
眠れない人は「朝夕のみそ汁」を試してみて!専門家が語る、みそ汁の快眠効果
- 健康
- 2022年10月24日
なんとなく調子が悪い、よく眠れないなど、季節の変わり目は体調の変化を感じることが多くなりますね。とくに、秋冬は生活習慣病や、その入口とされる睡眠問題が増加する時期でもあります。
そんなときにおすすめしたいのが、みそ汁。今回は、みそ汁の快眠におけるメリットと、睡眠専門医・管理栄養士が監修し、料理研究家が考案した良眠みそ汁レシピを紹介していきます。
睡眠専門医が語る、睡眠の質に大切なポイントとは
睡眠専門医で、雨晴クリニック院長の坪田聡先生によれば、質の良い睡眠に重要なのは「メラトニン」と呼ばれる睡眠ホルモン。メラトニンの分泌量が減ると、睡眠の質に悪影響がもたらされると言います。
メラトニン分泌を促すことで、なかなか寝付けない入眠障害や、夜中に何度も目が覚める中途覚醒の解消が期待できるとされています。
<プロフィール>
坪田聡(つぼた・さとる)
雨晴クリニック院長、日本睡眠学会所属医師。睡眠専門医、医学博士。日本睡眠学会所属。医師として診療に当たるうちに、睡眠障害がほかの病気の発症や経過に深く関係していることに気づき、高齢者を中心に睡眠障害の治療を開始。その後、治療から予防に重点をシフトし、「快眠で健康な生活を送ろう」というコンセプトのもと、睡眠の質を向上させるための指導や普及に尽力。著書『専門医が教える毎日ぐっすり眠れる5つの習慣』(三笠書房)、『睡眠は50歳から「老化」する』、『朝の「二度寝」でストレスが消える!』など多数。
睡眠不足によるデメリットは数多くある
睡眠不足はイライラや疲労をもたらすだけではありません。睡眠不足の人は食欲を抑えるホルモン「レプチン」の分泌が減少し、逆に食欲を高めるホルモンであるグレリン分泌が増加します。これによりつい食べ過ぎてしまうことで肥満に繋がり、糖尿病、高血圧、脂質異常症など「生活習慣病」に繋がるそう。
つまり、睡眠の質を高めることこそが生活習慣病の予防につながるというわけです。
不眠対策に「みそ汁」という選択肢
坪田先生が不眠対策におすすめするのが「みそ汁」。味噌にはメラトニンの素となる栄養成分のトリプトファンが豊富に含まれるほか、さまざまな具材を入れることで、食材に含まれる栄養素が一度に摂取できることが魅力だと言います。
不眠対策のためには、みそ汁は「朝夕で食べる」のが理想的とのこと。トリプトファンは14時間前後でメラトニンに変化するため、朝食でみそ汁を食べると夜までに十分な量のメラトニンが生成され、睡眠の質を高めることに繋がるのだとか。
また、人間の身体は体温が上がるときに目覚め、下がってくると眠くなる仕組みのため、夕飯にいただく温かいみそ汁によって上がった体温が手足から放熱され、自然な入眠に繋がりやすくなると述べています。
管理栄養士の視点から見た、みそ汁の快眠効果とは
管理栄養士で、睡眠改善インストラクターでもある篠原絵里佳さんも、不眠・生活習慣病対策に期待できるみそ汁のポイントを解説しています。
<プロフィール>
篠原絵里佳(しのはら・えりか)
管理栄養士・日本睡眠改善協議会認定 睡眠改善インストラクター。総合病院、腎臓・内科クリニックを経て独立。チーム医療に邁進する中で睡眠の重要性に気づき、睡眠改善インストラクター、睡眠健康指導士を取得。食事と睡眠の観点から健康と美容にアプローチする「睡食健美」を提唱している。
みそ汁は睡眠ホルモン「メラトニン」の生成材料となる
坪田先生も紹介したように、みそ汁はメラトニンの生成に必須となるトリプトファンを手軽に摂取できる点。トリプトファンは、太陽の光を浴びて適度な運動をすることによってセロトニンと呼ばれるホルモンに変わり、さらに夜になると眠気を促す睡眠ホルモンのメラトニンに変化します。
メラトニンの生成には、トリプトファンのほかに鉄分、ビタミンB6、ナイアシンが必要となりますが、みそ汁に色々な食材を組み合わせることでこれらをおいしく摂取することが可能です。
大豆製品に含まれるたんぱく質が生活習慣病を予防
また、味噌などの大豆製品に含まれるたんぱく質が「アディポネクチン」と呼ばれるホルモンの合成を促し、これによって血糖値を正常に保ち、糖尿病の発症を予防する効果も期待できると言います。
くわえて大豆にはコレステロールを低下させる成分が含まれており脂質異常症の予防に繋がる可能性があります。さらに1日1杯程度の味噌汁のある食生活が、血管年齢を10歳程度改善する傾向があるとする研究結果もあります。
料理研究家直伝の良眠みそ汁レシピ
今回、坪田先生と篠原さんが挙げた不眠対策食材を使って、料理研究家の島本美由紀さんが良眠みそ汁レシピを紹介しています。
中でも、珍しいのが「アボカドとツナの良眠みそ汁」。みそ汁にアボガドとツナを使うのは、一見斬新ですがおいしそうですね。作り方は次のとおりです。
アボカドとツナの良眠みそ汁
材料(2人分)
- 冷凍アボカド 70g
- ツナ 1/2缶
- 木綿豆腐 1/2丁
- しめじ 1/4株
- 水 400ml
- 和風顆粒だし 小さじ2/3
- 味噌 大さじ1
作り方
- 豆腐はさいの目に切り、しめじは根元を切って大きめにほぐす
- 鍋に水、和風顆粒だしを入れて火にかける
- 煮立ったら、1と缶汁を切ったツナを入れ、中火で1分ほど煮る
- 冷凍アボカドを加えてひと煮立ちしたら、味噌を溶き入れ器に盛る
このレシピについて篠原先生は「アボカドと豆腐には、体内でのメラトニン生成に有効なトリプトファンが多く含まれています。
さらにアボカドに含まれるオレイン酸が悪玉コレステロールを減らし、しめじに含まれるβグルカンがコレステロールを低下してくれます」とコメントしています。
<プロフィール>
島本美由紀(しまもと・みゆき)
料理研究家。手軽に作れる美味しいレシピを考案。TV・新聞・雑誌などのメディア出演、講演会など幅 広く活躍。レシピ本など著書多数。さらに料理だけにとどまらず、家事全般のラク(楽しくカンタン)を 追求する「ラク家事アドバイザー」、「食品ロス削減アドバイザー」、「冷蔵庫収納&食品保存アドバイ ザー」としても活動。
<Text:辻村>