インタビュー
2020年1月1日

ハードル界が今アツい!W日本記録保持者に聞いた強さの秘密とは?高山峻野×寺田明日香[新春特別対談](前編) (2/2)

ふたりの練習の共通点とは

—— 高山選手は以前、今年記録が伸びたのは100mのスピードがついたからだと話していましたね。寺田選手もハードルの練習よりも走る練習を重視しているそうで、そのあたりは共通するものがあるのではないですか。

高山:走りのタイプはすごく似ていると思っています。日本のハードルではけっこう走れない選手が多くて、「ハードリングを磨いて」というパターンなので。僕もスピードをあげればハードルも早くなるという考え方に、最近になってシフトし始めているんですが、ここまでくるには時間がかかっているので、寺田さんも大変なんじゃないかと思います。

寺田:私も1回やめてから6年ブランクがありましたからね(笑)。

高山:本格的にスピードを磨き始めたのは1年くらい前からです。それまでは、スピードがハードリングに生かされているとは思っていなくて。ただ、考えてみると走れている時の方がハードルのタイムは良かった。そういうところから、まずはスプリントをあげて、それに対応したハードリングをしようとコーチとも話をするようになって。

寺田:私もさんざん言われていました。でも最初はハードリングを考えていなくて、スプリントのなかでハードルが来たから跳ぶみたいなくらいだったんです。高山くんもけっこうウエイトトレーニングをやっていますよね。私はラグビーをやってからウエイトをやるようになったけど、一度陸上を離れなかったら必要だって気づけなかった。陸上をずっと続けているなかで、自分でやり始めているのがすごいなと思っています。

高山:ウエイトではけっこう追い込むけど、走りの面ではそんなにスピードをあげたりしませんね。寺田さんは子育ても家事もあるので、練習時間が短いと聞いていますけど、両立はどうやっていますか。

寺田:年齢的にリカバリーもしなければいけないから、終日休みをどれだけ作るかというのを考えていて、練習は週4日です。火、水、金曜日は午前中にウエイトかムーブメントをやって、それから走る練習に行く。それで土曜日は走る練習だけ。午前中は2~3時間やって、走る方は2時間くらいですね。

高山:そう考えたらすごく練習をしてますね。3日間は1日5時間だと、週17時間ですね。僕は1日3時間で週5日だから15時間。全然寺田さんの方が多いですよ。それでいて、中身のある練習をしているんですね。

寺田:そう言われればそうか。でもその練習は、その1回1回で魂抜けてますよ。ウエイトでは死ぬし、ムーブメントも低酸素室でパワーマックスをやるから具合が悪くなる。それから走りに行くので(笑)。

高山:それは真似できないですね。本当にすごい。

—— でも高山選手も練習時の集中の仕方が上手くなり、練習時間も短くなっているのではないですか。

高山:そうですね、本数を重ねると集中が効かなくなるので、よりシンプルに、シンプルにとなっていって。練習時間も本当に集中している時は短くなって、1時間半で終わったりするときもあります。そういう面では変わってきていますね。

—— そのぶん、脳を使って疲労していませんか。フェンシングの太田雄貴選手は、いろいろ考えながら練習をするから、おでこの辺りが痛くなってくると話していましたが。

高山:それはありますね。僕は午前中に本練習をするんですけど、午後は酸欠になっていつもボケーっとしています(笑)。

寺田:やっぱり、疲れてるんだ(笑)。限界まで練習をして、疲れ切っているところもふたりの共通点なのか。

高山:考えてみたらそうですね(笑)

▼後編はこちらから!

