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2025年7月17日

不眠の原因は脳疲労だった!【心療内科医が解説】 現代人に必要な快眠のための新習慣とは? (1/4)

寝ても疲れが取れない、夜中に何度も目が覚める、眠りが浅い……そんな睡眠の悩み、抱えていませんか? 猛暑で寝苦しいことも重なり、慢性的な疲労や、日中のパフォーマンスの低下に悩んでいる人も少なくないかもしれません。

厚生労働省「国民健康・栄養調査(令和4年)」によると、睡眠で休養が十分に取れていないと感じる人は20%を超え、この割合は増加傾向にあります。その原因には、生活習慣、ホルモンバランスの乱れなどさまざまな原因があると言われていますが、実は不眠に悩む現代人の大きな要因は、ストレスによる“脳の疲れ”だそう。

例えば、「文字を読んでも頭に入ってこない」「食事を美味しいと感じない」「ぼんやりすることが多い」などの違和感を感じているようであれば、それらは脳が疲れているサイン。不眠の大きな原因になっている可能性があります。

脳の疲れとはどんな状態なのか、どう睡眠と関わっているのか、脳をどう休ませたらいいのか、日本初の「健康外来」を創設し、脳疲労専門外来の先駆者でもある横倉クリニック院長横倉恒雄先生に伺いました。実際にクリニックで使われている脳疲労度テストも併せてご紹介します。

現代人の脳は常にオーバーワーク

近年、不眠に悩んでいる方は増えているのでしょうか?

「よく眠れない、疲れが取れないといった悩みを抱えている患者さんが年々増加しているように感じています。全国健康保険協会(富山支部 令和6年9月)による調査では、アテネ不眠尺度※で不眠の疑いがありと判定された人が51.9%、さらに不眠傾向ありも合わせると約70%に達するという報告もあります」
※不眠症の重症度を評価するための世界共通の尺度。

なぜ、眠れない人が増えているのでしょうか?

「不眠の大きな原因となっているのが、実は“脳の疲労”です。スマホの普及やSNSなどへの依存、リモートワークの普及によるオンとオフの切り替えの難しさ、AIや検索エンジンによる情報供給の加速などにより、常に膨大な量の情報に囲まれ、脳が休まらず、多くの人がオーバーワークの状態になっています。さらに責任世代は、仕事や人間関係、介護、育児、経済的負担によるプレッシャーなどが重なり、慢性的に強いストレスにさらされている人も多いのではないでしょうか。こういったことが、現代人の脳をどんどん疲弊させ、不眠を引き起こしていると考えられます」

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不眠・だるい・やる気が出ないは脳が疲れているサイン

脳が疲れていると、どのようなサインが現れるのでしょうか?

「脳が疲れていると、体がだるい、やる気が出ない、すぐイライラする、ぐっすり眠れないなどのサインが現れます。まずは、クリニックでも使用している下記の『脳疲弊度テスト』を行って、ご自身の脳の疲弊度をチェックしてみてください」

「21〜30点の人は重度・疲弊、11〜20点の人は中等度・疲弊、0〜10点の人は軽度・疲弊の可能性があります。とくに中等度疲弊以上の人は、不眠などの影響が出ている可能性が高く、注意が必要です」

次:なぜ脳疲労が起こるのか? その最大の原因とは

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