管理栄養士が教える、野菜不足を防ぐ「ちょっとした」ポイント (2/3)
1日350gの野菜を摂るコツは?
1日350gの野菜を摂る方法を、厚生労働省・農林水産省が公開している「食事バランスガイド」も参考にしながら3つ紹介します。
✓ 1回の食事内で、サラダや野菜を使ったメニューを1皿以上とり入れる
✓ 葉野菜は加熱調理でかさを減らす
✓ さまざまな野菜や調理法を使う
1回の食事でサラダや野菜を使ったメニューを1皿以上取り入れる
厚生労働省・農林水産省が発表している「食事バランスガイド」では、野菜に関して1日あたり5つ(※)を目安とした摂取を推奨しています。まずは1食につき1つ以上とり入れることを目標にしましょう。
※「食事バランスガイド」では、料理を「1つ」「2つ」など、「〜つ(SV=サービング)」という単位で数えます。料理グループごとに「1つ」の目安となる量が決められています。
【図1】野菜をとり入れる工夫メニュー例
出典:農林水産省「実践食育ナビ」より
葉野菜は加熱調理でかさを減らす
生野菜としての摂取だけでなく、「茹でる」「煮る」「蒸す」「炒める」「レンジ調理」などがオススメです。たとえば、キャベツやほうれん草、白菜などの葉物野菜は、茹でることで生の状態にくらべて70〜90%までかさが減ります。(【図2】)
【図2】
▲調理法によりかさが減り、生で食べるときよりもたくさんの量を食べることができる。
出典:農林水産省「実践食育ナビ」より
このように、野菜を加熱調理することで、生で食べるときよりもかさが減り、より多くの量を摂取することができます。
さまざまな野菜や調理法を使って調理する
生野菜、酢の物、みそ汁、煮物というように、複数の調理法でさまざまな野菜を摂取するのも良い方法です。
ビタミンやミネラルは、調理法によって摂取効率が変わってきます。たとえば、にんじんに多く含まれているビタミンAは脂溶性で油と相性が良いため、炒めたり揚げたりすることで吸収率がアップします。レタスに含まれるビタミンC・カリウムは水に溶けやすく熱に弱いため、生野菜サラダや、汁ごと食べることができるスープなどがおすすめです。
スーパーやコンビニで売っているカット野菜も、カットされていないまるごと野菜よりは多少高いですが、調理時には時短になるので、上手にとり入れてみましょう。
市販のカット野菜には栄養がないってホント?
水溶性の栄養素は加工の段階で一部流れてしまいますが、それ以外の栄養素は摂取することができるでしょう。
スーパーやコンビニで売っているカット野菜は、厚生労働省が作成した「大量調理施設衛生管理マニュアル」に則って製造・加工されています。このマニュアルには、集団給食施設などにおける食中毒を予防するため、細かい衛生基準や食材の取り扱いについて書かれています。
そのなかで、野菜を加熱せずに使用する場合には「流水で十分洗浄し、必要に応じて次亜塩素酸ナトリウムなどで殺菌した後、流水で十分すすぎ洗いを行う」というルールが決められています。この工程で、水溶性のビタミンやミネラルが一部流れ出てしまいます。しかし、それ以外の3大栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物)や食物繊維などはほぼ残存します。
そのため、カット野菜を毎日利用するのであれば、水溶性であるビタミンCやビタミンB群(B1、B2、B6、B12 etc.)などの含有量は、理論値よりも低いということを考慮して食事を摂りましょう。水溶性ビタミンの充足率に不安があるようであれば、カット野菜以外の食品から補うのも手段のひとつです。
ちなみに、自宅でまる野菜を切って水洗いした場合には、おなじように水溶性の栄養素が流れてしまいます。カット野菜には「手軽さ」というメリットがあるため、うまく取り入れてみてください。
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