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2021年11月6日

運動しながらゴミ拾い!「スポGOMI」が10年続いてきた理由とは (3/3)

2016年にはロシアで開催。国内の企業や自治体とも連携

――スポGOMIは海外でも開催されていますね。

日本以外ではロシア、ミャンマー、韓国、アメリカで開催しました。初の海外となったロシアのトムスク州では、州知事が来日したときにスポGOMIに興味を持ってくれたことがきっかけで、2016年の6月に開催しました。当日はロシアのメディアも取材してくれて、けっこうな盛り上がりでしたね。

――ロシアと日本ではゴミの傾向に違いはありますか?

日本では産業廃棄物、タイヤやバッテリーの粗大ゴミはNGですが、トムスク州ではそれらの処理業者も来てくれたのでOKにしたんです。そうしたら、鉄のかたまりや大きなタイヤを拾ってくるチームがいまして(笑)。日本の場合、100人の参加者に対して100キロのゴミが集まればかなり多い方ですが、トムスク州では1トンのゴミが集まって、計量するのに大変でした(笑)。

ロシアトムスク州のスポGOMIで集まったゴミ

――国内では企業や学校と連携しての開催もありますね。

東急グループさんでは部署間交流の活性化を目的に渋谷で開催したり、多摩市にあるJTB情報システムさんは市と協力して地域貢献を目的に開催したり、いろいろな目的でスポGOMIを実施されています。

横浜商業高校ではスポーツマネジメント科の授業を受け持っています。イベントを開催するときの方法やそれに伴うリスクを教えて、最終的には生徒主導でスポGOMIを開催してもらいます。チラシ作り、近隣住民への参加のお願い、当日のテント組み立て、司会まで、すべてをやってもらいます。

楽しみながら続けられる社会貢献として

――単にゴミ拾いと聞くと苦行っぽくなりますが、スポーツ化することで参加者が気軽に社会貢献できるようになっていますね。

やっぱり、継続するにあたって楽しさは大事です。スポGOMIに参加することでゴミに対する意識が変わって、継続して参加してくれる子もいます。以前、小学校卒業の思い出に参加した女の子が優勝をして泣いている姿を見て、その親御さんも涙することがありました。普段ゴミ拾いで泣くことなんて絶対にないですからね。

スポGOMIをはじめた当初は「それって遊びでしょ?」とさんざん言われたんです。そんな思い込みを払拭するために、国立環境研究所にお願いして2年間にわたってスポGOMI参加者の環境意識の変化を調べてもらいました。

結果、ゴミ拾いへの抵抗やポイ捨てがなくなり、環境意識が高まったことが実証されました。スポGOMIに参加した小学生が帰り道でもゴミを拾いながら帰ったり、普段歩いているときもゴミに目が行くようになったり、プラスの影響が多く報告されています。

会社員時代と違って、スポGOMIは皆さまからいただいたお金分の価値は提供できているという自負があります。お世話になっているクライアントからも「楽しかったよ」と言われる機会が増えました。「スポーツのチカラで、地域の社会貢献を解決!」をコンセプトに、今後もスポGOMIを広めていきたいですね。

[プロフィール]
馬見塚健一(まみつか・けんいち)
一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブ代表。1967年鹿児島生まれ。大手広告代理店の営業からプランナーへ転身し、2006年に環境とスポーツをデザインするブランディング集団「まわるプロジェクト」を設立。「ap bank」の連携先として「ゴミは幸せの抜け殻 mawarufukuro」という利益還元型のゴミ袋を発表。2009年、一般社団法人日本スポGOMI連盟を設立。ゴミ拾いという社会貢献活動にスポーツの要素を取り入れた「スポGOMI大会」を主導。現在は「スポーツで、国や地域の社会課題を解決する。」をテーマに、一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブに社名を変え、環境保全以外の社会課題の解決にスポーツを掛け算する事業を展開している。
【スポGOMI公式サイト】http://www.spogomi.or.jp/

<Text:舩山貴之(H14)/Photo:辰根東醐>

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