ヘルス&メンタル
2022年12月8日

赤色ユニフォームは試合に勝ちやすい?カラーとスポーツの心理的効果

スポーツに取り組んでいると、ウェアや道具などさまざまな色を身につけることになります。その際に選ばれる色は、もちろん好みだからというものもありますが、実は色の力を活用している場合が少なくありません。

それは、色によってスポーツのパフォーマンスが左右されることがあるからです。

ユニフォームやスポーツ用具、あるいは試合会場などで見かける色には、いったいどんな意味があるのか。脳や心にどんな影響を与えているのか。今回は、スポーツと色の組み合わせについて紹介していきます。

色が与えるメンタル(気分)の変化

色はカラダにどのような影響を与えるのでしょうか。色の違いによって相手に与える印象が異なることは、今までの体験から感じたことのある方は多いはずです。

たとえば部屋の色。寒色系(ブルーなど)の色が多い部屋は温度が低く、暖色系(赤、オレンジ、黄色など)の多い部屋は温度が高く感じるでしょう。

真っ青な部屋と真っ赤な部屋では、体感温度に違いが出るという研究結果もあります。

これは、好き・嫌いという好みの問題ではなく、無意識的に脳が感じる色の力なのです。ここでは簡単に、どの色がどんな影響を与えるのか紹介しておきます。

【白】気分の高揚を落ち着かせ、リラックス効果がある。
【赤】情熱、熱気、やる気など力強く活力的な色。一方で攻撃的、怒りなどの力を与えることも。
【青】冷たさを感じさせる色。興奮を抑え冷静になりたい時に効果的。
【緑】安心感やリラックス感をもたらす色。目への影響も少なく、長時間囲まれていても苦痛になりにくい。
【黄】明るさを印象づける色。目に入りやすく意識を向けやすい色。注意の色として使われる。
【黒】重厚感・圧迫感を感じさせる色。黒は他の色に比べ、重く感じる。

このように、色は脳にさまざまな影響を与えます。そして実のところ、これをスポーツに活用したものも多いのです。

スポーツと色の関係

では実際に、スポーツの現場ではどのように色の効果を活用しているのでしょうか。ここでは、皆さんがよく目にするものを探してみましょう。

ユニフォームの色

色と聞いて頭に思い浮かぶのが、選手が着用するユニフォームです。さまざまな色のユニフォームがありますが、実はこの色も自分や相手選手に影響を与えます。

ある研究では、赤色のユニフォームを着た選手(またはチーム)の方が、他の色のユニフォームを着た選手よりも勝率が高かったという結果もあります。これは、赤色が攻撃性や興奮などの感情を引き起こすからではないかと考えられています。

また、対峙した選手に対して圧力を感じさせたり、強そうに見えることで委縮をもたらす効果もあると考えられています。これは、黒いユニフォームにも感じる効果です。黒いユニフォームの色だと、なんとなく強そうに見えますよね。

一方で、黒いユニフォームは審判にファールを取られやすいというデメリットもあるそうです。

グラウンドでサッカー

格闘技の青コーナー、赤コーナー

格闘技の青コーナーと赤コーナーも、色の影響を考慮して考えられています。

タイトルマッチなどでは必ず赤コーナーがチャンピオン、青コーナーは挑戦者と決まっているでしょう。そのように決められた背景には、チャンピオンは青コーナーを見ることで冷静さを保たせ、挑戦者は赤コーナーを見ることで闘争心を掻き立てるからだと言われています。

スポーツウェア、スポーツ用具の色

スポーツ用品などにも、色が関係しているものがあります。

たとえば野球のグローブ。グローブといえば茶色のイメージを持つかもしれませんが、実はさまざまな色があります。

実は、この色もパフォーマンスに影響を与えているのです。

審判とキャッチャー

キャッチャーによっては、ピッチャーの好みによって青いミットと赤いミットを使い分けるという選手もいます。色を使って、ピッチャーが集中して投げやすい状況を作り出しているのです。

また、最近ではカラフルなものが増えてきたサッカーのスパイク。

ファッション的なカッコよさからカラフルなものを履いている選手がいるのも確かです。しかし昔ながらの黒いスパイクに比べ、白や赤などのスパイクの方が、内部の温度が抑えられて、熱がこもりにくいという違いもあります。

ボールの周りに複数人の片足

少しでも快適にプレーするために、カラフルなものを履いている選手もいそうですね。

陸上トラックの色

オリンピックや世界陸上などの大会をテレビで観ていると、会場によってトラックの色が違うことに気がつきます。

一般的にはレンガ色ですが、実は青いトラックがあるのです。これも、青い色によって集中力が高まるということから導入されているそう。

記録がよくなってきたら、これからどんどん青いトラックに変わっていくかもしれません。

スポーツを「色」の視点から見てみる

このように、色がパフォーマンスに影響を与える例は意外とあるものです。色という視点でスポーツを見ていると、ユニフォームや道具ひとつでもさまざまなカラーがあることに気がつくのではないでしょうか。

スポーツを観戦する際は、選手たちのプレーとともに周囲にある色を探して、その意味を考えてみるのもおもしろいかもしれません。

[著者プロフィール]
和田拓巳(わだ・たくみ)
プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。​医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。運営協力メディア「#トレラブ(https://tr-lv.com/)」などで多くの執筆・監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信している。日本トレーニング指導者協会 JATI-ATI
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<Text:和田拓巳>