
猛暑日は「冷やしみそ汁」で疲労回復!医師や管理栄養士もおすすめする理由
暑い日が続き、夏バテに苦しんでいるという方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめしたい料理が「みそ汁」です。今回は、医師・管理栄養士も推薦する、みそ汁の効能について紹介します。
みそ汁はさまざまな栄養素をまとめて摂取できる食べ物
まずは、医師で、済生会横浜市東部病院において患者支援センター長/栄養部部長を務める谷口英喜先生のお話を紹介します。
谷口英喜(済生会横浜市東部病院 患者支援センター長/栄養部部長)
脱水症・熱中症の専門家。「教えて!『かくれ脱水』委員会」副委員長も務める。著書「熱中症・脱水症に役立つ 経口補水療法ハンドブック 改訂版」「イラストでやさしく解説!「脱水症」と「経口補水液」のすべてがわかる本」など多数。
夏バテには「スタミナ/栄養不足」「発汗による脱水」「睡眠不足」「自律神経の乱れ」などさまざまな要因がありますが、そんなときに活躍するのがみそ汁です。
「みそ汁は様々な具材を入れられることで、たんぱく質をはじめ豊富な栄養素をいっぺんに摂取できるほか、食事を通じて適度な塩分と水を摂れるので、脱水の予防にも適しています」(谷口先生)
夏なら「冷やしみそ汁」がおすすめ
「とくに冷やしたみそ汁は暑い日にも食べやすく火照った体をクールダウンしてくれますし、発汗で失われた水と塩分、カリウムを同時に適度に補給することができたり、大豆に含まれるビタミンB1がエネルギー代謝を促し、バテにくい身体づくりをサポートしてくれるので、夏の時期には積極的にいただきたい食べ物ですね」(谷口先生)
自律神経の乱れも整えてくれる
自律神経の乱れに対するみそ汁の有効性も挙げています。
「自律神経系が乱れると、腸の働きが鈍くなり腸内環境悪化の悪循環が生まれ、夏バテの原因になりえます。味噌に含まれている善玉菌や、具材に含まれる食物繊維の働きで腸内環境を整えましょう。とくに夏は室内外の温度差が大きいことで、より自律神経が乱れやすいので注意が必要です」(谷口先生)
夏バテの一因である睡眠不足もみそ汁で対策
次は、管理栄養士の北嶋佳奈さんのお話も聞いてみましょう。
北嶋佳奈(管理栄養士・フードコーディネーター・株式会社Sunny and代表取締役)
料理本出版、レシピ・メニュー開発、コラム執筆、イベント・各種メディア出演など幅広く活躍する管理栄養士。
北嶋さんによれば、「味噌に含まれる『メラノイジン』は、強い抗酸化作用を持ち、食物繊維のように腸内環境を整える働きがあるとされるため、より夏バテ予防の効果を期待できます」とのこと。
その上で、夏バテの一因である睡眠不足にも、みそ汁が良い影響を与えると解説しています。
「良質な睡眠にはメラトニンという神経伝達物質を夜しっかりと分泌させることが大切です。メラトニンの素になるセロトニンはほとんどが腸内で作られるため、腸内環境を整えてくれるみそ汁は睡眠の質を良くする効果が期待できます。さらに味噌など大豆食品にはセロトニンの素となるトリプトファンが多く含まれているので、みそ汁は『快眠』のためにも積極的に摂りたい食べ物です」(北嶋さん)
最近では、睡眠の質に悩む方も多いといいますから、睡眠不足に悩んでいる方は積極的にみそ汁を摂る食生活を心がけるとよいかもしれません。
夏太りもみそ汁で対策!
