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2023年6月19日

必須アミノ酸「BCAA」の効果と飲み方。筋肉の分解を防ぐってホント? (1/2)

トレーニングを始めると、その効果を高めるためさまざまなサプリメントを試してみたくなるものです。サプリメントには多くの種類があり、初心者からすると「一体どれを摂取すれば筋トレやダイエットに効果的なのか」と疑問を抱く方は多いかもしれません。

その中でも、今回は必須アミノ酸「BCAA」サプリメントについて解説します。BCAAとはなにか、どんな効果が期待できるのか、筋肉痛や疲労回復、脂肪燃焼をサポートするとは本当なのでしょうか。

BCAAとは

BCAAとは、必須アミノ酸の集合体です。必須アミノ酸のうち「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」という3つで構成されているもので、分子構造から“分岐差アミノ酸(Branched Chain Amino Acids:頭文字を取ってBCAA)”とも呼ばれています。

必須アミノ酸は体内で生成することができず、食事などで摂取する必要があります。カラダを構成し、生命維持に必要な20種類あるアミノ酸のうち、9種類は必須アミノ酸なのです。

●必須アミノ酸

バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、リジン(リシン)、フェニルアラニン、トリプトファン、スレオニン(トレオニン)、ヒスチジン

●非必須アミノ酸

アルギニン、グリシン、アラニン、セリン、チロシン、システイン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸

必須アミノ酸、非必須アミノ酸の図

最近ではプロテインやスポーツドリンクにもBCAAが配合されているなど、身近な存在になりつつあります。

BCAAで期待できる5つの効果

1.筋肉を合成しやすい

BCAAは、筋肉に含まれる必須アミノ酸の約35%を占めている筋細胞の主成分です。摂取したBCAAは筋肉で使用される割合が高いため、筋肉づくりに効果の高いアミノ酸であることが知られています。

多くのアミノ酸が肝臓で代謝され、髪や皮膚、爪などの組織や、命を維持するための働きに使われるなど、さまざまな用途に分配されます。一方、BCAAは筋肉に直接運ばれ、主に筋肉づくりのために活用されます。

筋肉をつけるための筋トレをより効果的にするには、血中のアミノ酸濃度を高めておく必要があります。BCAAの摂取は必須アミノ酸の中でも筋合成を高めるために有効なんです。運動前にBCAAを摂取することで脳の疲労軽減につながることも期待されています。

さらに、BCAAの中に含まれるロイシンは筋内のタンパク質を活性化し、血中アミノ酸が筋肉に合成される過程で重要な役割を担っています。ロイシンやロイシンの代謝産物であるHMBが強化されたサプリメントを選んでみるのも良いと思いますよ。

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2.筋肉の分解を防ぐ

カラダを動かすにはエネルギーが必要です。スポーツやトレーニングであればなおさらでしょう。カラダのエネルギーは、まず筋肉にある糖質(グリコーゲン)が使われ、その後に脂肪が燃焼されて生み出されます。しかし、脂肪が分解されてエネルギーとして使えるまでには時間がかかります。そのため、カラダはエネルギー確保のため筋肉を分解させ、エネルギーとして使用してしまうのです。

カラダづくりやスポーツ競技をするうえで、筋肉の分解による筋肉量の減少はデメリットしかありません。筋肉を作るためのハードなトレーニングが、筋肉を分解させている可能性があるのです。

そんなときに効果を発揮するのがBCAAです。摂取後、すぐにエネルギーとして使われるため、筋肉の分解を防ぐことができます。そのため、BCAAを飲みながらトレーニングを行っている人も少なくありません。BCAAは、トレーニング中のサプリメントとして最適なのです。

ギモン1 有酸素運動をすると筋肉量が落ちる?

筋力トレーニングはおもに糖質がエネルギー源。有酸素運動は糖質・脂質・アミノ酸(タンパク質)がエネルギー源となります。

有酸素運動においては、上記のアミノ酸の枯渇が筋肉量の低下に影響します。長時間の有酸素運動を行い、糖質のエネルギーが枯渇すると、脂質を分解してエネルギーを生み出します。そのタイミングで、血中や筋肉内のアミノ酸もエネルギーとして利用されます。そのため、必要なエネルギーが枯渇している状態で有酸素運動を行うと、カラダの筋肉を分解してエネルギーを確保するため筋肉量の減少が起こるのです。

また、有酸素運動を長時間行うと、AMPキナーゼという細胞内のエネルギーセンサーが働き、タンパク質の合成を阻害してしまうために筋肉量の増加が難しくなります。

筋肉量を維持しながら有酸素運動を行いたい場合、BCAA(分岐鎖アミノ酸)を摂取してエネルギーの枯渇を防ぐことが大事になります。

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ギモン2 お酒は筋肉の分解を促進する?

アルコール摂取によって分泌される「コルチゾール」というホルモンには、血糖値をコントロールする働きがあります。このコルチゾールには、エネルギー源である糖を生み出すために、筋肉の分解を促進させてしまう作用も。筋肉の分解は筋肉量の低下に繋がり、カラダづくりにとって悪影響を及ぼすのです。

関連記事:「お酒を飲むと筋トレ効果が低下する」ってホント?アルコールが筋肉に及ぼす悪影響とは

3.ケガの回復や疲労回復のサポート

BCAAの筋肉合成を促す働きは、筋肉づくりだけでなく筋肉系のケガの回復にも効果を発揮します。肉離れなど筋肉系のケガのリハビリ中に摂取することで、早期回復が期待できます。

実際の研究では、BCAAサプリメントを運動前に摂取することで、スポーツやトレーニングによって起こる筋肉へのダメージを減少させ、運動後に起こる筋肉痛(遅発性筋肉痛)の発生を抑えることができたという結果もあります。

4.体脂肪の減少を促す

BCAAには、脂肪を燃焼させる働きを持つ成長ホルモンの分泌を促すとされています。筋肉の分解を抑えながら体脂肪を減らすことができるBCAAは、減量中やダイエット中にも効果的な栄養素といえるでしょう。

5.集中力の維持

ハードなトレーニングを行っていると、カラダの疲労だけでなく集中力も低下していきます。その原因がセロトニンというホルモン。トレーニングを行っていると血中のBCAAの濃度が低下し、脳内にセロトニンが多く分泌されます。セロトニンが過剰に分泌されることで、疲労感をもたらし集中力を低下させると考えられているのです。

そんなときにBCAAを摂取すると、血中のBCAA濃度が保たれ、セロトニンの上昇を抑えて集中力を高く保つことができるようになります。

集中力の低下は、不意な事故やケガに繋がるもの。質の高いトレーニングを行うためには筋肉への影響だけでなく、集中力を維持するBCAAは必要不可欠といえるでしょう。

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