「人生のターニングポイントに必ず父の一言があった」。キックボクサー勝次が、苦節8年でチャンピオンベルトを手にするまで (2/2)
そうですね。キックをはじめて13年、東京に出てチャンピオンになるまで8年かかりました。20代前半が現役のピークと言われるなか、僕は28歳でチャンピオンになったのでかなり遅咲きなんです。
まず試合をしても勝てない。そのうち引き分けが4回続いて「名前は勝次(かつじ)だけど、引き分けばっかりだから分次(わけじ)だな」とか言われたり(笑)。大きな怪我で入院して試合に出られないときがあったり、タイトルマッチをなかなか組んでもらえない状態が3年くらい続いたのも苦しかった。でも、その時期があったから負けん気が強くなって、ますます練習に力を入れたので強くなれたんです。振り返れば挫折ばかりの日々でしたが、一度もやめたいと思ったことはありません。
僕は、ファンの声援がなければリングに立っていられない
――これまで、いろんな人に支えられて来たと思うんですが?
そうですね。上京したての頃はとくに、毎日の食事もままならない状態だったので、飲食店の方には本当にお世話になりました。僕は気に入った店には毎日通うクセがあって(笑)。上京したての頃に、毎日行っていたある定食屋のご夫婦はたくさんサービスをしてくれましたね。減量中のときも手厚くサービスしてくれるので困ることがありましたが(笑)、試合結果に一喜一憂してくれていたので、その人たちに喜んでもらいたいと試合に臨んでました。
また鴇さんにも、なかなか芽が出ない僕を見捨てずに励まし、根気よく育てていただきました。鴇さんの指導のもとで頑張ってきた人たちはみんなチャンピオンになっていくのを目の前で見ていたので、タイトルに挑戦できるまで3年待っていた間も、次は僕がチャンピオンになると信じて頑張り続けることができました。
そして、この道に導いてくれた親父もずっと「チャンピオンになれ」と応援し続けてくれた大事な人でした。実は上京して3年目の頃、親父がガンで亡くなったんです。それを機に、「チャンピオンベルトを絶対親父の墓に持って行く」と僕の中で何かスイッチが入った気がします。その結果、チャンピオンになるという目標が達成できたんですよね。僕の人生のターニングポイントには、常に親父の一言があったんだなと思います。
――12月10日には、大きなタイトルをかけた試合が行われますね。
『KING OF KNOCK OUT 2017 両国国技館』という、日本で最強を決めるライト級トーナメントの決勝が両国国技館で行われます。そこで優勝するのが今の目標です。僕の所属はキックボクシング発祥の目黒藤本ジム。相手の森井洋介選手の所属は創立50年の歴史がある目白ジム。過去50年の間、目黒vs目白の対決がなかったんです。名門ジム同士の禁断の対決ということで、格闘技ファンは盛り上がっていますね。
――どんな試合になるか楽しみです。
対戦相手の森井洋介選手は気持ちが強く、パンチはもちろんキックボクシングならではの肘もうまい。さらにしっかりコンビネーションでローキックを散らしてくるので、はっきりいって抜け目がない。僕もパンチには自信があるので、きっとパンチを食らったほうが負けるでしょう。気を引き締めていかないと、と練習に励んでいるところです。お互いジムの伝統や先人の気持ちを背負って戦うので、絶対負けられないですし、どっちも気持ちが折れないと思います!
僕は本当にたくさんの人に支えられて来ました。ダウンをしたとき、また立ち上がるためにはファンのみなさんの声援がとても力になります。最後にリング上で笑っているのは僕だというイメージを常に持って練習しています。お互いの人生と伝統を背負った戦いを、ぜひ会場に観に来てください。応援よろしくお願いいたします!
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心身を鍛え、人に優しい子に育つ。キックボクシング王者・勝次が教える「キッズクラス」とは | 子育て×スポーツ『MELOS』
[プロフィール]
勝次(かつじ)
1987年生まれ、兵庫県出身。目黒藤本ジム所属 新日本キックボクシング 日本ライト級王者 戦績54戦36勝(13KO)11敗7分(2017年10月現在)キャッチコピーは「蒲田のロッキー」。2016年度内閣総理大臣杯日本プロスポーツ大賞 功労賞受賞
[取材協力]
Kick Box
http://kickbox.jp
『KNOCK OUT』
http://www.knockout.co.jp
<Text:パンチ広沢/Edit:アート・サプライ(丸山美紀)/Photo:玉井幹郎>
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