2017年10月26日

“ロケーション”と“コミュニティ”がカギ。未知との出会いを楽しめるランナー向けサービス「Runtrip」とは? (2/2)

「『Runtrip via』というアプリと連動したランニングイベントのための仕組みを作ったんです。『コースは自由。ゴールで乾杯。』をキャッチコピーに、ゴールの時間と場所だけが決まっていて、出発地とコースは参加者が自由に決めるというものです」(大森さん)

▲「Runtrip via」は“ロケーション”と“コミュニティ”を楽しめる

 マラソン大会のようなイベントは、コースがすべて決まっていて、そのなかで順位を競うのが一般的。けれど「Runtrip via」は、コースが決まっておらず、ゴールの場所と時間だけが決まっています。だから参加者は、自分のレベルや体調に合わせて、自分で走るコースと距離を決めることができます。

 ただし走るルートや距離はバラバラでも、目的地と到着時間は同じ。だから、ゴールに近づくにつれて、同じイベント参加者と出会えるという仕組み。専用のアプリも用意されており登録すれば、アプリ上で近くの参加者を探すことも可能です。

「表参道をゴールにしたイベントでは、一番遠いところで千葉県の佐倉市から70キロも走ってきた方もいれば、最寄り駅から500メートルほど歩いて参加した妊婦さんもいました。まったく違うコースを走ったけれど、ゴールするタイミングは同じ。レースでゴールする時は基本的に1人です。苦労しながらゴールできた、その喜びを誰とも共有できないのはしんどい。でもみんなで一緒にゴールすることで、コミュニティが生まれるんです」(大森さん)

 ゴールした後は、新しい仲間たちと一緒に完走を祝して乾杯。「コースは自由。ゴールで乾杯。」というキャッチコピーはそこから誕生しました。また乾杯だけじゃなく、例えば音楽フェスと一緒に開催すれば、一緒にゴールしたらそのままライブに突入し、大いに盛り上がることができます。つまり、イベントごと、ランナーごとにいろんな楽しみ方ができるのです。

「事故で大ケガをして走れなくなったランナーが、競争じゃないからということで参加してくれたことがあるんです。その時は2年半ぶりに自分の足でアスファルトを蹴ったそうで、『(イベントに参加して走った)この日のことは忘れません』という声をいただきました」(大森さん)

 さまざまな企業や自治体などに「Runtrip via」を利用してもらうことを目標としていると大森さんは語ります。

「僕らが目指したいのは、毎週何百件もの『Runtrip via』イベントが行なわれている世界。どの地域に行っても『Runtrip via』が開催され、イベントに参加することでその土地のランナーと出会えたり、『Runtrip』で素敵なコースと出会えたりする。そんな未来を作り上げたいと思っています」(大森さん)

「Runtrip」の達人がおすすめするランニングコース

最後に、大森さんと川端さんのおすすめコースを聞いてみました。

■大森英一郎さんのおすすめコース■

「横須賀ランナーのメッカ。まぼちょくコース」

「ここは神奈川県・横須賀の海岸沿いに走る馬堀海岸直線道路、通称『まぼちょく」を走る、全長約11.3キロのコースです。猿島(横須賀にある東京湾最大の無人島)が見えたり、素敵な公園があったり、記念艦みかさを見ることもできます。米軍関係の外国人も多く走っているので、まるでアメリカのカリフォルニアのような雰囲気を味わえます」

拠点施設には「横須賀温泉 湯楽の里」が利用できるので、荷物や着替えなどの心配もないとのことです。

■川端康夫さんのおすすめコース■

「都会の隠れ道・桃園川緑道をゆく」

「東京の大久保から荻窪まで約7.1キロのコースです。桃園川緑道というのが、新宿区、中野区、杉並区にかけてあって、むかし桃園川が流れていたところが塞がれて道になっているんですよ。だから、川の流れのように緩やかに蛇行したり、昔の橋の欄干が残っていたりします。ここって昔は川だったんだ!という痕跡が垣間見えます」

なんだか人気TV番組「ブラタモリ」みたいですね。川端さんは、こんなふうに町の歴史がわかるコースを見つけるのが楽しみなんだとか。

▲左が大森さんのおすすめコース。右が川端さんのおすすめコース

「Runtrip」は、タイムや距離を競う以外の走る楽しみを見つけることができます。走ることは、自分の足で自由にどこにでも行けるということです。だからこそ、コースそのものをもっと楽しむことができ、また仲間と一緒に走ることもできます。新しいランニングコースや仲間と出会う喜びをここで見つけてみてはいかがでしょうか。

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<参考サイト>
・Runtrip
https://runtrip.jp/
・Runtrip via
http://via.runtrip.jp/

<Text & Photo:青山祐輔(H14)/Photo:Getty Images>

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