インタビュー
2017年5月30日

リーダーはあざといくらいに努力を見せた方が良い【里崎智也のビジネス現場で役立つ思考術#2】 (2/3)

小さな成功体験が大きな成果を生み出す

——勝てるチームを作るために必要なのは、成功体験だとも語っています。

小さなことでもい良いので、チームで成果を上げたという成功体験が重要ですね。例えば、ボビー(バレンタイン監督)は、勝っている試合にベンチの選手をどんどん出場させていました。そうすると、途中から出場した選手も「自分も勝ちに貢献した」と実感が持てるので、充実感が得られて士気が上がるんです。日本のスポーツ界では、大差で負けてる試合で控えを使って主力を温存する傾向があるんですけど、それではチームが負けを共有するだけだから逆効果だとボビーは言っていました。ビジネスでも成功してるプロジェクトにちょっとでも参加できれば、士気が上がると思うんですよね。

——ただ、勝っている試合や、大事なプロジェクトで主力以外を使うのは、少し心配な面もある気がします。

そこをうまくやっていくのが上に立つ人間の度量だと思います。プレッシャーをそこまで感じずに、ふだん通りやること。野球で言えば、試合に負けた責任を取るのは監督ですよね。だって、僕が5本ホームラン打って負ける試合もあれば、5三振して勝つ場合もあるわけで。もちろん勝つための最善を尽くしますけど、結果にまで責任は持てない。

——たしかに、会社に置き換えても、ひとりの会社員に、会社全体の業績の責任はないですね。

営業が10部あったとして、そのうちの1部だけ成績が下がっても、会社が傾く……ってならないですよね。ひとつのプロジェクトの成否にプレッシャーを感じすぎないようにして、うまくいってるプロジェクトに若手をどんどん関わらせていけば、チームの士気がどんどん上がっていくと思います。

リーダーは率先して努力を見せていくべき

——ビジネスマンのなかには、若くしてマネジメントをする立場になる方もいます。年上や、自分よりできる部下がいる場合もありますが、リーダーとして信頼を得るためにはどのように振る舞うべきでしょうか?

そもそも、僕は年齢を気にしたことがないんです。一線を越えないように上の人を立てることはしますけど、言うべきことは言ってきました。ただ、それをするためには、自分が正しく生きている必要がありますよね。「お前だって〇〇ができてないだろ」って言い返されないように。遅刻するなって言って、自分が遅刻しないとかね。

——それをしてしまったら本末転倒ですよね。

そういった隙を与えないためには、あえて周りに努力している姿を見せることも必要で。バント練習とか、必ずしもやらなくても良い練習まできっちりやるんです。あとは、あえて誰よりも早く出社して「あの人、何時から来てんの?」って思わせたり。

——なかには努力をしていることを周りに見せたくない人もいると思います。

「努力は影で」って言う人もいますけど、それが評価されるのは結果を出してる人だけ。もちろん、見せる努力ばっかりしても意味ないですよ。ただ、リーダーは結果だけ出してるだけではダメなんです。もちろんミスしてしまうときもあるんですけど、リーダーとしては「サトさん(里崎さんの愛称)が、あれだけ練習しててミスするなら仕方ない」って思われるくらい、しっかり準備するんです。その積み重ねが信頼につながっていくわけです。

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