中性脂肪、減らすには?“中性脂肪を下げる卵”を開発したアキタフーズに聞いてみた (1/2)
健康診断で指摘されてから意識する人も多い「中性脂肪」。中性脂肪とはなにか、どんな役割を果たしているのか。
気になる中性脂肪の数値や下げ方のポイント、少し控えたい食べ物のジャンルなど、中性脂肪の基礎知識について、中性脂肪を下げる卵『からだのたまご』を研究・開発した株式会社アキタフーズ常務執行役員・研究開発部部長であり、農学博士でもある本薗幸広(もとぞの・ゆきひろ)さんに聞いてみました。
本薗さんにあれこれ聞いてきました。
中性脂肪ってどんな脂肪なの?
基本の“キ”ですが、中性脂肪とはどんな脂肪なのか。体内でどんな役割を担っているのでしょうか。
「中性脂肪とは、人にとってはエネルギー源として働いているものです。エネルギーで最初に利用されるメインはブドウ糖なのですが、それが不足したとき、補う役割として出てくるのが中性脂肪となります。エネルギーにはなりますが、余った部分は皮下脂肪や内臓脂肪に蓄積されます」(本薗さん)
健康診断では中性脂肪、内臓脂肪、コレステロールなど似たような名称がたくさん登場するため、ごっちゃになっている人も多いと思いますが、どう考えるのが分かりやすいでしょうか? 中性脂肪とコレステロールが高いと診断されたのですが、違いがいまいちわからなくて。
「中性脂肪とコレステロールは構造や役割がまったく異なります。脂質の中にはコレステロール、中性脂肪、それから脂肪酸があり、どれも大事な役割を担っています。中性脂肪は先ほど話したようにエネルギー源となり、余った部分は皮下脂肪や内臓脂肪に蓄積されます。大豆油、なたね油、牛脂、豚の脂なども中性脂肪でできています」(本薗さん)
中性脂肪はカラダに必要だけれど、多すぎると脂肪として蓄積されてしまう。ほどよいバランスが望まれます。では、コレステロールは?
「コレステロールは、一般的には食事でとらないほうがいいと言われていますが、実は肝臓で7割ほど作られており、体の細胞膜の構成成分になっています。だからコレステロールがないと細胞がうまく作れない。それから脳ですね。コレステロールは脳神経を保護するような物質になってくれます。だから体内のコレステロールの約25%は脳にあるんです」(本薗さん)
脳とコレステロール。なかなか結びつきにくい二つですが、そんな関係があったとは。
「あとは、コレステロールは肝臓の胆汁酸(アブラを吸収するために利用される肝臓で作られる物質)の原料になります。ビタミンDの原料にもなる。だからコレステロール自体は大事です。しかし多すぎると、いわゆる心筋梗塞や脳梗塞など血管の病気に繋がっていく。中性脂肪も多すぎると血液がドロドロになって高血圧や心筋梗塞などに繋がりやすくなります。その前の段階としては、内臓脂肪や皮下脂肪が蓄積し、太ってしまうわけです」(本薗さん)
悪者にされがちなコレステロールですが、なければないで問題なのですね。こちらもバランスというわけです。
中性脂肪の数値、どれくらいが普通?
多くの人は健康診断の結果で目にするであろう、中性脂肪の数値。高すぎても低すぎてもデメリットがあります。
「中性脂肪は、食べたことによってすぐに血中に反応します。測定がとても大事で、食べてから約10時間は空けて血液検査をするのが望ましいでしょう。血中の中性脂肪は30~149mg/dℓが正常基準値ですが、150を超えると注意が必要です。一方で、29を下回るのもまた要注意だと言われています」(本薗さん)
中性脂肪が高くなる原因として、もっとも多いのが“食べ過ぎ”。とくに炭水化物(糖質)のとり過ぎが挙げられると本薗さんは語ります。
「食べ過ぎ……炭水化物や脂っこいものをとり過ぎると、高くなる傾向にあります」(本薗さん)
ドキッとした人。身に覚えがあるようですね。ちなみに、痩せているのに中性脂肪が高いパターンはあるのでしょうか。
「基本的には少ないと思います。そういう人は遺伝、体質でしょうか。内臓脂肪や皮下脂肪に蓄えられず、血中に溜まりやすい人はそういう傾向にあるようです。私はまだそういう人に出会ったことはありませんが……」(本薗さん)
中性脂肪の増加に悩む人たちの一縷の望みが、あえなく打ち砕かれました。認めざるを得ません。中性脂肪の増加にともない、少しずつ太ってきていると。
「ホルモンの関係もあるかもしれませんが、女性は皮下脂肪が蓄積しやすく、男性は内臓脂肪が増えやすいと言われています。食べたものが影響しやすいのは内臓脂肪です。運動で落ちやすいのも内臓脂肪ですね。皮下脂肪より先に内臓脂肪が使われていきます。ちなみに女性は、妊娠すると血中の中性脂肪は2~3倍ほど高くなります。赤ちゃんに栄養を与えるために、中性脂肪もコレステロールも必要になります」(本薗さん)
妊娠中の女性は、自分と赤ちゃんの2人ぶんのエネルギーが必要となるため、どうしても高くなるそう。
「ニワトリも同じです。ニワトリは毎日卵を産むでしょう。人間よりも10倍以上の血中の中性脂肪となっています。肝臓も脂肪肝のようになっているんですよ」(本薗さん)
ニワトリ、毎日がんばっています。卵や鶏肉への感謝の気持ちを忘れずにいただきたい。ちなみに中性脂肪の数値が低すぎると、どんなデメリットがあるのでしょうか。
「中性脂肪はエネルギー源ですから、低すぎると、疲労感を感じやすい状態になると考えられます。ですが、一般的な生活をしているなら、中性脂肪が基準値より低いという状態はまず考えにくいです」(本薗さん)
「中性脂肪ができるルートは2つあります。ひとつは食べたものが腸管から血液へ吸収されるルートです。もうひとつは肝臓で合成されていくルートです。だから過剰な食事制限だとか、肝機能が異常を起こすと、中性脂肪ができなくなり数値が低くなります」(本薗さん)
中性脂肪が基準値を下回るときに考えられる要因は “食べないため腸管から吸収されない”。または“肝臓の機能が悪く中性脂肪が合成されない”。ダイエットで糖質や脂質を極端に制限し、さらに過剰な運動で脂質を消費してしまうパターンは、過激なダイエットで見かけます。
「食べたものと消費することのバランスがポイントです。じゅうぶん消費されず摂取が多くなると血中の中性脂肪は増え、取らないで消費だけを激しく行うと低くなります。もし中性脂肪の数値が基準値より低くても、肝機能に問題がないなら、食生活を整えることで基準値へ戻っていくと考えられます」(本薗さん)
中性脂肪が基準値を下回っていても、肝機能がきちんと働いていれば、ある程度はカバーしやすい。問題は数値が高すぎる場合です。ここで本薗さんに、中性脂肪の数値を落とすためのポイントを聞いてみました。