スロースクワットの驚くべき効果。「ゆっくり動作」がもたらす代謝・血流・若返り…5つの変化 (2/2)
スロースクワットの驚くべき「5つの効果」
スロースクワットは、代謝・血流・ホルモンなど体の内側から変化を起こすだけでなく、見た目の印象まで整える全身運動です。ここからは、体に起こる5つの変化を紹介します。
1. 代謝が上がり、脂肪を燃やしやすい体に
ゆっくりとした動作によって筋肉が長時間働き続けると、エネルギー消費量が増えます。これがスロースクワット最大の特徴で、筋肉が使われる時間が長いほど、脂肪が燃えやすい体質に変わっていきます。
スクワットの大きな動作が全身の筋肉を一度に動かすため筋肉量が増えやすく、結果として基礎代謝そのものが上がるのもポイントです。
またしっかり筋肉を追い込むことで、運動後も身体の燃焼モードが続く「アフターバーン効果」が期待できます。 これは、トレーニングで疲労した身体を修復するために多くのエネルギーが使われる現象です。つまり、休んでいる間や寝ている間も、身体が脂肪を燃やして回復し続けてくれるのです。
2. 下半身が引き締まり、美脚とヒップラインが整う

スロースクワットは、太もも・お尻・ふくらはぎなど、下半身の主要な筋肉をバランスよく刺激します。動きをゆっくりにすることで、反動やクセに頼らない「正しい身体の使い方」が身につきます。
特に、太ももの前側などの「使いすぎ」を防ぎ、お尻や内ももをしっかり使えるようになるため、筋肉のつき方のバランスが改善し、結果として、無駄な張りのない、しなやかな脚のラインへと整っていきます。
スクワットの上下動によって、骨盤や体幹が安定し、姿勢がスッと伸びやすくなるのも特徴。脚の形だけでなく、立ち姿そのものが美しく見えるようになります。
3. 成長ホルモンが分泌され、体の若返りをサポート
スロースクワット中は筋肉内に乳酸がたまり、それが刺激となって「成長ホルモン」の分泌を促します。このホルモンは筋肉や骨の修復を助けるだけでなく、脂肪の分解や肌の代謝も促進する作用があります。
動作を速くするトレーニングでは短時間で反応が終わりがちですが、スロースクワットは緊張が長く続くぶん、ホルモン分泌の時間も長くなります。内側から体を若く保つ「アンチエイジング効果」が期待できます。
4. 血糖値が安定し、健康的なエネルギー循環が生まれる
筋肉が働くと、血液中の糖がエネルギー源として使われます。スロースクワットでは、筋肉の収縮時間が長いため、糖をゆっくり効率的に消費できます。結果として、血糖値の急上昇を抑える働きがあり、糖代謝を安定させます。
理学療法士の安藤さんは「食後30分ほど経ってからのスロースクワットは、これから上がる血糖値を筋肉がエネルギーとして消費してくれるため、食後の高血糖(血糖値スパイク)を防ぐのに最適です。息を止めずにゆっくり動くことで、身体への負担を抑えつつ、インスリンに頼りすぎない『安全な血糖コントロール』が可能になります」と話します。
5. 自律神経が整い、ストレスや疲労を感じにくくなる
スロースクワットは、動作に合わせて呼吸を整えることで副交感神経を優位にします。ゆっくり吸って、ゆっくり吐く。このリズムが心拍数を安定させ、緊張していた体と心をリセットしてくれます。
運動中なのにリラックスしている感覚を得られるのは、スロートレーニングならではの魅力です。睡眠の質を高めたり、ストレスを和らげたりと、心身のバランスを整える効果も期待できます。
スロースクワットの正しいやり方(簡単ステップ)
スロースクワットは、テンポをゆっくりにするだけで体に深い刺激を与えられるシンプルな動作です。フォームを整えれば、重りを使わなくても十分に負荷をかけられます。
ステップ1:足を肩幅よりやや広めに開く

