高齢者がスクワットをすると、どんな効果がある?シニア向けスクワットのやり方・回数・注意点
高齢者にとって運動は健康維持に欠かせませんが、スクワットは特に効果的な運動のひとつです。
本記事では、65歳以上の高齢者がスクワットを行うことで得られる効果、正しいやり方と回数、そして注意すべき危険ポイントについて、パーソナルトレーニングジムSTUDIO KOMPAS(スタジオコンパス)のトレーナー・山岸慎さんが解説します。
<このページの内容>
高齢者がスクワットをすると得られる効果
年齢を重ねると、筋力の低下やバランス感覚の衰えが心配になるもの。日常生活の中で、ちょっとした段差や立ち上がり動作が難しくなることもあるでしょう。そんなときにこそ、シンプルなスクワットが大きな助けになるのです。
高齢者がスクワットを行うことで、どんなメリットがあるのでしょうか。
筋力維持と強化
足腰の筋肉を強化し、日常生活の動作が楽になる
転倒予防
バランス感覚が向上し、転倒のリスクを軽減する
関節の柔軟性向上
動きやすくなることで、痛みやこわばりの軽減につながる
骨密度の維持
体重を支える運動により、骨の健康をサポートする
メンタルの向上
運動を通じて、ストレス解消や気分の向上が期待できる
シニア向けスクワットの正しいやり方
スクワットは基本の筋トレとして知名度も高く、家トレで行っている人も多いでしょう。しかし、正しいフォームを理解せずに行うと、膝や腰に負担がかかることも。
とくにシニア世代は、安全に効果を実感するためにも、正しいやり方を知ることが重要です。ここでは、シニア向けに負担を軽減しつつ効果を高めるスクワットのやり方を具体的に見ていきましょう。
柱などに掴まって行う
柱や手すりなどに掴まりながら、ゆっくりとしゃがみ込みます。最初は浅くしゃがむところからチャレンジしてみましょう。
背中が丸くならないように気を付けます。
イスに座って起き上がる
椅子に座り、背筋を伸ばします。お腹に力を入れた状態で、立ち上がりましょう。
何回やればいい? 回数と週の頻度
まずは5回×3セット
5回×3セットを基準にして、関節の状態や疲労具合を確認しながら進めていきましょう。
まずは少ない回数から始めることで、体への負担を軽減し、リスクを最小限に抑えることができます。
回数とセット数を少しずつ増やしていく
体が慣れてきたら、5回×5セットや8回×3セット、さらには8回×5セットへと、段階的に増やしていくのが理想的です。
このように段階を踏んでトレーニングを進めることで、無理なく着実に成果を上げることができ、ケガのリスクを防ぎつつ、効果的なトレーニングが可能になります。
どれくらい継続して行うと効果が感じられる?
週3回のペースで1~2ヶ月ほど続けると、筋力やバランスの向上が感じられることが多いでしょう。
高齢者がスクワットを行う際の注意点
関節が硬くなっていたり、それに伴って体のアライメント(骨や関節の整列)が崩れていることはよくあります。
理想的なフォームを目指すことは大切ですが、現状の自分の体の状態を無視して行うと、かえってリスクを高める可能性があります。
現状の自分にとっての100点のフォームを理解し、それに合わせて行う必要があるため、最初はパーソナルトレーナーなどでやり方を指導してもらうのが理想です。
スクワットを行うと膝が痛くなる場合の、よくある原因と対処法
膝が痛くなる理由として、スクワットのフォームにおける重心の取り方、関節を動かす順番が影響します。
たとえば、つま先に体重が乗りすぎて、かかとに十分な体重が乗らない場合は、重心の取り方と関節を動かす順番がおかしい可能性があります。
よくある原因1 スクワットのフォームが間違っている
膝がつま先より前に出ること自体は問題ではありませんが、重要なのは体重を足全体にバランスよく分散させることです。
つま先にばかり体重がかかると、膝が過度に負担を受けやすくなります。
理想は、かかとにも体重がしっかりと乗る状態を保つことです。重心のコントロールで膝への負担を軽減できます。
◆フォームの改善ポイント
正しいフォームでは、体全体をバランスよく安定させることが重要です。
スクワット中は、かかとにもしっかりと体重を乗せ、膝が過度に前に出ないように意識しましょう。足裏全体に体重を分散させることで、膝にかかるストレスを軽減できます。
よくある原因2 股関節や足首が硬く、動作がスムーズではない
足首や股関節の可動域が不足していると、膝がその動作の不足を補おうとして、結果的にストレスが膝に集中します。
股関節や足首が十分に動かないことで、スクワットの正しいフォームを維持するのが難しくなり、膝が代償的に動作してしまいます。
◆股関節や足首の可動域を広げるエクササイズ
隣接する関節、とくに股関節や足首の柔軟性を高めることも効果的です。膝を過剰に使わなくても良くなり、適切な動作を維持することができます。
この二つを実践することで、膝への過度な負担を予防でき、正しいフォームを保ちながら安全にトレーニングを行うことができます。
こんな痛みや状態が出たらスクワットはお休み!
痛みがある場合は、どんなパターンであれ、お休みしましょう。
痛みが治ってから股関節の可動性を向上させるトレーニングや、足首の可動性を向上させるトレーニングを行うことが大切です。
こんな人はスクワットをしないほうがいい例
スクワットを避けたほうがいい高齢者もいます。
- 医師に禁止されている場合
- 変形性膝関節症など
スクワット以外の最適な低負荷のトレーニングも多くあります。医師のOKをもらった上で取り組みましょう。
監修者プロフィール
トレーナー山岸 慎
2011年からトレーナーとして、モデル・アーティスト・俳優のサポートを行う。現在はJリーガーなどトップアスリートをはじめ、運動初心者まで様々な身体レベルの方のトレーニング指導を行なっている。所有資格NSCA-CSCS
・パーソナルトレーニングジム STUDIO KOMPAS渋谷南平台
・ストレッチリラクゼーションサロン ESL(エッセンシャル ストレッチ ラボ)
<Edit:編集部>