なぜ?トマトジュースで血圧が下がる理由。いつ飲む?どのくらい飲み続ければいい?
「トマトジュースは血圧にいい」と聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。健康診断で血圧の数値が気になり始めた方の中には、すでに毎日の習慣に取り入れているという方もいらっしゃるかもしれません。
なぜトマトジュースで血圧が下がると言われているのでしょうか。血圧に対する効果や、いつ、どのくらい飲めばいいのか見ていきます。監修は、たいや内科クリニック管理栄養士・林 安津美さんです。
トマトジュースで血圧が下がると言われる理由
トマトジュースが血圧対策として注目されるのには、いくつかの成分が関係しています。
カリウムによる塩分排出のサポート
トマトジュースにはカリウムが含まれています。カリウムには、体内の余分なナトリウム、つまり塩分の排出を促す働きがあります。
塩分の摂りすぎは血圧上昇の大きな要因のひとつであるため、カリウムを含む食品を取り入れることは、血圧管理の基本的な考え方のひとつとされています(※1)。

リコピンによる血管への良い影響が期待される
トマトジュースに豊富に含まれるリコピンには、強い抗酸化作用があります。実際に、リコピンを含むトマトジュースを継続して飲んだグループで、血管のしなやかさを示す指標が改善したという研究結果も報告されています(※2)。
血管の健やかさを保つことは、血圧管理においても重要なポイントです。
(※2)カゴメ株式会社「トマトジュースの継続摂取と血管機能改善」
GABAによるサポート
GABA(γ-アミノ酪酸)はアミノ酸の一種で、トマトにも含まれています。複数の臨床試験では、GABAを含む食品を継続的に摂取することで、正常高値血圧者や軽症高血圧者などにおいて血圧の低下がみられたことが報告されています。
GABAは、「高めの血圧を低下させる機能」を表示する機能性表示食品の機能性関与成分としても利用されています。(※3)
(※3)
株式会社ヤクルト本社 中央研究所『Yakult Science Report No.14 GABA』
農業・食品産業技術総合研究機構機能性関与成分の機能性に関する説明資料
血圧対策としてなら、いつ飲むのがいい? 朝と寝る前、どっちが効果的か
GABAによる血圧サポートの効果については、「朝と夜のどちらが優れているか」を直接比較した研究は見当たらず、むしろ毎日欠かさず継続することのほうが重要だと考えられています。
一方で、リコピンの吸収率については、朝に摂取したほうが高くなるという研究結果があります(※4)。効率よく栄養を取り入れたいという観点では、朝食と一緒に飲む習慣が理にかなっているといえるでしょう。
ただし、朝に飲むことで夜より血圧が下がりやすくなることが証明されているわけではありません。
血圧対策としては、飲む時間帯だけでなく、減塩や適正体重の維持、運動など生活習慣全体を整えることが重要です。厳密な優劣が証明されているわけではないため、まずは自分が続けやすい時間帯を選び、習慣化することを優先してみてください。
(※4)カゴメ株式会社「朝にトマトジュースを飲むと機能性成分“リコピン”が 効率的に吸収されることを“ヒト試験”で確認 」
どのくらいの量を、どのくらいの期間、飲み続ければいい?
GABAの血圧への作用を検討した研究では、1日10mg~数十mg程度など、さまざまな摂取量が用いられています。商品によってGABAの含有量は異なるため、機能性表示食品の場合は、パッケージに記載された1日摂取目安量を確認しましょう。
また、GABAを含む食品を継続して摂取した研究では、正常高値血圧者や軽症高血圧者などにおいて、数週間から12週間程度の期間で血圧の低下が報告されています。
ただし、効果の現れ方には個人差があり、トマトジュースは高血圧の治療に代わるものではありません。血圧管理では、トマトジュースだけに頼るのではなく、減塩や適正体重の維持、運動など、生活習慣全体を整えることが大切です。
トマトジュースを飲み続けても血圧が下がらない場合、どんな理由が考えられる?
「毎日飲んでいるのに血圧に変化がみられない」という場合、いくつかの理由が考えられます。
まず、トマトジュースに含まれるGABAの量は商品によって異なります。また、GABAを含む食品による血圧への作用には個人差があり、飲めば必ず血圧が下がるわけではありません。
機能性表示食品を利用する場合は、機能性関与成分の含有量や1日摂取目安量など、パッケージの表示を確認しましょう。
また、血圧対策を目的とする場合は、食塩相当量にも注意が必要です。食塩(ナトリウム)の摂り過ぎは血圧上昇の要因となるため、トマトジュースを選ぶ際には、食塩無添加タイプを選ぶとよいでしょう。
さらに、日常的な食塩の摂り過ぎ、運動不足、肥満、喫煙、過度の飲酒、睡眠不足など、さまざまな生活習慣が血圧に影響します。そのため、トマトジュースだけで血圧を管理しようとするのではなく、減塩や適正体重の維持、運動など生活習慣全体を見直すことが大切です。
トマトジュースは、あくまで健康的な食生活を構成する食品のひとつです。高血圧と診断されている方は、トマトジュースだけに頼ったり、自己判断で治療を中断したりせず、医師の指示に従って治療を続けましょう。
注意点も! 血圧が気になる人が意識すべきこと
血圧対策としてトマトジュースを取り入れる際は、いくつか意識しておきたい点があります。
食塩無添加タイプを選ぶ
まず、食塩無添加タイプを選ぶことが基本です。せっかくの効果を、添加された塩分が打ち消してしまわないようにしましょう。
トマトジュースは薬ではない

また、トマトジュースはあくまで生活習慣の中のサポート役であり、治療の代わりにはなりません。すでに降圧薬を処方されている方は、自己判断で服薬をやめたり量を調整したりせず、必ず医師の指示に従ってください。
腎臓の機能が低下している方や、カリウムの摂取制限を受けている方は、トマトジュースに含まれるカリウムにも注意が必要です。取り入れる前に、主治医や管理栄養士に相談することをおすすめします。
1日200mL程度に留める
最後に、摂取量は、1日200mL程度をひとつの目安として取り入れるとよいでしょう。
ただし、血圧を下げるための適切な摂取量として200mLが確立されているわけではありません。多く飲めば、その分エネルギーや糖質の摂取量も増えるため、適量を心がけることが大切です。
トマトジュースだけに頼るのではなく、減塩、適正体重の維持、適度な運動など、生活習慣全体を整えていくことが血圧管理では重要です。
監修者プロフィール
たいや内科クリニック
管理栄養士 林 安津美(はやし あつみ)さん
大学卒業後、JAあいち厚生連で37年にわたり病院の管理栄養士として勤務。その間、豊田厚生病院・安城更生病院の技師長として17年間在籍。2022年5月よりたいや内科クリニックへ入職。病態栄養専門管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・腎臓病療養指導士・がん病態栄養専門管理栄養士・和漢薬膳師等の資格を活かし、患者さんの思いを聴き・応え、患者目線でテーラーメイドの医療を届けるよう心掛けている。
<Text:外薗 拓 Edit:編集部>














