雨の日に気分が落ち込むときの「完全呼吸法」
大人の習い事として人気のヨガ。健康や美容に関心の高い女性だけでなく、男性からのニーズも高まっています。そんなヨガの気になるギモンや悩みをピックアップし、専門家にぶつける本企画。
今回は、雨や台風、曇りなど天気が悪い日のメンタルケアについて。気分が落ち込んだときにおすすめの「呼吸法」を、全米ヨガアライアンス認定アカデミーFIRSTSHIPの講師リーダー兼スタジオディレクターの藤井誠さんに聞いてみました。
Q. 梅雨時期など天気の悪い日は気持ちが落ち込みがちです。そんなときにおすすめの呼吸法を教えてください。できれば簡単で、場所を問わずできるものがうれしいです。
A.腹式呼吸と胸式呼吸を組み合わせた「完全呼吸法」を紹介します。
今年は全国的に梅雨入りが早いようで、雨降りの日々が続いています。たしかに、天気がすぐれない日が続く梅雨時期は、気が滅入るという方も多いのかもしれません。
気持ちと呼吸は密接につながっていると考えるヨガの教えでは、呼吸法を生活に取り入れることで、気分の調整をすることが可能だと考えています。そのひとつの方法として、「完全呼吸法」という呼吸法を紹介します。
この呼吸法は、気持ちを落ちつけ、前向きな状態を保てるようになると言われています。私たちの普段の生活において、ポピュラーな呼吸法は「腹式呼吸」や「胸式呼吸」でしょう。
「腹式呼吸」は、吐く息が強調されるもので、鎮静化作用が高い呼吸法です。横隔膜という筋肉が働き、内臓が圧迫されて腹部や腰のあたりが膨らみ、内臓のマッサージにもなります。
一方、「胸式呼吸」は吸う息が強調されるもので、胸郭(肺を取り囲む骨組み)をしっかり動かすことで、肺の動きが活性化し、呼吸を促進させます。そして、この2つの呼吸法を統合したものが「完全呼吸法」です。
これは胴体全体を動かす呼吸法で、吸う息(交感神経優位)と吐く息(副交感神経優位)を無理のない範囲で深く繰り返すことで、自律神経のバランスを調整することが可能です。また、この呼吸法により最大肺活量を底上げすることで、身体の生理的要素(運動・消化・睡眠など)の質が向上し、環境や状況に左右され過ぎない、しなやかなマインドを育むのです。
このように、意識的に呼吸法を行うことで、些細な自分の心の揺らぎにも敏感に気づくことができ、それがセルフケアへとつながります。外出や外食をして気晴らしができない今の状況を前向きに捉え、自身の呼吸と向き合うことで、気分も健やかに保てることでしょう。
[監修者プロフィール]
藤井誠(ふじい・まこと)
ヨガスクールFIRSTSHIPの講師リーダー兼スタジオディレクター。ヨガ哲学や解剖学に基づき、呼吸や瞑想に重きをおいたヨガの指導を得意とする。豊富な知識と経験に裏づけされた指導に定評があり、多数のイベント出演、メディア露出経験がある。全米ヨガアライアンス上位資格E-RYT500、継続教育指導資格YACEPを保持し、著作に、ヨガ専門書としては破格の3万部売れたヨガポーズ傑作集「ヨガポーズパーフェクトバイブル(ナツメ社)」他がある。
[記事協力]
株式会社LAVA International
公式サイト:https://lava-intl.co.jp/
ヨガスクールFIRSTSHIP:http://www.firstship.net/
<Text:編集部/Photo:Getty Images>