ライフスタイル
2018年11月27日

子どもの脳の発達を促す「ビジョントレーニング」のやり方 (2/2)

 このような実験があります。速読が得意で、野球をやったことがない小学生くらいの子どもに、バッティングセンターで時速100kmの球を投げてみました。すると、素人なので飛ばせはしないものの、当てることはできたのだそうです。素人にとって、時速100kmはかなり速い球であるにもかかわらずです。

フラッシュカードを用いて、会話をしながら行おう

 このように聞くと、「それならば、さっそく2倍速・3倍速の動画を見せよう」などと考える親御さんがいらっしゃるかもしれません。しかし、それはおすすめしません。

 アメリカ小児科学会ではタブレットPCについて、「2歳までは見せない方がよく、2~5歳でも1時間までに制限したほうがよい」と発表しています。理由としては、言葉の発達の遅れに関係するためとしています。また、寝る前にテレビやタブレットPCを使っていると、寝つけなくなって生活リズムの乱れにつながります。遊んでいるときにテレビを背後で流しているのも、集中できなくなり注意力を低下させます。そのため動画ではなく、フラッシュカードを用いて喋りながら行う方がよいでしょう。

 私自身も受け持っているチームで、ボールを複数個使用して素早く行う練習を増やしました。その結果、選手のプレーの質が上がり、新体力テストが市内最低水準の学校のチームであるにもかかわらず、県大会優勝しています。もちろん、それだけが要因とは言えないかもしれませんが、選手の目がよくなり(視力ではなく見ている部分やタイミングなど)、戦術などの理解力も高くなったと効果を実感しています。東大生の多くが七田式を行っていたというのも頷けます。

「ビジョントレーニングは、脳を育てる」といっても過言ではありません。とくに小さい時期に有効ですので、ぜひお子さんに試してみてはいかがでしょうか。

関連記事:視覚能力を高めれば、パフォーマンスもアップする。スポーツビジョントレーニング3選

[プロフィール]
赤堀達也(あかほり・たつや)
1975年生まれ。静岡県出身。小中学校・大学でバスケを指導し、小・大で全国出場、公立中学で県Best4 に入るなどの実績を残す。最高は全国準優勝。選手育成は独創的理論による論理的指導で行い、新体力テストが最低水準校で県大会優勝、高校時代に日の目を見ない大学の選手で東海1部に昇格した。また幼児・高校の体育も行い、全年齢の子どもに携わる。現在は群馬医療福祉大学で教鞭を執り、幼児の体育・健康の授業や研究を行っている。また学校における働き方改革の部活動問題の解決に向け、社会体育クラブを設立・活動している。
【HP】 https://mt-a.jimdo.com

<Text:赤堀達也/Photo:Getty Images>

1 2