インタビュー
2017年7月6日

20代で現役を引退し、野球スクールを運営。King Effect増渕竜義氏(前編)【元プロアスリートに学ぶ、ビジネスの決断力 #2】 (1/2)

 元プロアスリートという経歴を持ちながら、現在は別のフィールドで活躍している方をフォーカスする本企画。人生のターニングポイントで下してきた大きな決断にまつわるエピソードや、その時の心境など、今だからこそ語れる貴重なエピソードを紹介していきます。

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 第2回は、元プロ野球選手にして、現在は野球スクールの運営などを手がけるKing Effectの代表、増渕竜義氏に伺いました。

現役続行の考えはまったくなかった

--日本ハムファイターズからの退団が決まった際、選手として現役を続けることは考えましたか。

 実はあるときから、まったく投げる感覚が戻らなくて。つまり、もともと自分が持っていた力をフルに発揮できない状態になっていたということです。フォームを変えたり腕を上げる高さを変えるなど、いろいろと試行錯誤してみたものの結局戻らなかったので、プレイヤーとして残る道は考えませんでした。なので、トライアウトも受けませんでしたし、独立リーグへの入団という道も頭にはありませんでした。

--引退を意識したのはいつ頃ですか。

 2015年のシーズンで結果を出すことができなければ、間違いなく戦力外を受けるだろうとわかっていたので、その時点である程度の覚悟はできていました。結果として悩みながらも最後まで一生懸命やり切ったので、現役を引退することに対して悔いはなかったです。

--20代で引退を決断されたわけですが、周りの反応はどうしたか。

 やっぱり、圧倒的に「もったいない」という言葉が多かったですね。古い友人たちからも、「まだやれるだろ?」と言われましたが、自分の力は自分が一番よくわかっているので。それに引退するという決断はすでに下してしまっていたので、みんなに情報が伝わったときにはもう次のことを考えていました。

--退団を決断された際、後のビジョンはあったのでしょうか。

 正直、何がやりたいのかわからない状態でした。プロで9年間プレーしたのですが、考えてみれば小学校4年生から27歳まで、ずっと野球漬けの毎日でしたから、野球ができなくなったら一体何をやればよいのか、明確なビジョンはまったく思い浮かびませんでした。引退してから一年間は友人の会社で働かせていただいたりして、その時間を使ってじっくりと考えました。

 野球以外のことに時間を費やしていくうちに、やはり野球に携わっていたいという気持ちが強くなり、まず指導員の免許を取りました。そのときはまだスクール経営というビジョンはなかったのですが、周囲からのすすめもあって、最終的に今のスクールを開くことを決めたという流れです。

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