卵を食べ過ぎるとどうなる?体に起こりやすいデメリットと要注意サイン[薬剤師監修]
手軽にたんぱく質がとれて、栄養価も高い「卵」。朝食に目玉焼き、昼はゆで卵、夜は卵料理……健康や筋トレ、ダイエットを意識する人ほど、気づけば毎日のように食卓に並んでいるかもしれません。
一方で、ふと頭をよぎるのが「卵って食べ過ぎると体に悪い?」「コレステロールは本当に大丈夫?」というウワサ。
薬剤師の視点から、卵を食べ過ぎたときに起こりやすい体の変化と、「これは注意したほうがいい」というサインを整理していきます。解説は、あんしん漢方 薬剤師・山形ゆかりさんです。
卵は食べ過ぎても本当に大丈夫? 毎日食べても問題ない?
まず気になるのが、「そもそも卵は何個までなら大丈夫なのか」という点でしょう。
これに関しては、健康な人であれば、少々食べ過ぎても問題ないと考えられます。
健康な人であれば、1日2〜3個食べてもコレステロール値に悪影響は及ばないと言われており、過度な心配は必要ないと言えます。ただ、食事の栄養バランスを考慮すると、1日1~2個が良いでしょう。

卵は毎日食べても大丈夫なのか
適量であれば、卵は毎日食べても大丈夫です。
アメリカの研究論文によると(※1)、「1日最大量1個の卵を摂取することで、男性の脳卒中のリスクを下げる可能性がある」と書かれています。
ただし、これはあくまで1日1個とした結果であり、食べ過ぎると糖尿病や高血圧、乳がんのリスクが増加したという結果があります。「毎日」食べるのであれば、1日の摂取量に気をつけると良いでしょう。
(※1)Meta-analysis of Egg Consumption and Risk of Coronary Heart Disease and Stroke
1日何個まで? 卵の食べ過ぎの判断基準とは
1日1~2個が無難
先述した通り、食事の栄養バランスを考慮すると1日1~2個が良いでしょう。乳がんのリスクが心配であれば、リスクを上昇させる「週に5個以上」は避けるのも良いと言えます。
卵はほぼ完全栄養食と言われており、調理法による影響もそれほどないため、どのような食べ方であっても上記の数値を目安に適度な摂取が必要と言えるでしょう。
卵を食べ過ぎたとき、体に起こりうること
卵を大量に、あるいは偏って食べ続けた場合、体にはいくつかのサインが現れることがあります。
すべての人に起こるわけではありませんが、「こんな変化が続くなら、少し量を見直したほうがいいかも」という目安として知っておきましょう。
高カリウム血症
卵の食べ過ぎによる高カリウム血症は、ビタミンDの過剰摂取により起きます。
高カリウム血症は、血液中のカリウム濃度が高い状態を指し、症状があらわれることはあまりありません。ただ、人によっては、筋力低下や胃腸機能の異常などの症状が見られることがあります。
ビオチン欠乏症
生卵白を長期間にわたって過剰摂取すると、ビオチン欠乏症になることがあります。卵白にはアビジンという抗微生物タンパク質が含まれており、ビオチンの吸収を阻害する働きがあります。
主な症状
- 脱毛、無気力、幻覚、精神抑うつ、手足のしびれ など
アレルギー症状
卵にはアレルギー性の高いタンパク質が含まれているため、大量に摂取するとアレルギーを引き起こす可能性があります。
とくに、卵白はアレルギー性が強いため気をつけなくてはなりません。重度のアレルギーの場合、アナフィラキシーショックを起こすケースもあるため要注意です。
主な症状
- 湿疹、蕁麻疹、喉の痛み、咳、呼吸困難 など
消化不良
卵には脂質が多く含まれているため、卵の食べ過ぎは消化器官に負担を与え、下痢や腹痛といった消化不良症状を起こす可能性があります。
ただし、なかにはサルモネラ菌による食中毒である可能性もあるため、嘔吐や下痢の症状が強い場合は内科を受診することをおすすめします。
主な症状
- 下痢、腹痛、吐き気、悪心 など
卵を食べ過ぎによって生じる病気リスクとは
卵の食べ過ぎによる病気のリスクとして、乳がんを引き起こす可能性があることが示唆されています。
アメリカの文献(※2)によると、「週に5個以上の卵を摂取した場合、卵を摂取しない場合と比べて乳がん発症のリスクが若干増加する」ことが認められています。
卵巣がんや前立腺がんについてのリスク上昇の証拠は得られていないようですが、完全には排除できない結果になったようです。
卵を食べ過ぎると、「死亡する」「肝臓や腎臓に悪い」という噂はホント?
「卵を食べ過ぎると危ない」「最悪、死ぬこともあるらしい」ネットやSNSで、こんな話を見かけてドキッとしたことがある人もいるかもしれません。
ただ、こうした噂は事実と誤解がごちゃ混ぜになって広まっているケースがほとんど。ひとつずつ、冷静に整理していきましょう。

