味噌汁は快眠に効果がある?管理栄養士が教える「睡眠ホルモン」と「食事」の意外な関係
睡眠の質を高めたいと思いながらも、「何から始めれば良いのかわからない……」と感じていませんか? サプリメントや快眠グッズに頼る前に、まず見直したいのが毎日の食事です。
とくに味噌汁は、睡眠ホルモンの材料となる栄養素を含むことなどから、睡眠と関わりがあるといわれています。そこで今回は、味噌汁と睡眠の関係や、忙しい方でも無理なく続けられる取り入れ方を紹介します。
味噌汁が快眠をサポートすると言われる3つの理由
味噌汁が快眠に関係すると聞くと、意外に感じる方も多いかもしれません。ここでは、味噌汁が快眠に関与するといわれる3つの理由を解説します。
理由①トリプトファンが睡眠ホルモンの材料になる
味噌汁の主原料である大豆には、必須アミノ酸のひとつであるトリプトファンが含まれています。
トリプトファンは体内でセロトニンへと変換され、さらに夜間には睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンへと合成されます。メラトニンが分泌されることで、自然な眠気が促される仕組みです。

また、トリプトファンは朝に摂取することで日中のセロトニン分泌が高まり、夜間のメラトニン生成につながると考えられています。
味噌汁は日常の食生活の中で、無理なくトリプトファンを取り入れやすい食品といえるでしょう。
理由②温かい味噌汁がリズムを整える
睡眠の質はホルモンだけでなく、体温とも深く関係しています。
人は眠る前に深部体温が低下することで入眠しやすくなるとされ、この体温の変化によって自然な眠気が起こるといわれています。
温かい味噌汁を飲むことで体温が大きく上がるわけではありませんが、体温調節が働くことで、結果的に眠りやすい状態につながる可能性があります。
さらに、温かい食品をとること自体が、就寝に向けた心身の切り替えのきっかけにもなるでしょう。
理由③発酵食品が腸内環境をサポートする
発酵食品を取り入れることで腸内環境が整うと、間接的に睡眠の質にも良い影響を与える可能性があるとされています。
腸内環境の乱れはストレスや炎症と関連することが知られており、これらは睡眠の質の低下にも関与すると考えられているからです。
また、味噌汁に含まれる味噌は発酵食品であり、腸内環境に関わる食品として注目されています。
発酵の過程で生まれる成分や微生物は、腸内細菌のバランスに影響を与えやすく、腸内環境の維持に役立つと考えられているのです。こうした腸内細菌のバランスが保たれることで、良質な睡眠につながる可能性があります。
快眠におすすめ!簡単にできる味噌汁の取り入れ方
毎日の食事に手軽に取り入れやすい味噌汁は、忙しい日でも無理なく続けやすい習慣のひとつです。ここでは、味噌汁を無理なく取り入れる方法を紹介します。
朝食に取り入れると体内時計をリセットしやすい
朝食は体内時計をリセットする役割があり、朝に食事をとることで1日のリズムが整いやすくなります。
とくにトリプトファンを含む食品を朝に摂取し、日光を浴びることでセロトニンの分泌が促され、その後のメラトニン生成につながります。
また、味噌汁は消化にやさしく、朝でも取り入れやすいことが特徴です。忙しい朝でも一杯の味噌汁を加えることで、体内リズムを整えるきっかけになります。
朝食を抜きがちな方ほど、まずは味噌汁から取り入れることで無理なく習慣化しやすくなるでしょう。
夕食時に取り入れると快適な就寝に向けた準備につながる
夕食時に味噌汁を取り入れる場合は、無理のない範囲で活用するのも良いでしょう。温かい汁物は体を内側から温め、就寝に向けた状態づくりに役立つとされています。
ただし、就寝直前に味噌汁やお茶などの水分摂取が多くなると、夜間にトイレで目が覚める要因となることがあります。就寝前にこれらの食品を摂りすぎないよう注意しましょう。
また、消化に負担がかかりにくい具材を選ぶこともポイントです。
就寝前は脂質の多い食材や刺激の強い食品を控え、体にやさしい組み合わせを意識することで、より快適な睡眠環境をつくりやすくなります。
快眠におすすめの味噌汁の具材
快眠を意識する場合は、栄養バランスを整える具材選びも大切です。快眠におすすめの目的別の味噌汁の具材は以下の通りです。
●トリプトファンを重視したい→豆腐+わかめ+ねぎ
大豆製品でトリプトファンを補いつつ、海藻でミネラルもプラスできます。

●腸内環境が気になる→きのこ+玉ねぎ+ごぼう
これらの食材は食物繊維が豊富で、善玉菌のエサとなります。そのため、短鎖脂肪酸の産生につながり、腸内環境によい影響を与えることが期待されます。

