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反省は調子が良いときにするべき!?【里崎智也のビジネス現場で役立つ思考術 #1】

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 元千葉ロッテマリーンズ捕手の里崎智也さんは、チームで2度の日本一に輝き、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)でも正捕手として世界一を成し遂げた名選手です。しかし、いわゆる“野球エリート”ではありません。実は大学時代までは教員免許を取って地元に帰ろうと考えていたそう。

 そんな里崎さんがプロ野球界で活躍できた理由を綴った著書『エリートの倒し方——天才じゃなくても世界一になれた僕の思考術50』(飛鳥新社)が上梓されました。

 ここで記された思考術は、その多くが常識の範疇を超えたものが多いものの、的を射ているものばかり。なかにはビジネスパーソンにとっても、ヒントになる考えや実践術が多数あります。その独自の考え方について、里崎さん自身に話を伺いました。

◆後編
「里崎智也のビジネス現場で役立つ思考術#2」リーダーはあざといくらいに努力を見せた方が良い

調子が良いときこそ“反省”するべき

——著書には、常識をくつがえすようなアイデアがたくさん詰まっています。

そうですか? ぼくにとってはこれが常識なんですけどね。

——例えば、「調子が悪いときに反省するのは意味がない」という点が印象的です。

究極を言ってしまえば、調子が悪い時期なんかない方が良いじゃないですか。その期間を短くするためには、調子の良い状態を保つ必要がある。だったら、調子が良いときの自分の状況を把握しておかないといけないですよね?

——確かにそうです。

そう考えたら、反省すべきなのは調子が良いときにかぎるんです。調子が悪いときって、何に絞って改善すべきなのか自分でもわからなくなるから。逆に調子が良いときって、何か悪いことがあっても改善点が明確で、それをポイントごとに修正できるんですよ。

——里崎さんが現役のときはどんなことに気をつけていましたか?

「立ち姿」と「構え」ですね。これがダメなときは、バッティングもキャッチングもすべてがうまくいってなかった。でも、自分の良いときの形を知っているから、うまくいっていないときでもどこが悪いというのがすぐにわかるんです。その悪い状態をパターン化していって、状況に合わせてベストな方法で改善していくんです。

——それは確かに良い状況をわかってないとできないことですよね。

だから、自分の状態を把握するための作業は怠りませんでしたね。試合前の守備練習には送球やキャッチングの動作確認をやっていましたし、客観的に自分の状況を把握するためにスカウティングの映像も見ていました。

——そういった里崎さんの考え方は一般のビジネスパーソンでも応用できそうです。

そうかもしれないですね。まずは自分のスケジュールを確認してみれば良いんですよ。もしかしたら、調子が良いときは朝起きる時間が早いのに対して、悪いときは出勤のギリギリになってる、とかあるかもしれないですよ。

一流ほど柔軟性が高く、ダメなやつほど頑固

——「小さいこだわりが無限の可能性を永遠に殺す」という章では、一流の人ほど柔軟性があるので、こだわりは捨てろと語っています。

ダメなやつほどこだわりが強いんですよね。「自分のやり方があるから」と固執してしまう。そして、だいたい人の話を聞かない。ビジネスの世界でも、結果が出てないのに自分のやり方に固執する人がきっといるはず。たまには人の意見に耳を傾けて、とりあえず試してみるのも良いんじゃないかって思いますけどね。一流の人ほど情報のアンテナを張り巡らせて、スポンジのように吸収しますよ。あのイチローさんだって、人の話はめっちゃ聞きますから。

——一流選手はそうやって得た情報をどのように役立てているんですか?

例えばトレーニングなんかも初動負荷、加圧トレーニング、フリーウェイト、体幹って、そのときどきによってトレンドがあるんですね。一流の人たちは、それらを全部試してみるんです。でも、効果が出るものもあれば、出ないものもある。10人中9人に成果が出ていたとしても、自分に合わないこともあるわけです。だから、いろんなものから成果が出ることだけ取り入れて、オリジナルに変えていくんですよあ。

——著書では、一流の人たちと触れ合うために図々しく登っていかないといけないとも語っていますね。

一流の人たちって、その人たちしか知らない情報を持っているんですよね。それはどの業界でもあると思うんです。お金持ちだけ知ってるとか、政治家しか知らないとか。プロ野球選手でも、活躍している選手ほど独自のネットワークがあるんです。それはやっぱり一流の人と接することでしか得られないんです。

——なるほど。

あと、一流の人たちと仲良くなると、自分では気付いていない悪いところを指摘してくれるようになるんです。これが大きな財産になります。普通の人ではわからない、もう絶対に教科書に載ってない視点から、いろいろアドバイスをもらえるので。

——著書ではイチローさんや小宮山悟さんとのエピソードがありました。一流の人に近づくためには、どのようなことをすれば良いでしょうか?

