2020年12月23日

どうしてゴルフに審判はいないのか? (2/2)

ルールを守らせるマーカーという存在

 このルールスクールも日本ではまだまだ、受講者も少ないようですが、今後徐々に増えてくるはずです。ゴルフは競技委員も、ルーラーも審判ではなく、あくまで審判は自分自身というスタンスで、競技が行われています。しかし同じ組にマーカーという人が必ず一人います。

 正式な競技では、スタート前に、同組の同伴競技者がマーカーとして指定されます。1人のマーカーが他の2人競技者のマーカーを兼ねることはありません。1人に1人のマーカーが付きます。そして自分のスコアを自分でつけません。同じ組でプレーする同伴競技者の1人が、自分のマーカーとなりスコアを付けてくれます。

 正式なスコアは、マーカーが書いたスコアで、マーカーが提出します。つまり競技者本人は、自分のスコアを付けなくていいのです。もちろん確認する必要がありますから、自分のスコアを付けて、ホールアウト後提出前に相互確認し提出します。ゴルフにおいて自分自身が審判であると同時に、マーカーも審判であるのです。

 全英オープンなど、メジャーな試合では、決勝は1組2人でプレーするものの、キャンセルが出て、1人だけの組みができることがありますが、マーカーとして、そのコースのクラブプロなど、関係者が同伴しマーカーの役割を果たしてくれます(もちろんスコアはカウントされません)。

 「ゴルフは紳士のスポーツ」だから、審判が必要ないのではなく「審判は自分自身」で、ルールの処理でわからないことは、競技委員に聞くというのが、ゴルフのスタイルだと、僕は認識しています。

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[著者プロフィール]
マーク金井(まーく・かない)
クラブアナリスト。ゴルフ誌だけでなく、TV、ラジオなどさまざまなメディアで活躍する、自称「ゴルフ芸人」。ハンデ3の腕前と豊富な知識を活かした、わかりやすい試打レポートには定評がある。最近はクラブ設計者としても活躍、メーカーが作れなかった、アマチュアを救うクラブを設計。悩めるゴルファーのために自らゴルフスタジオ・アナライズを主宰している。最近発売した電子書籍「一生役立つゴルフ」シリーズ3部作は、アマチュアゴルファーを救うコースマネジメントや考え方が話題となり、電子書籍としては、記録的な売上を記録して、書籍として発売される。
■ANALYZ
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<Edit:松田政紀(アート・サプライ)/Photo:Getty Images>

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