸を含む食べ物を頻繁に食べると、中和が間に合わなくなって口の中が「酸性」に傾き、少しずつ歯が溶けてしまいます。

とくに口の中が乾燥している人は、唾液分泌量が低下して「酸性」になりやすい傾向があります。

酸蝕症になるとこんな悪影響が!

酸蝕症によって、歯の表面が溶けると、以下などの悪影響が生じる場合があります。

・歯がキーンとしみるようになる(知覚過敏)
・虫歯が発生しやすくなる
・歯の噛み合わせが変わり、物を噛みにくくなる
・歯が黄色っぽくなる

酸蝕症になりやすい食べ物

酸蝕症になりやすい食べ物としては、次のようなものがあげられます。

・レモン、グレープフルーツ等の柑橘類
・酢
・ワイン
・ビール
・コーラ等の炭酸飲料
・クエン酸を含むスポーツ飲料

「チーズで初期の虫歯が治る」って本当?

WHOのレポートによると、チーズを食べる習慣は、歯の修復(再石灰化)を促すと考えられています。そのため、初期虫歯であれば改善に役立つ可能性があります。

歯の再石灰化には、唾液の働きが関係しています。チーズを食べると酸性に傾いた口内が「アルカリ性」になり、よく噛むことで唾液が分泌されます。

さらにチーズには「リン酸カルシウム」が豊富に含まれているため、唾液にミネラル成分が供給され、歯表面のエナメル質が修復されやすくなります。

また、「歯表面を保護する膜」を形成する作用もあるため、酸から歯を守り、虫歯予防にもつながります。

「硬め」チーズを「食後」に食べるのがおすすめ!

少し硬いタイプのプロセスチーズ、ナチュラルチーズなどがおすすめです。また、食べるタイミングは、食後に2~3口程度のチーズをよく噛んで食べることが虫歯予防に有効と考えられています。

■「口の中をアルカリ性にする食べ物」を食べよう

口の中(身体の中)がアルカリ性になると、唾液の働きが向上し、歯を溶かす「酸性の状態」になる時間を減らしてくれます。口の中をアルカリ性にする以下のような物を食べるといいでしょう。

・チーズ
・梅干し
・海藻類(ひじき、わかめ、昆布等)
・豆類(大豆、インゲン豆等)
・野菜全般(さつまいも、ごぼう、ほうれん草等)

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食べ方で虫歯予防はできる?

菊地先生:次のような食べ方を意識することで、口の中が酸性になる時間を減らせます。これにより、歯の再石灰化が促されやすくなるので、虫歯予防につながります。

・決まった時間に食事を摂る(間食を控える)
・就寝前に酸性の飲食物を摂らない
・食事中や食後に水やお茶を飲む
・よく噛んで食べる(唾液の分泌を促す)

虫歯につながるNGな食べ方

反対に、次のような食べ方は、口の中が酸性になる時間が増えてしまい。歯が溶けやすくなってしまうため要注意です。

・ダラダラと食べ続ける
・飲食物を飲み込まず口の中に留める
・間食が多い
・食事中や食後に水分(水やお茶)を摂らない
・甘いものをよく食べる

虫歯になりにくい5つの習慣

菊地先生:虫歯になりにくい状態を保つためには、口内を清潔に保ち、乾燥させないことが大切です。具体的な対策として、以下が有効と考えられています。

・毎食後歯を磨く(歯磨きができない場合は口をすすぐ)
・フッ素配合の歯磨き粉を使用する
・デンタルフロスや歯間ブラシを活用する
・口内の乾燥を予防するためガムを噛む(砂糖不使用タイプ)
・こまめに水分を補給する

ただし、セルフケアをしていても、どうしても取り切れない汚れによって虫歯が発生することもあります。虫歯をきちんと予防したいのであれば、定期的に歯医者でクリーニングを受けることをおすすめします。

“歯を白くする方法”が知りたいトレーニーへ。美白ハミガキの選び方やホームケア、おすすめ歯磨き粉をサンスターに聞いてきた

▼参考
NHK健康チャンネル 歯が溶ける酸蝕歯(さんしょくし)の原因と治療法、セルフケアとは
かんばら歯科クリニック 虫歯の原因になりやすい食べ物について
カンロ 虫歯と砂糖の関係。砂糖だけが虫歯の原因ではない
NHK健康チャンネル 虫歯になりやすい習慣・環境とは?原因や検査、セルフチェックの方法
WHO Technical Report Series No.916, 105-128, 2003

監修者プロフィール

歯科医
菊地 由利佳

歯は健康に欠かせません。美味しいものを食べる・会話をする・美しい表情を保つ…、健康な歯は人生の質を高めます。歯の正しい知識を知って、より健康な日々を手に入れましょう。

<Edit:編集部>

※本記事は、Medicalook(メディカルック)で掲載されていた内容を移管し、加筆・修正したものです。

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