ウェルネスフード
2023年7月4日

栄養ドリンクにも配合されている成分「アルギニン」って?どんな働きをするの?

 サプリメントや栄養ドリンクにも配合されている「アルギニン」。筋肉増強や疲労回復、免疫機能向上などの効果が期待でき、筋トレを行う人たちにも注目の栄養素です。そんなアルギニンについて、どんな栄養素でどんな働きをするのか、管理栄養士の那須由紀子さんに解説してもらいました。

アルギニンとは

 アルギニンは20種類あるアミノ酸の1種です。アミノ酸には体内で作ることができない必須アミノ酸と体内で作ることができる非必須アミノ酸がありますが、アルギニンは後者。

 ただし、アルギニンは体内で合成できるものの、大量に作ることができず、食材などから補うことが不可欠で、準必須アミノ酸や条件付きアミノ酸と呼ばれます。

関連記事:アミノ酸とは。種類と働き、必須アミノ酸の1日摂取量│管理栄養士の食トレ学

アルギニンの働き

 管理栄養士の那須さんによると、「アルギニンは細胞を増殖させ、傷の修復を早くさせる働きがある、その上で、成長ホルモンの分泌をよくし、筋肉を作る上でも一役買います。血糖のコントロールも良くします」と説明します。

成長ホルモンを分泌させる

 アルギニンは脳下垂体を刺激し、成長ホルモンを分泌する役割があることがわかっています。そのことからアメリカではトレーニングに欠かせないアミノ酸として注目されており、研究も進んでいます。

 ウエイトトレーニングは筋肉に負荷をかけることにより、筋繊維が壊れ、それを修復する際に必要な栄養素を摂ることで、さらに強い筋肉が作られることは知られています。アルギニンは成長ホルモンを促す働きがあるため、トレーニングによって壊れた筋繊維を修復する機能が高まり、より強い筋肉を作ることができるのです。

激しい運動をしたあとの疲労回復

 アミノ酸は疲労回復に良いとされるものが多いですが、特にきついトレーニングをしても、効果が感じられず疲れるだけという人には特におすすめ。激しい運動をした時に発生する疲労原因物質、血中アンモニアを抑制する働きがあることもわかっており、ハードワークの後の疲労回復にも大いに役立つのです。

 ウエイトトレーニングのほか、長距離ランニングをする人にもおすすめ。また、NOが活発になるので、血流が良くなり、筋肉強化だけでなく、疲労回復にもなります。日々のトレーニングの際にはなるべく摂るようにしましょう。

血流促進による筋肉強化、疲労回復

 また、アルギニンは体内の一酸化窒素(NO)生産を高める働きがあり、NOが体内で増えると、血管が拡張され、血流促進につながります。

食欲を抑える

 他にも食欲を抑える働きがあることから、食べ過ぎを防ぎ、ダイエット効果も期待できます。

肌の保湿

 その他、角質層を保湿する働きもあり、肌に潤いを与えるので、化粧品にも使われています。

 ちなみに肉体の強化のほか、男性機能の向上もうたわれるアルギニン。男性のための強壮剤にも配合されていることが多いですが、これは血流促進と成長ホルモン分泌に関わることから。それ以外は年齢、男女差はなく、スポーツをする人なら全般的に摂取が進められる栄養素のひとつです。

アルギニンを含む食材

 アルギニンは体内で合成されますが、先に説明したように大量には作られないため、運動をする人は特に意識して豊富に含まれる食材やサプリメントから摂ることをおすすめします。なお、食材100gに含まれるアルギニンの量は下記になります。

大豆 ・・・2700mg
マグロ・・・1300mg
エビ ・・・1700mg
卵  ・・・780mg
うなぎ・・・1100mg
※文部科学省「食品データベース」

 なお、アルギニンの1日理想摂取量(筋トレや壊れた組織を修復するのに必要な量)は2500mg〜5000mgです。

[監修者プロフィール]
那須由紀子(なす・ゆきこ)
管理栄養士。プレ・ニュートリション 日本栄養士会認定栄養ケア・ステーション代表。病院管理栄養士として臨床経験を積みながら、分子整合栄養医学を学ぶ。独立後、精神疾患における栄養療法も行う管理栄養士として、栄養指導、うつ病による休職者の復帰プログラムに取り組んでいる。そのほか講演会、セミナー、メディア出演、執筆など、活動は多岐に渡る。著書に『栄養で人生は変わる-食はあなたの人格を作り、人生の良し悪しを決める!-』(旭屋出版)、『疲れた心がラクになる食べ方大全』(永岡書店)がある
【公式HP】https://pre-nutrition.com

●『疲れた心がラクになる食べ方大全』(永岡書店) ≫公式ページ

※本記事はMELOSで公開された記事「アルギニンの働きや効果とは?運動疲労回復と免疫機能向上に欠かせない栄養素で、筋トレ民におすすめ」を再編集したものです。

<Edit:編集部/Text:廉屋友美乃/Edit:丸山美紀(アート・サプライ)/Photo:Getty Images>