
バナナは毎日食べると太る?筋トレやランニングとの相性は?バナナの栄養素や効果を栄養士にとことん聞いた (1/3)
日本バナナ輸入組合が2016年に実施した「バナナ・果物消費動向調査」では、12年連続でよく食べる果物1位に選ばれているバナナ。
スーパーやコンビニで手ごろな価格で買えることもあって、甘くておいしいバナナは人気のフルーツ。栄養豊富で低カロリーなことから、アスリートやダイエッターが好んで食べるフルーツにもあげられています。
その一方で、糖質が高く太る、カラダを冷やすなど、バナナに陰を落とす気になるウワサもちらほら。
果たして、どちらがバナナの真実なのか。本当にバナナはスポーツパーソンやダイエッターに有効なフルーツなのか。
東京慈恵会医科大学付属病院栄養部で管理栄養士を務める赤石定典さんに解説していただきながら、バナナについてとことん掘り下げます!
バナナの注目すべき栄養素とその働きは?
バナナの栄養素にはカリウムやカルシウム、ビタミン類、葉酸など多くの栄養素が豊富に含まれています。その中でもどの栄養素がバナナ人気を支えているのか? ズバリ、注目すべき栄養素とその働きを聞きました。
▲生のバナナ可食部100gあたりの主な栄養成分
(「五訂日本食品標準成分表」の数値をもとに筆者作成)
「ひとつはカリウムです。カラダの水分調整や高血圧改善に有効なカリウムは、ナトリウムとともに細胞内液の浸透圧を一定に調節する機能があり、体液バランスをサポートします。スポーツで汗をかくと水分と一緒にナトリウムやマグネシウムなどの電解質も失われます。カリウムが不足すると、筋肉に負担がかかったときに足がつりやすくなったり、痙攣(けいれん)の原因となります。しかし、カリウムを摂取することで筋肉の収縮が助けられ、予防することができます」(赤石さん)
「もうひとつはポリフェノール。フルーツではブドウに多く含まれていると思われがちですが、実はバナナのほうが多い。強い抗酸化作用があり、活性酸素を取り除いてくれるので、スポーツ後の疲労回復にも効果的です」(赤石さん)
さらに、腸内環境を整えるオリゴ糖や植物繊維、代謝促進に機能するビタミンB群にも注目だそう。それにしてもフルーツのポリフェノール含有量ダントツがバナナとは、驚き。女性にはうれしいアンチエイジング効果のオマケがついてたみたいで、なんだか得した気分になりました。
しかもバナナは、色の変化(熟成度)で栄養素や期待できる効果が変わります。
《青めバナナ》
・難消化性デンプンが多く含まれ、整腸効果が期待できる
《黄色バナナ》
・ビタミンB2やB3(ナイアシン)、B6が多く美肌など美容効果が期待できる
《シュガースポットが出た茶色バナナ》
・IL-12という物質増加で免疫力アップが期待でき、普通の果物では珍しい燐(りん)脂質を含有して胃潰瘍の抑制効果が期待できる
バナナの気になるウワサ。これって本当?!
栄養豊富でパーフェクトに思えるバナナですが、冒頭にも紹介したようにその人気に水を差すウワサも。その真相は?
〔ウワサ1〕バナナは糖質が高いから太るというのは本当か? 3度の食事をしっかり食べておやつにバナナ。これを毎日やると太る?
「いいえ。バナナで太るというのは考えづらいです。おやつにバナナを1日1本ぐらいでもしも太ってしまうとしたら、3食の内容(特に夕食!)を確認したいところですね(笑)」(赤石さん)
ちなみに普通サイズのバナナ1本(100g)のカロリーは86 kcal。ご飯1杯(150g)は252 kcal、食パン1枚(80g)は211 kcalですから、低カロリーといえます。
一方、糖質でみるとご飯(100g)36.8g、食パン(6枚切り1枚あたり)26.6g、バナナ(100g)22.5gで、バナナもそこそこ高い。
しかし、バナナに含まれる果糖は血糖値が上がりにくく肥満に直結するものではありません。ご飯や食パンの糖質とは種類が違うのです。
〔ウワサ2〕バナナは便秘解消にいいって本当?
「はい。バナナに含まれるオリゴ糖、植物繊維が腸内環境を整えてくれます。ですから、便秘解消には有効なフルーツです」(赤石さん)
〔ウワサ3〕バナナはカラダを冷やす食べ物って本当?
「残念ながら、はい。ただし1日1~2本程度であれば気にすることはなく、バナナを避ける理由にはならないかと思います」(赤石さん)
これは、バナナが南国原産のトロピカルフルーツであることと、カリウムが多く含まれることにあります。カリウムにはカラダを冷やす性質もあるのです。
効果的なバナナの食べ方は? 1日何本までOK?
それでは、バナナの栄養素を余すことなく効果的に食べるには、どう食べるのがよいのでしょうか。さらに1日何本までがよいのか?