インタビュー
2022年2月7日

スケート、ダンス、サッカー。“何かのために”ではなく純粋に楽しむ、だから続く。スピードスケート髙木美帆(前編)│子どもの頃こんな習い事してました #1 (3/3)

どうでしょうか。決してまじめな生徒ではなかったですけど、確かに、集中するところは決めていました。「ここはテストに出るな」というところはしっかり聞く。そういう悪知恵は働いていましたね(笑)。

――集中力以外にも筋肉を総合的に鍛えられるなど、さまざまなスポーツを平行して行うことのメリットは大きいと思います。特にダンスをしていたことで、スピードスケートに大切な股関節周りの筋肉が鍛えられたというお話もあるようですが。

自分ではそんなことを考えて踊っていたわけではないんです! 振り返ってよかったと思うのは、どのスポーツも「何かのためにやっている」という感覚がなかったこと。結果的には、サッカーもダンスもスケートに活きて、パッと見、スケートのためにがんばっていたように思われることがあるんですが、私としては純粋にやりたくてやって、がんばりたくてがんばっていたんです。だから練習や大会のためにあちらこちらに行っても苦にはならなかったんだと思います。

特にダンスは、レッスン日は「やった、ダンスだー!」という気持ち。高校に上がってからはそれまで以上にダンスの楽しさに惹かれていました。友だちもスケートと平行して同じダンス教室に通っていたので、ふたりで一緒に行っていたのもいい思い出です。

――他にダンスで思い出深いできごとはありますか。

やはり発表会ですね。ステージに立つとテンションが上がってきて、スケートのレースとは違う緊張があって楽しかった。どうすれば思いを表現できるかを考えて、できないところは何回も試して、純粋に体を動かすことがおもしろい。今でもたまにダンスのレッスンに行くことがあります。

――本当にダンスがお好きなんですね。

東京に住んでいたときも単発クラスのレッスンを受けたことがあります。今は帯広が拠点なので、ずっと通っていた教室にたまに行っています。スケートの練習があるので月1回も行けていないのですが、先日、無性に踊りたくなって「今週は絶対に行く!」と決めて、そのために予定を組んで。たまたま一番最後に出た発表会と同じ曲のレッスンだったので、うろ覚えながら一緒に踊ってきました。私がやってきたスポーツのなかでダンスは唯一表現するスポーツなので、もっと深く追究すればよかったなと思うことがあります。

⇒後編に続く
「勝ち負けに関しては何も言わない」。天才少女を生み出した両親の“子どもの伸ばし方”。スピードスケート髙木美帆(後編)【子どもの頃こんな習い事してました #1】

※本記事は2017年8月に公開されたものを再編集したものです。

[プロフィール]
髙木美帆(たかぎ・みほ)
1994年生まれ、北海道幕別町出身。日本体育大学氷上スポーツ研究室助手。2010年、中学3年のときにバンクーバー五輪に出場。2012年、W杯ソルトレークシティ大会1000mで世界ジュニア新記録を樹立。同年、冬季ユニバーシアード1000mで金メダルを獲得。2015年の世界距離別スピードスケート選手権団体パシュートで日本初の金メダルをもたらす。2017年、オールラウンダーの世界一決定戦である世界選手権で総合3位、W杯の団体パシュートで優勝。18年平昌五輪女子団体追い抜きで金メダル、女子1500メートルでは銀メダルを獲得。

<Text:安楽由紀子+アート・サプライ/Photo:小島マサヒロ、Getty Images>

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