
バナナは毎日食べると太る?筋トレやダイエットへの効果は。管理栄養士にとことん聞いた
スーパーやコンビニで手ごろな価格で購入できることもあって、甘くておいしいバナナは人気のフルーツ。手軽で栄養豊富、低カロリーなことから、アスリートやダイエット中の人も好んで食べる補食にも挙げられています。
その一方で、「カロリーと糖質が高いから太る」「食べ過ぎると体が冷える」など、バナナに陰を落とす気になるウワサもちらほら……。
また、朝食にバナナを食べる「朝バナナ」や、夕食前に「夜バナナ」など、食べるタイミングを気にする人も。
バナナはスポーツパーソンやダイエッターに有効なフルーツなのか。 1日何本、いつ食べればいいのか、定番のヨーグルトなどと一緒に食べた方がいいのか。東京慈恵会医科大学付属病院栄養部で管理栄養士を務める赤石定典さんに解説していただきます!
<このページの内容>
バナナのカロリーと栄養素
バナナには、カリウムやカルシウムなどのミネラル類、ビタミン類、葉酸など多くの栄養素が豊富に含まれています。
エネルギー | 86kcal |
水分 | 75.4g |
タンパク質 | 1.1g |
炭水化物 | 22.5g |
カリウム | 360mg |
カルシウム | 6mg |
マグネシウム | 32mg |
鉄 | 0.3mg |
カロテン | 56μg |
ビタミンA (β-カロテン当量) |
56μg |
ビタミンB1 | 0.05mg |
ビタミンB2 | 0.04mg |
ナイアシン | 0.7mg |
ビタミンB6 | 0.38mg |
ビタミンC | 16mg |
ビタミンE | 0.5mg |
葉酸 | 26μg |
食物繊維総量 | 1.1g ・水溶性食物繊維0.1g ・不溶性食物繊維1.0g |
生のバナナ可食部100gあたりの主な栄養成分
(文部科学省「五訂日本食品標準成分表」の数値をもとに筆者作成)
バナナを食べると体にいい? バナナの効果
さまざまな栄養がある中で、どの栄養素がバナナ人気を支えているのか? ズバリ、注目すべき栄養素とその働きを聞きました。
関連記事:「オリゴ糖」とは。メリットとデメリット、効果的な使い方|マッスルデリ管理栄養士が解説
カリウム
「カラダの水分調整や高血圧改善に有効なカリウムは、ナトリウムとともに細胞内液の浸透圧を一定に調節する機能があり、体液バランスをサポートします。スポーツで汗をかくと水分と一緒にナトリウムやマグネシウムなどの電解質も失われます。カリウムが不足すると、筋肉に負担がかかったときに足がつりやすくなったり、痙攣(けいれん)の原因となります。しかし、カリウムを摂取することで筋肉の収縮が助けられ、、痙攣(けいれん)を予防できます」(赤石さん)
ポリフェノール
「フルーツではブドウに多く含まれていると思われがちですが、実はバナナのほうが多い。強い抗酸化作用があり、活性酸素を取り除いてくれるので、スポーツ後の疲労回復にも効果的です」(赤石さん)
オリゴ糖や食物繊維、ビタミンB群にも注目
さらに、腸内環境を整えるオリゴ糖や食物繊維、代謝促進に機能するビタミンB群にも注目だそう。
バナナの色によって栄養は変わるのか
バナナは色によって、含まれている栄養素が変化するそう。
青めバナナ
難消化性デンプンが多く含まれ、整腸効果、便通改善が期待できる
黄色バナナ
ビタミンB2やB3(ナイアシン)、B6が多く美肌など美容効果が期待できる
シュガースポットが出た茶色バナナ
IL-12という物質増加で免疫力アップが期待でき、普通の果物では珍しい燐(りん)脂質を含有して胃潰瘍の抑制効果が期待できる
バナナは1日何本まで?
「ハードトレーニングなどの特別な状況でなければ、1日1本で十分かと思います」(赤石さん)
バナナのNGな食べ方はあるのか
バナナのNGな食べ方も聞いてみたところ、基本的にNGな組み合わせや食べ方というのはないとのことですが、あえてあげるならということで注意点を教えていただきました。
酸っぱいものと甘いものを一緒に食べるときは要注意!
「酸っぱいものと甘いものを一緒に食べるときは注意が必要です。たとえば酸味の強いイチゴと甘いバナナを同時に食べると、酸味が甘いフルーツの消化酵素の働きを妨げてしまうので消化に時間がかかるため、レース中や消化器官が弱っているときの組み合わせには気をつけましょう。普段はさほど気にする必要はありません」(赤石さん)
栄養豊富でパーフェクトに思えるバナナですが、冒頭にも紹介したようにその人気に水を差すウワサも。その真相は?
バナナを毎日食べると太る?
