
「階段=膝に悪い」?意外と知らない“階段を登る”メリット・デメリット (1/2)
階段の上り下りは、日常生活に簡単に取り入れられる“ながら運動”のひとつとして注目されています。健康やダイエットのために意識して階段を使っているという声も多く聞かれますが、「膝に負担がかかるのでは?」という不安から、取り入れるのをためらっている方もいるかもしれません。
整形外科医としての視点から、階段利用のメリット・デメリット、そして適した人・避けた方がよい人の特徴についてお伝えします。
階段は「無料スポーツジム」? 階段を使うメリットとは
階段を使うことには、主に以下のような健康効果が期待できます。
下半身の筋力強化
階段の昇降動作は、太もも前面の「大腿四頭筋」やお尻の「大臀筋」、ふくらはぎの「腓腹筋」など、日常生活で重要な下肢筋群をバランスよく鍛えることができます。
これにより転倒予防や、ロコモティブシンドロームの予防にもつながります。
心肺機能の向上・脂肪燃焼
息が少し上がる程度の運動強度があり、有酸素運動としての効果も期待できます。ウォーキングよりも運動強度が高いため、同じ時間で消費するカロリーも大きくなり、ダイエット目的にも有効です。
骨密度の維持
階段の昇降は「骨への適度な刺激(荷重)」となり、骨密度の維持や骨粗しょう症の予防にも貢献します。
ただし階段を避けたほうがいい人も。デメリットと注意点
一方で、膝や股関節に不安がある方にとっては、階段の昇降はリスクにもなり得ます。
膝への負担が大きい
とくに下り階段では、体重の数倍の負荷が膝関節にかかるため、変形性膝関節症や半月板損傷などの既往がある方は悪化を招くことがあります。
バランスを崩して転倒するリスク
高齢者や平衡感覚に不安がある方は、階段を避けた方が安全な場合があります。とくに暗い場所や手すりがない階段では要注意です。
階段を避けた方がよい人の特徴として、以下に当てはまる方は、医師の許可なく無理に階段を使うことは避けた方がよいでしょう。
- 変形性膝関節症や股関節疾患で痛みが強い方
- バランス障害やめまい、ふらつきのある方
- 術後まもない方(人工関節置換後、骨折後など)
- 強い筋力低下や運動制限のある方
このような場合には、エレベーターやエスカレーターを利用しつつ、リハビリやトレーニングで体力をつけた上で段階的に階段利用を検討することが望ましいです。
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