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2020年12月17日

“走る”ゴルフ「スピードゴルフ」とは。いかに早く、少ない打数でホールアウトできるか

 社会人の嗜みとして知られるゴルフ。イメージとして、「一打一打を集中して臨む」「ラウンドを回るのに時間がかかる」などと認識されている方は多いでしょう。しかしゴルフには、特殊ルールがついた独自の競技がいくつか存在します。その中でも、いかに早く、そして少ない打数でホールアウトできるかを競う『スピードゴルフ』をご存知でしょうか。  

 一般的なゴルフとは違う、その特殊な競技性についてご紹介します。

近年、広がりを見せる新競技

 スピードゴルフとは、その名の通り「いかに早くホールアウトできるか」を競うスポーツです。始まりは1970年代のアメリカとされており、2000年には『Speedgolfインターナショナル』が設立。その後、海外で広まりを見せ、2012年には世界選手権が開催されました。日本でも2014年に『第1回日本スピードゴルフ選手権』が開催されるなど、徐々に浸透を見せています。

 通常のゴルフとは違って“早さ”を競うため、集中力に加えて「走る体力」や「瞬時の判断」が必要不可欠。ゴルフの腕前は今ひとつでも、それを体力で補うことができるのがスピードゴルフの最大の特徴でしょう。

 この競技を普及させるため、日本スピードゴルフ協会は2017年5月に俳優の鶴見慎吾さんをスピードゴルフアンバサダーに任命。鶴見さんは2016年の『第3回日本スピードゴルフ選手権』や2017年3月にテレビ放送された『芸能人スピードゴルフ王決定戦』にも出場しており、競技の“第一人者”としてさまざまな普及活動を行っています。

スコアとタイムの合計を競う

 では、具体的にどのようにして競うのか。スピードゴルフのスコアは、ラウンドスコアとタイムの合計で勝敗が決します。つまり18ホールに『スコア90』、そして『60分』の時間をかけると、【90+60=150】が競技スコア(SGS)になる仕組みです。世界記録は2005年に樹立された109.06。スコア65、タイムが44分06秒という、速さと正確性を極めた前人未到の大記録です。なお、日本記録は122.31となっています。

 また、この競技には7本以内しかクラブを持つことが許されない“縛りルール”が存在します。そのため、競技者はいかに少ないクラブでホールアウトするか、いかに同じクラブで距離を打ち分けることができるかが試されるのです。

 ただし、7本以内であればその組み合わせは自由。ドライバーやアイアン、パターなど、自分の得意なクラブを組み合わせて挑みます。7本クラブを持参すれば有利にゲームを進めることができますが、この競技は“早さ”も競わなくてはいけません。そのため、持ち運びの利便性も考慮する必要があります。大会参加者の多くは4〜5本のクラブをチョイスし、セッティングを行っているようです。

 そのほか、通常のゴルフとは異なるスピードゴルフ独自のルールについて、いくつかご紹介しておきましょう。

☑ タイムロスをなくすため、カップからピン(旗竿)を抜かない
☑ OBの場合は1打罰に加え、以下の3通りの処置を行う
 ショットの打ち直し
 OBに入った位置から2クラブ分の範囲で、ホールに近寄らなければドロップをしても良い
 打ったショットのライン上に、ホールに近寄らなければドロップしても良い

 まだ日本では新しい競技のため、認知度は高くありません。しかし、通常のゴルフにはない新鮮さを秘めた競技と言えるでしょう。日頃からゴルフに親しんでいる方、あるいはゴルフ経験者で足に自信があるという方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。これまでにない、新しい刺激が得られるかもしれません。

・参考サイト
日本スピードゴルフ協会
http://company.golfdigest.co.jp/speedgolf/

<Text:松永貴允/Photo:Getty Images>