Q:3度の食事をしっかり食べておやつにバナナ。これを毎日やると太る?
「いいえ。バナナで太るというのは考えづらいです。おやつにバナナを1日1本ぐらいでもしも太ってしまうとしたら、3食の内容(特に夕食!)を確認したいところですね。」(赤石さん)
バナナは糖質が多いから太りやすい?
Q:バナナは、糖質が高いから太るというのは本当か
バナナは確かに、そこそこ糖質が高いです。しかし、バナナに含まれる果糖は血糖値が上がりにくく肥満に直結するものではありません。ご飯や食パンの糖質とは種類が違うのです。
▼糖質量の比較
バナナ (100g) |
22.5g |
ご飯 (100g) |
36.8g |
食パン (6枚切り1枚あたり) |
26.6g |
ちなみに普通サイズのバナナ1本(100g)のカロリーは86 kcal。ご飯1杯(150g)は252 kcal、食パン1枚(80g)は211 kcalですから、低カロリーといえます。
バナナは便秘解消にいい?
Q:バナナは、バナナを食べればお通じ改善につながるのか
「はい。バナナに含まれるオリゴ糖、食物繊維が腸内環境を整えてくれます。ですから、便秘解消には有効なフルーツです」(赤石さん)
関連記事:食物繊維をたくさん摂れば便秘は解消される?|マッスルデリ管理栄養士が解説
バナナはカラダを冷やす食べ物ってホント?
Q:バナナは南国の食べ物だから体を冷やす効能があると聞いたが……本当でしょうか?
「残念ながら、はい。ただし、1日1~2本程度であれば気にすることはないです。そのため、バナナを避ける理由にはならないかと思います」(赤石さん)
これは、バナナが南国原産のトロピカルフルーツであることと、カリウムが多く含まれることにあります。カリウムにはカラダを冷やす性質もあるのです。
ランナー&筋トレ民がバナナを食べるメリット
ランニングユーザーがバナナを食べるメリット
「ランナーがバナナを食べるメリットとしては、エネルギー源の確保。運動前なら胃に負担が少なくエネルギーが確保できる。ラン中でもバナナを食べることでガス欠を防ぐことができる。また、レース後であれば筋肉疲労の回復にも重要です。さらに汗で失われた電解質の補給にもなります」(赤石さん)
関連記事:朝ラン時の朝食、いつ食べるのが効果的?専門家が教える朝ごはんのタイミング&メニュー
筋トレユーザーがバナナを食べるメリット
「筋トレユーザーがバナナを食べるメリットは、筋トレで失われた筋グリコーゲンの回復にあります。バナナに含まれるビタミンB6は、たんぱく質の代謝に必要です」(赤石さん)
バナナのおすすめレシピ!完熟バナナ×ヨーグルトは鉄板
それでは、バナナの栄養素を余すことなく効果的に食べるには、どう食べるのがよいのでしょうか。おすすめレシピは。
「バナナの栄養をしっかりと摂るには、完熟させてから食べましょう。組み合わせは得たい健康効果にもよりますが、無難なところではヨーグルトと一緒がよろしいかと思います。バナナに含まれる食物繊維が、ヨーグルトの効果もアップしてくれます。完熟後は痛みが早いので、皮をむいて密閉袋に入れて冷凍するといいですね」(赤石さん)
朝バナナ、夜バナナ。バナナはいつ食べるのがベスト?
「運動後に素早く筋肉疲労を回復させるために、ランニング後や筋トレ後にすぐに食べるといいですね。その際にはタンパク質と一緒に摂ると効果的です」(赤石さん)
朝バナナで睡眠の質がよくなる
それともうひとつ、バナナに含まれるとっておきの栄養素についても教えていただきました。それは、必須アミノ酸のトリプトファン。
バナナは100g中15mgのトリプトファンを含有し、セロトニンの材料として必要なトリプトファン、ビタミンB6、炭水化物のすべてを含んで効率的にセロトニンを生成します。
「バナナに含まれるトリプトファンは脳でしあわせホルモンのセロトニンを分泌させ、それが睡眠を促すメラトニンを分泌させる。すなわち、しっかりとトレーニングをしたあとは、質のよい睡眠をしてカラダを回復させる力を秘めている。それには朝食バナナがおすすめです」(赤石さん)
関連記事:セロトニンを増やす方法とは。食べ物やサプリ、漢方でも補える?不足時の症状は?
監修者プロフィール
赤石定典(あかいし・さだのり)
管理栄養士。1991年3月、学校法人華学園栄養専門学校を卒業後、4月より東京慈恵会医科大学附属病院栄養部に勤務。管理栄養士として栄養管理や栄養の重要性を広く伝えるために書籍監修、メディア出演にも関わる。
<Text:京澤洋子(アート・サプライ)>