●体を温めたい→大根+油揚げ+生姜
根菜類や生姜を取り入れることで、体を冷やしにくくなり、寝つきが悪い方にもおすすめです。
●血糖値が気になる→ほうれん草+きのこ+卵
食物繊維とたんぱく質を組み合わせることで、食後の血糖値の急上昇を抑えやすくなります。卵を加えることで満足感もアップして、食べ過ぎ防止につながります。
忙しい方でも味噌汁を続けるための工夫
味噌汁は一度に多く取り入れるよりも、無理なく継続することが大切です。
たとえばインスタント味噌汁を活用すれば、時間がない日でも簡単に取り入れることができます。乾燥野菜やあおさ、わかめなどをトッピングすることで、手軽に野菜も補えるのがポイントです。
また、具材をある程度固定することで、選択の負担が減り、習慣化しやすくなるでしょう。野菜に加えて、きのこや油揚げなどのうま味成分を含む食材を組み合わせることで、満足感が高まりやすくなります。
さらに、豆腐や卵などのたんぱく質源を加えることで、栄養バランスを整えやすくなるのもメリットです。習慣化するためにも、無理なく続けられる方法を見つけていきましょう。
味噌汁を取り入れる際の注意点
味噌汁は手軽に栄養補給ができる一方で、取り入れ方には配慮が必要な点があります。ここでは、味噌汁を取り入れる際の注意点を紹介します。
塩分の摂り過ぎを防ぐ
味噌汁は健康的なイメージがありますが、食塩の過剰摂取は高血圧などの健康リスクにつながる可能性があるため、塩分量には注意が必要です。
塩分量を調整する工夫は以下の通りです。
- だしを効かせて味噌の使用量を減らす
- 減塩味噌を選ぶ
- 具だくさんにして満足感を高める
- 乳和食を活用する
さらに、カリウムを多く含む野菜などで具だくさん味噌汁を作ることで、塩分の排出を促す効果が期待できます。
お好みで牛乳を加えた味噌汁(乳和食)を作ることでも、減塩対策が可能です。牛乳のコクとうま味が加わることで、簡単に塩分を抑えられるのがポイントです。
味噌汁以外の習慣も大切
味噌汁と快眠には関わりがあるといわれていますが、食事だけで睡眠の質が決まるわけではありません。生活リズムの乱れや運動不足、ストレス過多などにより、良質な睡眠につながりにくいことがあります。
睡眠の質が気になる方は、食事以外でも運動やストレス対策などを取り入れると良いでしょう。
日中の適度な運動
日中の適度な運動は寝つきを良くし、睡眠の質を高める効果が期待できます。ウォーキングやジョギングなど、日常で取り入れやすい運動から始めてみるのがおすすめです。
ただし、就寝直前に運動をすると交感神経が優位になり、目が冴えてしまうこともあるため、就寝の2~4時間前までに行うよう心がけましょう。
就寝前の入浴と朝の光

就寝前1〜2時間の入浴は深部体温の変化によって入眠を促し、朝に光を浴びることで体内時計が整いやすくなります。
入浴はストレス対策にもなるため、1日の終わりにゆっくりと湯船に浸かることを習慣にするのも良いでしょう。
カフェイン・アルコール摂取のタイミング
カフェインやアルコールの摂取は、睡眠の質の低下につながるため、摂取するタイミングにも注意が必要です。カフェインに敏感な方は、寝る5~6時間前から控えたほうが無難です。
就寝前にアルコールを飲むと、一時的に寝付きが良くなると感じる方もいますが、睡眠のサイクルが乱れたり、夜中に起きてしまう機会が増えたりするなどのおそれがあります。
睡眠の質を整えるためにも、就寝前のアルコールは控えましょう。
【事例】食事を整えたことで眠りに変化を感じたケース
管理栄養士として食事サポートを担当したお客様のなかには、味噌汁を含めて食事を見直したことで、睡眠の変化を感じたというご感想をいただいたことがあります。
朝食を食べない習慣や夕食の偏りを見直し、味噌汁を取り入れながら食事を整えた結果、夜間に目が覚める回数が徐々に減り、「以前よりもぐっすり眠れたと感じる日が増えた気がする」という嬉しいお声をいただきました。あくまで一例ではありますが、食事内容や食事リズムの見直しが睡眠の質に影響する可能性があるのかもしれません。
食事改善サービスCHONPSではダイエットだけでなく、食事と体調の関係に着目し、日々の食事記録をもとに栄養バランスを分析したうえで、一人ひとりの生活スタイルに合わせたご提案を行っています。
理想的な食事をご提案するのではなく、お客様の継続しやすさも考慮しながら、サポートしているのが特徴です。食事を整えることは、睡眠だけでなく日常のコンディション全体を見直すきっかけにもなります。無理のない形で食生活を整えたい方は、ぜひ一度CHONPSまでお気軽にご相談ください。
【CHONPS(チョンプス)】食生活を変えたい、でもできない人へ。「食べちゃダメ」がない“食事版”パーソナルトレーニングならどうだろう?
※本記事は健康に関する一般的な情報を提供するものであり、特定の効果を保証するものではありません。
監修者プロフィール
下田由美(しもだゆみ)
管理栄養士として約10年間、病院・施設・保育園で幅広い年代の「食と健康」に携わってきた。その中で「食」と「心」は密接に関係していると気付く。現在は、「食はココロとカラダを元気にする」をモットーにフリーランスの管理栄養士として活動中。健康や栄養に関する記事執筆や監修、レシピ作りなどを行っている。また、美容や健康、ダイエットでお悩みの方に対して栄養指導を行い、日々多くの方々の健康づくりをサポートしている。
<参考文献>
厚生労働省「快眠と生活習慣」
The thermophysiological cascade leading to sleep initiation in relation to phase of entrainment
The Temperature Dependence of Sleep
Mind-altering microorganisms: the impact of the gut microbiota on brain and behaviour
Gut-microbiota-targeted diets modulate human immune status
Gut microbiota and sleep: Interaction mechanisms and therapeutic prospects
The Role of Gut Microbiome in Sleep Quality and Health: Dietary Strategies for Microbiota Support
Effects of Diet on Sleep Quality
日本高血圧学会「さあ、減塩!(減塩・栄養委員会から一般のみなさまへ)」
<Edit:編集部>