(後編)ハードル界が今アツい!W日本記録保持者に聞いた強さの秘密とは?高山峻野×寺田明日香[新春特別対談]

[プロフィール]
高山峻野(たかやま・しゅんや)
1994年9月3日、広島県生まれ。血液型はAB型。趣味は読書とお絵かき。専門は110mハードル。2015年に第99回日本選手権優勝(13秒81)、2017年には13秒45で第101回日本選手権優勝を果たす。2019年シーズンは、6月に日本選手権男子110mハードルで日本記録タイ・大会記録タイとなる13秒36をマーク。第59回実学対抗を13秒30(当時日本新記録)で優勝。8月に開催された第1回Athlete Night Games in FUKUIで日本新記録となる13秒25で優勝した。100mでも自己記録を更新。9月にカタール・ドーハで開催された世界陸上に出場し準決勝に進む。2020年東京オリンピックを目指している。

◎所属企業:株式会社ゼンリン
◎主な記録:110mハードル日本記録保持者(13秒25)/100m(10秒34)

【今後のスケジュール】
2020年4月29日(水)第54回織田幹雄記念国際陸上競技大会
2020年5月10日(日)セイコーゴールデングランプリ陸上 2020 東京
2020年6月7日(日)布勢スプリント2020
2020年6月25日(木)~28日(日)第104回 日本陸上競技選手権大会

【関連URL】
◎Twitter
https://twitter.com/abcd0903
◎Instagram
https://www.instagram.com/shunya.takayama/
◎ゼンリン陸上競技部 公式サイト
https://www.zenrin.co.jp/company/sports/track-field/index.html
◎ゼンリン陸上競技部 公式Twitter
https://twitter.com/ZENRIN_TF

[プロフィール]
寺田明日香(てらだ・あすか)
1990年1月14日生まれ。北海道札幌市出身。血液型はO型。ディズニーとカリカリ梅が好き。会いたい人は、大谷翔平と星野源。小学校4年生から陸上競技を始め、小学校5・6年時ともに全国小学生陸上100mで2位。高校1年から本格的にハードルを始め、2005~2007年にはインターハイ女子100mハードルで史上初の3連覇。3年時には100m、4×100mリレーと合わせて同じく史上初となる3冠を達成。2008年、社会人1年目で初出場の日本選手権女子100mハードルで優勝。以降3連覇を果たす。2009年世界陸上ベルリン大会出場、アジア選手権では銀メダルを獲得。同年記録した13秒05は同年の世界ジュニアランク1位だった。2010年にはアジア大会で5位に入賞するが、相次ぐケガ・病気で2013年に現役を引退。翌年から早稲田大学人間科学部に入学。その後、結婚・出産を経て「ママアスリート」として、2016年夏に「7人制ラグビー」に競技転向する形で現役復帰した。同年12月の日本ラグビー協会によるトライアウトに合格。2017年1月からは日本代表練習生として活動した。2018年12月にラグビー選手としての引退と陸上競技への復帰を表明。2019年シーズンから競技会に出場し、6月に日本選手権女子100mハードルで9年ぶりの表彰台となる3位に入り、7月には100mでも自己記録を更新。8月には19年前に金沢イボンヌ氏が記録していた日本記録13秒00に並ぶと、9月1日に「富士北麓ワールドトライアル2019」で史上初めて13秒の壁を突破し、12秒97の日本新記録を樹立。カタール・ドーハで開催された世界陸上に出場。再び陸上競技選手として、2020年東京オリンピックを目指す。

◎所属企業:株式会社パソナグループ
◎主な記録:100mハードル日本記録保持者(12秒97)/100mハードルU20日本記録保持者(13秒05=2009年世界ジュニアランキング1位)/100mハードル日本高校歴代2位(13秒39)/100m:11秒63

【今後のスケジュール】
2020年2月1日(土)2020日本室内陸上競技大阪大会@大阪城ホール ▶詳しくはこちら
2020年3月1日(日)スポーツポテンシャル測定会@東京都板橋区
2020年4月29日(水)第54回織田幹雄記念国際陸上競技大会
2020年5月10日(日)セイコーゴールデングランプリ陸上 2020 東京
2020年6月25日(木)~28日(日)第104回 日本陸上競技選手権大会

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<Text:折山淑美/Edit:山本有怜子(アート・サプライ)/Photo:小島マサヒロ>

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