発酵食品である味噌の機能と具材の食物繊維のW効果で、太りにくく痩せやすい体質を作ることも可能だと、北嶋さんは語ります。
「夏は体温と外気の温度差が少ないことや、運動を敬遠し筋肉量が減ることで基礎代謝が低下し、むくみや寝不足の発生も相まって太りやすい季節なんです」(北嶋さん)
味噌の食物繊維による腸内環境の改善や、血流がよくなることで栄養の吸収効率アップ、また味噌と具材でタンパク質を補うことで筋肉の減少も防ぎ、基礎代謝の向上を目指します。むくみ予防にも大変効果的です。
夏バテの原因と、みそ汁の予防効果をおさらい
夏バテ原因1 スタミナ・栄養不足
みそ汁の具材から栄養摂取ができる
味噌は、麹由来の酵素で大豆や米などの原料が分解されているため、消化吸収がよいのが特徴。みそ汁の場合は、さまざまな具材の栄養素も一緒に摂れ、夏バテ予防の効果を期待できます。
夏バテ原因2 発汗による脱水
みそ汁で適度な塩分と水を補おう
発汗によって失われるミネラルや代謝によって失われるビタミンを摂取することで夏バテの原因にもなりうる脱水症状を予防する効果が期待できます。
みそ汁として摂取することで、味噌&具材から水とミネラル、ビタミンを同時に余すことなく摂取できるのでおススメです。
夏バテ原因3:睡眠不足
みそ汁で良眠促進
良質な睡眠にはメラトニンという神経伝達物質を夜しっかりと分泌させることが大切です。メラトニンの素になるセロトニンはほとんどが腸内で作られるため、腸内環境を整えてくれるみそ汁は睡眠の質を良くする効果が期待できます。
さらに味噌など大豆食品にはセロトニンの素となるトリプトファンが多く含まれているので、みそ汁は「快眠」のためにも積極的に摂りたい食べ物です。
夏バテ原因4:自律神経の乱れ
みそ汁で腸内環境の改善
自律神経系が乱れると、腸の働きが鈍くなり腸内環境悪化の悪循環が生まれ、夏バテの原因になりえます。味噌に含まれている善玉菌や、具材に含まれる食物繊維の働きで腸内環境を整えましょう。
とくに夏は室内外の温度差が大きいことで、より自律神経が乱れやすいので注意が必要です。
資料提供:「みそでHappyを伝える」株式会社ミソド
※本記事は2022年8月公開のものを再公開したものです。
インスタントのみそ汁では、みその栄養が期待できない?
忙しい人の中には、インスタントみそ汁で手軽に味噌の栄養を摂りたいと考えている人もいるのでは。しかし気になるのは「インスタントでもみそ汁のメリットを享受できるのか」という点。大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニック院長の田村卓也先生に聞きました。
大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニック院長 田村卓也先生
日本外科学会認定外科専門医
JATEC(日本外傷診療研究機構)コース修了
日本内視鏡外科学会技術認定医(大腸)
田村先生:インスタントみそ汁でも、味噌の基本的な栄養は期待できます。
味噌の主要な栄養成分(タンパク質、アミノ酸、発酵による有効成分)は加工過程でも比較的安定しており、日本人を対象とした研究でも味噌汁の健康効果が実証されています。
味噌汁の栄養価を最大限に活かすための選び方として、以下のポイントを押さえておくのがオススメです。
- 具材が豊富なものを選ぶ
- 味噌の配合量が明記されているものを選ぶ
- 化学調味料無添加のものを優先する
- フリーズドライタイプを選ぶ
ただ、インスタント味噌汁で化学調味料無添加のものを選ぶのは実際にはなかなか難しいかもしれません。
「フリーズドライだと栄養が残っている」という説は本当?
生みそのインスタントより、フリーズドライ製法のインスタントのほうが、栄養面で優れているというウワサもあります。
フリーズドライは確かに栄養価の保持に優れています。急速冷凍と真空乾燥により、味噌の発酵による有効成分や栄養素が良好に保持されます。
しかし、どの製法でも、基本的な味噌の栄養は維持されていると考えられます。
「みそ汁は塩分過多になるから飲まないほうがいい」は間違い!
みそ汁を飲む習慣がない人の第一歩として、インスタントみそ汁は良さそうですね。
とはいえ塩分が気になる人もいるかもしれません。みそ汁を毎日飲むと、塩分過多や血圧に良くないのではと。みそ汁は塩分が多いから高血圧になるのでは? と。
この説は誤りです。研究論文によると、味噌汁の摂取は塩分量が多いにもかかわらず、血圧上昇を引き起こさず、むしろ夜間血圧を低下させる効果が確認されています。
味噌に含まれるさまざまな成分が、塩分の悪影響を緩和していると考えられています[※1]。
[※1]出典:
Kondo H, et al. Long-term intake of miso soup decreases nighttime blood pressure in subjects with high-normal blood pressure or stage I hypertension. Hypertension Research. 2019;42:1757-1767.
Mano F, et al. Reduction in Gastroesophageal Reflux Disease Symptoms Is Associated with Miso Soup Intake in a Population-Based Cross-Sectional Study: The Nagahama Study. J Nutr Sci Vitaminol. 2018;64:367-373.
<Edit:編集部>