元・引きこもり少女がプロレスと出会って幸せを掴むまで (2/2)
プロレスでは毎日「生きているな」と実感
プロレスラーとして12年目の大畠選手。「はじめたころは、日々できることが増えていくことがうれしくて楽しかったです。試合では負けっぱなしだったのですが、そんな中で、勝てたりすることも楽しかったんです」と回顧。
プロレスを始めてから、「毎日、『生きているな』と感じています」とも。
「最初のころは受け身が下手でした。受け身に失敗して頭を打ったりすると、『次の日に起き上がることができるのかな』と心配で、『もしかして、ここまま死んでしまうのではないか』と思うこともありました。それで、次の日に起き上がることができると、『今日も生きている!』と感じました」
さらに、充実感も。
「吹奏楽部の発表会は複数のメンバーで舞台に立っていました。でもプロレスはそうではない。1人でリングに立って、すべての注目を浴びるということは初めての経験。プロレスの試合を観に来てくださる方を含めて、私の人生がこんなに大勢の人と関わるものなるとは思っていなかったので、充実感がありました」
そんな大畠選手に、プロレスラーとしての目標を尋ねてみました。「後楽園ホールを満員にすることです。私がチャンピオンのうちに満員にしたいです」と目を輝かせます。
「海外進出については、『プロレスをやっているなら(世界最大のプロレス団体であるアメリカの)WWEを目指すべきだ』という意見があります。ただ、私はそう思わなくて、女子プロレスに関しては、日本が一番クオリティが高いと思っています。私は、その日本の中で一番になりたいと思っています。それに元引きこもりなので、日本から出たくないんです(笑)」
引きこもってしまっている中高生へ「自分が輝ける場所を見つけてほしい」
「プロレスは楽しい」と語る大畠選手。
「痛いのですが、やり返したときの爽快感の方が上回ります。『顔面バーン』という、相手をうつぶせにさせて、両手を掴んで持ち上げ、背中を踏みつけて、相手の顔面をマットに打ち付ける技があるのですが、そういう技をしたときに、お客さんが驚く顔を観るのも楽しいんですよ(笑)」
5月25日に、プロレスラーの大石真翔選手と結婚することを発表しました。大石さんが所属するプロレス団体「DDTプロレスリング」の大会開催中に、大石さんからプロポーズを受けるというサプライズで、大石さんはその場にあったナットを指輪代わりにして大畠選手に贈りました。
引きこもりから脱却するためにプロレスの世界に飛び込み、トップ選手として活躍し、さらに女性としての幸せも掴んだ大畠選手ですが、どんな家庭を作りたいかを質問してみると、「普通でいいです。2人とも元気で、毎日、2人で笑って過ごせたらいいなと思います」と自然と笑みを浮かべながら明かしました。
▲大石真翔さんとの結婚を発表し幸せいっぱい!
最後に、かつての大畠選手のように、引きこもってしまっている中高生に向けてメッセージをもらいました。
「引きこもってしまったら、周りが無理に外に出そうとしても絶対に無理です。本人がやる気にならないとダメなんです。私が何に一番突き動かされたかといいますと、危機感です。私はこのまま生きていたら、両親の方が絶対に早く死ぬし、社会にも出られなくて、お金も稼げなくて、食べていけなくて……という危機感で動くことができました。
私はたまたまプロレスと出会って、婚約もして、今、とても幸せです。人にはそれぞれ、向いていることが絶対にあると思います。『嫌なことからは逃げろ』とは言いませんが、今やっていることが違うなと思ったら、次に踏み出してみることもありなのではないかなと思います。
私は、死ぬ気でプロレスをやりました。必死になれるもの、熱中できるものを探し、自分が輝ける場所を見つけてほしいなと思います」
[プロフィール]
大畠美咲(おおはた・みさき)
1989年1月5日宮城県仙台市生まれ。プロレスリングWAVE所属。2006年にJDスター女子プロレスに入門し、その年の12月にデビュー。現在はプロレスリングWAVE所属。2018年5月DDTプロレスリングの大石真翔選手に試合中にプロポーズされ、婚約。
【公式ブログ】https://ameblo.jp/misaki-6415/
【公式Twitter】https://twitter.com/misakiohata
<Text&Photo:竹内みちまろ(H14)>