リーダーはあざといくらいに努力を見せた方が良い【里崎智也のビジネス現場で役立つ思考術#2】 (1/3)
元千葉ロッテマリーンズ捕手の里崎智也さんが『エリートの倒し方——天才じゃなくても世界一になれた僕の思考術50』(飛鳥新社)が上梓しました。
前編では、調子を維持するための方法や先輩との付き合い方について話を伺いました。後編の今回は、リーダーの取るべき行動やマネジメント方法、さらには子育てなどについても里崎さん流の考え方を教えてもらいました。
悪いところを探すのではなく、良いところを見つけて褒める
——前回、「自分が責任を取る」というリーダーは信用できないと聞きました。
自分が信頼されてなくて威厳もないし、説明力がないから、言うことを聞いてもらえないときに、そういうことを言うんじゃないですかね。
——その逆に、ロッテ時代のボビー・バレンタイン監督は、頭ごなしに指示するわけではなく、しっかり理由を説明しながら戦わせてくれたと本には書いていますね。
なかには、上司や先輩の言うことに「はい」と言わなきゃいけない組織もあるかと思いますが、ボビーはきちんとこちらの意見も聞いてくれる監督でした。ときにはリードや戦術をめぐって口論になったこともありますが(笑)。でも、それはケンカではなく、あくまでお互いの理解を高めるためのやりとりであって、それが結果としてチームに良い影響を与えていたと思います。
——WBCで指揮を執った王貞治監督は威厳があるタイプですね。
もう王さんは次元が違いますから。存在するだけで威厳がある。あとミスター(長嶋茂雄さん)も。このふたりの文句を言う人は聞いたことないですね。人間力が違うんですよ。
——では、ご自身が教える立場になった場合、どのような姿勢で後輩と接したのですか?
教える相手のことをひたすら観察しました。そいつがどんな心の持ちようなのか、何が良いのか、何が悪いのか。それを知らないと何もアドバイスできないですから。観察した後なら「調子が良かったときは、もっとこうしてたはず。次はこうしてみたら」って方法論まで落とし込んで教えられます。
——観察するうえで気をつけていたことはありますか?
とにかく良いところを探すことに注力します。悪いところを指摘するのは誰でもできるんです。でも、価値観が違う相手の良いところを見つけて、伸ばしていくのはすごく難しい。人間って、自分を上に見せたい気持ちがあるから、すぐに他人のダメなところばかり見てしまうんですね。「自分のチームがうまくいかない」っていう上司がいるとしたら「部下全員の良いところを5個言えますか?」って聞きたいですね。もし言えないのに業務が回ってるなら、部下が優秀なだけかもしれないですから。