つま先は少し外側へ向け、背筋を伸ばします。お腹に軽く力を入れて、体幹を安定させましょう。
ステップ2:3〜5秒かけてゆっくり腰を下ろす

お尻を後ろに引くイメージで、太ももが床と平行になる位置まで。膝がつま先より前に出すぎないように注意します。
ステップ3:1秒キープして、3〜5秒で立ち上がる
膝を伸ばし切る前で止めることで、筋肉の緊張を保ちます。呼吸は「吸って下げ、吐きながら上がる」リズムで。
ステップ4:5〜8回×2〜3セットが目安
初めは5回でもOK。呼吸とテンポを崩さず、「脚が熱くなってきた」と感じたら十分です。
\タップして動画を再生/
効果を最大化するコツ
スロースクワットの効果をしっかり引き出すには、テンポと呼吸、そして意識の置き方が大切です。わずかな動作の違いで、筋肉への刺激やホルモン反応が大きく変わります。
呼吸を止めずに、リズムをつくる
スロースクワットで最も重要なのは呼吸です。しゃがむときに息を吸い、立ち上がるときにゆっくり吐く。このリズムを守ることで、血圧の急上昇を防ぎながら、筋肉に酸素を送り続けられます。
呼吸を止めて力を入れると、血流が滞りやすくなり、頭がクラクラすることもあります。リズム呼吸を意識するだけで、全身に酸素が行き渡り、代謝反応がスムーズに進みます。
テンポを一定に保ち、筋肉を使い切る
スロースクワットは「速く動かさない」ことが目的ではなく、「一定のテンポを保つ」ことが大切です。目安は3〜5秒で下げ、3〜5秒で上げるテンポ。このスピードを守ると、筋肉の緊張時間(TUT)が長くなり、ホルモン分泌や血流促進に効果的です。
動きが速くなると反動がつき、筋肉への刺激が分散してしまいます。鏡を見ながら、動きの速度を一定に保つ意識を持つと、フォームも安定します。
意識を向けるのは「回数」ではなく「感覚」
スロースクワットでは、回数よりも「筋肉が熱くなってきた」「脚が重く感じる」といった感覚が重要です。それが、筋肉にしっかり刺激が届いているサイン。5回でも深く効かせれば十分にトレーニング効果があります。
フォームやスピードよりも、筋肉がどう反応しているかを感じ取ることが、結果的に一番の近道になります。「今日はここまで使い切った」と感じられるところまで、集中して行いましょう。
スロースクワットQ&A(よくある質問)
スロースクワットは、正しいやり方と頻度を守れば誰でも安全に続けられる運動です。ここでは、よく寄せられる質問に答えます。
Q.スロースクワットは毎日やってもいい?
筋肉痛が残っていなければ、毎日行っても問題ありません。ただし、筋肉は使ったあとに回復する時間が必要です。強い負荷を感じた翌日は1日休みを入れ、週に2〜3回のペースを目安に行うと効率よく続けられます。
Q.1回に何回くらいやれば効果が出る?
1セット5〜8回を2〜3セットで十分です。スローな動作では筋肉が長く緊張するため、回数を多くこなす必要はありません。「脚がじんわり熱くなる」「軽い疲労を感じる」くらいが理想的な刺激です。
Q.どのくらいで効果を感じられる?
代謝の変化や体の引き締まりを感じ始めるのは、早い人で2〜3週間ほど。ホルモン分泌や血流の改善は、継続するほど安定していきます。短期間で結果を焦らず、1日数分を積み重ねる意識がポイントです。
Q.食後に行っても大丈夫?
満腹直後は避けたほうが安全です。30分〜1時間ほど時間をおいてから行うと、血糖値の上昇を抑える効果が得られます。軽いスロースクワットは消化の妨げにもならず、糖の利用を促す「食後運動」としておすすめです。
Q.膝や腰に痛みがある人でもできる?
浅めにしゃがむなど、動作を調整すれば安全に行えます。膝がつま先より前に出すぎないよう意識し、背中を丸めないようにします。痛みを感じるときは無理をせず、理学療法士やトレーナーにフォームを確認してもらいましょう。
監修者プロフィール
理学療法士・パーソナルトレーナー
安藤 瑞樹
総合病院で約7年間、理学療法士として、スポーツ・一般整形のリハビリに従事。独立後約4年間、パーソナルトレーナーとして勤務。2021年にパーソナルトレーニングジムJuntosをオープン。現在、パーソナルトレーナーの他、高校サッカー部のトレーナーとしても活動中。
パーソナルトレーニングジムJuntos
https://juntos-tokachi.com/
トレーニング動画指導・監修
鳥光健仁
フィットネスランニングトレーナー。1991年生まれ、千葉県出身。出張パーソナルトレーナー、SUUNTO 5 アンバサダー、VX4アドバイザリー、(株)BOOSTマネジメント契約、HOKA ONE ONE サポート。
出演者プロフィール
MIHO(みほ)
市民アスリート。トライアスロン、トレイルランニング、マラソン、スパルタンレース、筋トレが大好き。フルマラソン自己ベストは3時間0分18秒。1児の母。
■ Instagramアカウント → @mip0000
<Edit:MELOS編集部>
スクワットは『足幅』で効果が変わる?ダイエット・脚痩せ…目的別ベストフォームと鍛え方
【全身のスロー筋トレ】ゆっくり追い込むスパルタメニュー。関節への負担は軽め(10分)







