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20代で現役を引退し、野球スクールを運営。King Effect増渕竜義氏(前編)【元プロアスリートに学ぶ、ビジネスの決断力 #2】

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 元プロアスリートという経歴を持ちながら、現在は別のフィールドで活躍している方をフォーカスする本企画。人生のターニングポイントで下してきた大きな決断にまつわるエピソードや、その時の心境など、今だからこそ語れる貴重なエピソードを紹介していきます。

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 第2回は、元プロ野球選手にして、現在は野球スクールの運営などを手がけるKing Effectの代表、増渕竜義氏に伺いました。

《後半はこちら》
・【元プロアスリートに学ぶ、ビジネスの決断力 #2】野球の技術よりも、おもしろさを伝えるスクールにしたい。King Effect増渕竜義氏(後編)

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現役続行の考えはまったくなかった

--日本ハムファイターズからの退団が決まった際、選手として現役を続けることは考えましたか。

 実はあるときから、まったく投げる感覚が戻らなくて。つまり、もともと自分が持っていた力をフルに発揮できない状態になっていたということです。フォームを変えたり腕を上げる高さを変えるなど、いろいろと試行錯誤してみたものの結局戻らなかったので、プレイヤーとして残る道は考えませんでした。なので、トライアウトも受けませんでしたし、独立リーグへの入団という道も頭にはありませんでした。

--引退を意識したのはいつ頃ですか。

 2015年のシーズンで結果を出すことができなければ、間違いなく戦力外を受けるだろうとわかっていたので、その時点である程度の覚悟はできていました。結果として悩みながらも最後まで一生懸命やり切ったので、現役を引退することに対して悔いはなかったです。

--20代で引退を決断されたわけですが、周りの反応はどうしたか。

 やっぱり、圧倒的に「もったいない」という言葉が多かったですね。古い友人たちからも、「まだやれるだろ?」と言われましたが、自分の力は自分が一番よくわかっているので。それに引退するという決断はすでに下してしまっていたので、みんなに情報が伝わったときにはもう次のことを考えていました。

--退団を決断された際、後のビジョンはあったのでしょうか。

 正直、何がやりたいのかわからない状態でした。プロで9年間プレーしたのですが、考えてみれば小学校4年生から27歳まで、ずっと野球漬けの毎日でしたから、野球ができなくなったら一体何をやればよいのか、明確なビジョンはまったく思い浮かびませんでした。引退してから一年間は友人の会社で働かせていただいたりして、その時間を使ってじっくりと考えました。

 野球以外のことに時間を費やしていくうちに、やはり野球に携わっていたいという気持ちが強くなり、まず指導員の免許を取りました。そのときはまだスクール経営というビジョンはなかったのですが、周囲からのすすめもあって、最終的に今のスクールを開くことを決めたという流れです。

元プロのセカンドキャリアとして使ってほしい

--野球に関わるお仕事は他にもいくつかある中で、なぜスクールを開こうと考えたのでしょう。

 まず会社を立ち上げようと思ったきっかけからお話しすると、現役を引退したプロ野球選手が、セカンドキャリアで野球に携わるケースはよくあると思います。例えばコメンテーターであったり、解説者であったり、大御所になれば球団の監督に就く方もいますよね。でも、それはごく稀なケースです。日本で大記録を残していたり、メジャーで活躍していたりという確固たる実績を残した方のみが手にできる立場だと思います。

 大半の選手は引退すると、サラリーマンとして第二の人生を歩んだりお店を構えたりと、野球とは別の環境でセカンドライフを送ります。でも、中には私のように本心は野球に携わっていたいと思う方もいるでしょうし、決してやりたいことではない仕事に就いている方もいるかもしれません。
 
 引退を決めた選手は、球団から後の就職先を紹介してもらえるシステムがあります。でも、会社名と待遇と簡単な事業内容を見ただけで、一体どんな会社でどんなことをするのかなんか明確にわかりませんよね。皆ずっと野球ばっかりやってきたわけですから。

 会社を設立し、そこでいろいろなことを経験し、多くの方と知り合って人脈を広げれば、野球人生を終えて次の人生に向かう方に仕事を紹介できるかもしれないし、もしかしたら一緒になにかできるかもしれない。そういう立場になれたらという願望もあって立ち上げました。

--つまり、セカンドキャリアに悩む方へのコンサル的な考えをお持ちということですか。

 やはりプロアスリートは、現役よりも引退後の人生の方がはるかに長いので、何となくで決められるものじゃないですよね。少しでもそういった方々の役に立てたらうれしいです。でも、会社を立ち上げてビジネスしていくんだという感覚とは少し違うかもしれませんね。私の場合は会社を大きくしてゆくことよりも、もっと多くの人と触れ合って、自分にとって大きな財産になるような人間関係を築いたり、野球のおもしろさや素晴らしさを広く伝えたいという気持ちが今は大きいです。社会に出るにあたって大事なのは、個の人間性と、人とのつながりだと思っているので。

--それは9年間の現役時代で得た価値観ですか。

 間違いなくそうです。プロの世界で本当に多くの方と知り合い、近付けたことによって、人として成長させてくれたと思っていますし、何よりそういった方々との関係は引退した今でも続いていたりして、本当に財産と言える大きなものを手に入れた気がしています。野球を楽しめたのはもちろんですが、やはり人との出会いが一番大きいでしょうね。

[後半はこちら]
・【元プロアスリートに学ぶ、ビジネスの決断力 #2】野球の技術よりも、おもしろさを伝えるスクールにしたい。King Effect増渕竜義氏(後編)

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増渕竜義(ますぶち・たつよし)
1988年5月3日生まれ。埼玉県草加市出身。元プロ野球選手。2006年、東京ヤクルトスワーローズにドラフト1位で入団。サイドスロー気味のスリークォーターから繰り出される時速150キロ台のストレートを武器に活躍。2014年に日本ハムファイターズに移籍し、翌年引退。現在は野球スクール運営などを手がけるKing Effectの代表を務める

<Text:上野慎治郎(アート・サプライ)/Photo:小島マサヒロ>

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