僕がまずしたのは趣味を共有することです。自分の興味があることを褒めてもらえたら誰でもうれしいですよね? ゴルフ、麻雀、飲みに行く……なんでも良いんですよ。ゲームだったら、一緒にやりながら、次に会ったときに「どこまでクリアしました?」って聞いてみたり。

——自分に自信がない、または人見知りだということで、憧れの人に声をかけづらいこともあると思うのですが……。

正直言って、「人見知り」は甘えだと思うんです。視力が低い人に「僕、目が悪いんです」って言われても、「じゃあ、メガネをかければ?」って思うのと同じで。人見知りなのは全然良いですけど、それをなにかができない言い訳にしたらダメ。ちなみに、僕が初めて小宮山さんに話しかけたときって、まだ一軍メンバーにもなっていなかったですけど、気さくに接してもらえましたよ。僕もそうなんですけど、やっぱり頼られたらうれしいんです。だから、ちょっとくらい図々しくお願いしても、断られることはあんまりないと思いますよ。仲良くすることでいろいろ教えてもらえるなら、絶対仲良くしておくべきです。

——里崎さんから後輩にアドバイスすることもあったのでしょうか?

慕ってくれる後輩なんかにはいろいろ言いますね。調子が悪そうな選手がいたら、「最近はこうだけど、調子良いときはこうやってたはずなので、それを試してみたら」とか。でも、仲良くない選手にはわざわざ言わないですよ。だって、面倒じゃないですか(笑)。

「責任」を取った人を見たことがない

——この本では、組織で出世するための思考法も語っています。上司は部下のことを4つの評価に分類しているとのことですが。

監督やコーチはこの4つの見方をしていて、これは会社やほかの組織のマネジメントも同じだと思っています。

  • 教えたとおりにやって、結果を出してくれる選手
  • 教えたとおりにやってるけど、結果が出ない選手
  • 好き勝手やって、結果が出ない選手
  • 好き勝手やって、結果を出す選手

そして、上から順に、監督やコーチにとって好感度が高い。自分の指導通りにやって結果を出してくれればベストだし、仮に結果がでなくても辛抱して使ってくれます。この考え方を知らずに、自分の好き勝手やって、起用されないことを「俺は嫌われてるから……」と愚痴を言っていてもなんの意味もないんです。

——この4つの見方について、いつから気づいていたんですか?

入団後すぐだったと思います。

——里崎さんはどのタイプだったんですか?

もちろん最初は能力もないし教えてもらわないといけないから、「この人だ!」と思えた人についていきましたよ。でも、自分のやり方が構築できてきたら、他人の意見を聞かないっていう選択肢を持つことも大切だと思います。例えば、シーズン途中で監督やコーチが変わることがあるんですけど、アドバイスが的を射ていないこともあるんです。しかも、それが一度やってみてダメだった方法だったりすることもあって。

——そういうときはどうしていたんですか?

もう無視ですよね(笑)。もちろん表立って拒否することはできないんで、口では「ハイ!」と言いつつも何もしないっていう。自分のやり方で勝負すると決めてやりました。嫌われようが、結果を出せばこっちのもんですから。

——でも、それは勇気がいる行為ですよね。

上の人が責任を取ってくれることなんてないんで、最終的には自分の意思を尊重していく方が良いと思うんですよ。「責任を取るから、好きにやれ」って言われてても、結果を出せなければクビになるし、降格させられることも普通にあるので。

——里崎さんの著書には「責任」という言葉が何度も出てきます。こだわりをお持ちですよね。

実は「責任」って言葉、大っ嫌いなんですよ。ちゃんと責任を取る人って滅多にいないんで。「何かあったら、責任取っておれが辞めるから」っていうけど、それは上司の責務じゃないですか。部下が何か問題を起こしたら上司が対応するっていう。それは僕に対しての責任ではなくて、上司に課せられている責任なわけで。仮にプロ野球選手に対して責任を取るってなったら、給料の補填をしてくれるか、球団からクビにならないように取り計らってもらうかのどっちかだと思うんですよ。それが僕のことになったら、責任を取れるのは家族のことだけ。それ以外で安易に「責任を取る」ということはできないはずなんです。

⇒後編へ続く
「里崎智也のビジネス現場で役立つ思考術#2」リーダーはあざといくらいに努力を見せた方が良い

 [プロフィール]
里崎智也(さとざき・ともや)
1976年5月20日生まれ、徳島県出身。鳴門工業高校から帝京大学を経て、1998年のドラフト2位で千葉ロッテマリーンズに入団。2005年、2010年には日本一を経験。2006年のWBCでは正捕手として日本を世界一に導く。2014年に現役引退し、2015年1月より、千葉ロッテマリーンズのスペシャルアドバイザーに就任

<Text:森祐介/Photo:今井裕治>

 

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