「シトルリン」で筋トレ効果は高まるのか。アルギニンとの関係性、副作用を防ぐサプリの選び方 (1/3)
筋トレやスポーツ愛好家の間でも最近注目されている栄養素・シトルリン。サプリメントでも含まれているものが多く、身近なものとなっています。なぜ、シトルリンがスポーツをする人に良いのでしょうか。その理由を、管理栄養士の那須由紀子さん監修のもと解説します。
スイカから発見された栄養素「シトルリン」とは
シトルリンとは、スイカなどウリ科の植物に含まれるアミノ酸です。1930年に日本でスイカから発見されました。シトルリンはスイカの学名「シトルラス ブルガリス」から名づけられました。
シトルリンの特徴は、タンパク質を構成しない遊離アミノ酸であること。遊離アミノ酸は私たちの血液や尿に存在し、健康を支える土台作りに欠かせない存在で「スーパーアミノ酸」とも呼ばれています。
一酸化窒素(NO)の働きを助け、血管拡張をサポート
シトルリンは遊離アミノ酸の特徴でもあるように細胞や血液の中に存在し、必要なときに働くように準備しています。シトルリンも血液に乗って身体中を巡り、必要な出番のときに威力を発揮します。
必要な出番とは、一酸化窒素(NO)を生み出すとき。NOは血管を拡張する働きがありますが、この働きをサポートするのがシトルリンです。
シトルリンにはどんな効果が期待できるのか
血流改善によるさまざまなメリット
シトルリンを摂ることで、血管を拡張し、血流が改善されることで、疲労回復などさまざまな効果があると那須さんは言います。
「シトルリンには乳酸や疲労原因となるアンモニアを除去し、疲労を回復する効果があります」(那須さん)
血流が良くなることで、冷えも改善されます。
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また、もう一つの働きとしては、尿素回路を手助けすることが上げられます。尿を作るときに疲労原因となるアンモニアができてしまいますが、シトルリンはこれを無害にし、尿として体外に排出するサポートをします。
スイカにはカリウムが含まれていることが知られていますが、シトルリンは他の果実にほとんど含まれていません。スイカを食べるとむくみが解消されるのは、シトルリンの役目も大きいのです。
「他には肌の保湿効果もあります。アンチエイジングにも一役買い、血管をしなやかにし、加齢による動脈硬化予防も期待できます」(那須さん)
シトルリンが不足すると疲れやすくなるだけでなく、腎臓への負担も増え、さまざまな弊害をもたらします。代謝も下がるため、肥満体質の人は慢性的にシトルリンが不足していることも多く、さまざまな生活習慣病を引き起こす可能性も高まるのです。
シトルリンはスポーツをする人に限らず、あらゆる人々の健康を支える大切な役割を果たすのです。
シトルリン摂取で筋トレや運動にもメリットが!
シトルリンを摂取することで、運動時に発生する乳酸値が低下します。乳酸の値が下がると、疲れが溜まりにくくなり、運動パフォーマンスが向上し、持久力が続きます。
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シトルリンはあらゆるスポーツに適した栄養素ではありますが、ベンチプレスにおいては、摂取したことにより反復回数が増えたという試験結果があります。これはシトルリンを摂取することで、筋肉痛が軽減し、運動パフォーマンスが持続することが考えられます。
さらに、血流が良くなることで脳に栄養と酸素がゆきわたり、集中力がアップします。とくに中高年には記憶力を高めることも期待でき、45〜64歳までの男女にシトルリンを摂取してもらったところ、記憶力や注意力が体感的に改善されたという試験結果もあります。
アルギニンとシトルリンにはどんな相乗効果があるのか
また、シトルリンを語るうえで欠かせないのが、アルギニン。
アミノ酸の一種で成長ホルモンを促進させ、NOを作り出すことで、近年、注目を浴びていますが、シトルリンはアルギニンの働きを活性化させる働きがあるのです。
ある試験によるとシトルリンとアルギニンを併用したことで、運動パフォーマンスが楽になったという声も上がり、運動機能をあげる可能性が広がっています。