卵を食べ過ぎると「死亡する」ってホント?
結論から言うと、日常生活で卵を食べていて突然命に関わることは考えにくいです。たしかに、海外では「卵を大量に食べて亡くなった」と報じられた事例がいくつかあります。
- インドで行われた卵の早食い競争で、42個目を食べた際に死亡したケース
- 2013年、イースターエッグの早食いコンテスト中に亡くなった男性
- 2012年、生卵を28個食べた後に死亡した事例
インドの死亡事故を担当した医師は、ゆで卵の食べ過ぎにより致命的な状態となって死亡したと診断しています。

ただし、本当に卵の食べ過ぎにより亡くなったのかは定かではありません。喉をつまらせて窒息した可能性や、生卵からのサルモネラ菌感染の可能性も考えられます。
卵を食べ過ぎると「肝臓に悪い」ってホント?
こちらは、ほぼ心配しなくてよい噂です。卵を食べ過ぎても肝臓に悪影響を与えないと言えるでしょう。
卵には、肝臓の修復や弱った働きを正常に戻す「アミノ酸」や「ビタミンB群」が豊富に含まれています。つまり、卵は肝臓に良い食べ物と言えるため、食べ過ぎても悪影響を起こすリスクは低いと考えられます。

もちろん、どんな食品でも極端な食べ方は別ですが、通常の範囲で卵を食べることで肝臓に悪影響が出るリスクはかなり低いと言えるでしょう。
卵を食べ過ぎると「腎臓に悪い」ってホント?
これも条件付きでの話です。
卵が腎臓に直接悪影響を与えるわけではありませんが、腎臓病などで腎臓が弱っている方は、卵を食べすぎないよう注意しなければなりません。
弱った腎臓では、タンパク質が過剰に摂取されても体外に排出できないからです。適度に食べる分には問題ないため、腎臓が弱い方でも卵は食べられます。
卵を食べ過ぎると「太る」「コレステロール値があがる」ってホント?
卵の食べ過ぎにより「太る」「コレステロール値があがる」と以前は言われていました。
しかし、度重なる研究により、健康な人であれば2〜3個の卵を食べてもコレステロール値はあがらないという例もあり、見直されています。
むしろ、卵に含まれるリンやレシチンの働きによって善玉コレステロールが増え、コレステロール値が下がるという見解もあります。
ただし、脂質異常がある方や体質的に体内のコレステロールの生成が促される方は、この限りではありません。卵の食べ過ぎにより太ったり、コレステロール値があがったりするリスクがあるため、卵の食べ過ぎは避けましょう。
卵を食べ過ぎると「体臭がきつくなる」ってホント?
これは残念ながらあり得る話です。卵を食べ過ぎると、体臭がきつくなる可能性があります。
卵には硫黄が含まれており、体臭に影響を与えるからです。汗や尿の臭いが強まる可能性があるので、食べ過ぎには気をつけましょう。
卵を食べ過ぎると、大人になってからもアレルギーを起こす?
大人になってからも、卵アレルギーを発症する可能性はあります。
大人の卵アレルギーも子供の症状と変わりはなく、喉の奥や口周辺のかゆみ、腹痛、吐き気、咳など幅広い症状が出ます。
大人になって急に発症する原因の1つとして、免疫力の低下が挙げられます。
アレルギー反応とは免疫機能の働きによるものです。そのため、免疫が落ちた状態でアレルギー性の強い卵を多量摂取すると、アレルギー反応を起こす可能性は十分にあります。
大人になってからのアレルギー発症は治りにくいと言われているため、免疫力を落とさないよう睡眠や食事をしっかりと摂り、アレルギーを発症させないようにしましょう。
この記事を書いた人
あんしん漢方 薬剤師
山形 ゆかり

薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-Youtubeチャンネルで簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
参考文献
- 卵の消費と冠状動脈性心疾患および脳卒中のリスクのメタ分析
- 卵子摂取と総死亡および原因別死亡のリスク:脂質と血圧のメタアナリシスコラボレーション(LBPMC)グループを代表した個人ベースのコホート研究と前向き研究のプール
- 卵摂取と乳がんリスク:メタ分析
- 卵摂取と乳がん、卵巣がん、前立腺がん:前向き観察研究の用量反応メタ分析
<Edit:編集部>










