腸腰筋を鍛えると体はどう変わる?役割・効果・鍛え方を専門家がわかりやすく解説 (4/4)
腸腰筋を効果的に鍛えるトレーニング6選
腸腰筋は深層にある筋肉のため、姿勢を整えながら段階的に鍛えることが大切です。ここでは初心者〜上級者まで、レベル別に取り組める6つの腸腰筋トレーニングを紹介します。
紹介している2種目のうち、どちらか1つを選んで行えば十分です。余裕がある日は2つ続けて行ってもOKです。
初心者向け(レベル1)
まずは、腸腰筋を「使う感覚」を身につける段階です。小さな動きでも股関節の付け根に意識が入るようにして取り組みましょう。
■椅子を使ったニーアップ
椅子に座った姿勢で脚を引き上げる、腸腰筋の基本的なトレーニングです。脚を高く上げる必要はなく、股関節の付け根が動く感覚をつかむことがポイントです。
<やり方>
1. 背筋を伸ばし、椅子に浅く座る
2. 片脚の太ももをゆっくり持ち上げる

3. 股関節の付け根(脚のつけ根)が縮む感覚を意識する
4. ゆっくり下ろし、左右交互に繰り返す
目安:左右20回×2〜3セット
<ポイント>
・脚を上げる角度は小さくてOK
・反り腰にならないよう、お腹に軽く力を入れる
■ニーアップ静止(3秒キープ)
腸腰筋が脚を「支える」働きを感じやすいトレーニングです。動きが小さく、初心者でも取り組みやすいのが特徴です。
<やり方>
1. 壁や椅子につかまり、片脚を持ち上げる

2. 太ももが床と平行になる位置で3秒キープ
3. ゆっくり下ろし、左右交互に行う
目安:左右10回×2セット
<ポイント>
・軸足の骨盤がグラつかないよう意識する
・股関節の前側が使われている感覚を大切にする
中級者向け(レベル2)
体幹を安定させながら、脚を引き上げる動作をコントロールしていく段階です。フォームを丁寧に行うほど腸腰筋に負荷が入りやすくなります。
■サイドプランク・ニードライブ
横向きで体を支えながら、脚を引き寄せる動作で腸腰筋にしっかり刺激を与えるトレーニングです。体幹の深層筋も同時に働くため、姿勢の安定にもつながります。
<やり方>
1. 横向きになり、肘と下側の脚で体を支えて腰を持ち上げる

2. 上側の脚を膝から曲げ、胸の方向へ引き寄せる

3. ゆっくりと元の位置へ戻す
目安:左右10〜15回×2セット
<ポイント>
・骨盤が前後に倒れないようにする
・脚は大きく上げすぎなくてOK。股関節の付け根を意識
\タップして動画を再生/
■ニートゥチェスト
腸腰筋と下腹部を同時に鍛える中級向けの定番メニューです。脚を胸に引き寄せる動作が腸腰筋に強い刺激を与えます。
<やり方>
1. 両脚を伸ばして座り、両手は体の後ろにつく
2. 膝を胸に向かって引き寄せる

3. 脚を伸ばすが、床に触れないようにする

目安:10〜12回×2〜3セット
<ポイント>
・背中が丸まりすぎないよう注意
・脚を伸ばす時に腰が反らないよう腹圧を保つ
\動画で動きをチェック/
上級者向け(レベル3)
全身の安定性を保ちながら、腸腰筋にしっかり刺激を入れる段階です。動きの大きさより、股関節から脚を引き上げる意識が重要です。
■バイシクルクランチ
脚を交互に引き上げる動作で腸腰筋に刺激が入り、体幹全体も同時に鍛えられます。
<やり方>
1. 床に座り、膝を曲げて地面から足を浮かせる

2.反対同士の肘と膝を交互に連続して引きつける


目安:左右各10〜15回×2〜3セット
<ポイント>
・脚を大きく引きすぎなくてOK
・腰が反らないよう腹圧をキープ
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■フロントランジスクワット
股関節を大きく動かすことで腸腰筋に伸びと刺激が入ります。姿勢維持も求められるため、体幹の強さが必要です。
<やり方>
1. 足を揃えて立ち、片脚を大きく前に踏み出す
2. 膝を曲げながら股関節をしっかり沈める
3. 前膝を90度まで曲げたら、ゆっくりと元の姿勢に戻る
4. 反対側も同様に行います。前膝は、つま先よりも大きく前に出さないようにしましょう。
目安:左右10回×2セット
<ポイント>
・上半身が前に倒れすぎないよう注意
・踏み出す脚はつま先と膝の向きをそろえる
\タップして動画を再生/
腸腰筋のストレッチ(ほぐし方)
腸腰筋をほぐすには、ストレッチで縮んだ筋肉を伸ばすことが効果的です。深層筋のため直接は触れませんが、周囲の筋をゆるめることでコリや痛みが軽減します。
太もも抱き寄せストレッチ
仰向けで行う、腸腰筋を無理なく伸ばせるストレッチです。腰への負担が少ないため、運動に慣れていない人にもおすすめです。
<やり方>
1. 仰向けになり、片膝を胸に引き寄せる

2. 反対側の脚は伸ばしたままキープ
3. 深く呼吸しながら20〜30秒キープ
4. 反対側も同様に行う
<ポイント>
・腰が反らない範囲で行う
・股関節の付け根が伸びる感覚を意識する
ひざ立ち腸腰筋ストレッチ
腸腰筋と前ももをしっかり伸ばせる代表的なストレッチ。姿勢を崩さずに行うと深部まで伸びます。
<やり方>
1. ひざ立ちになり、片脚を前に大きく踏み出す

2. 前脚に体重を移し、後ろ脚の股関節まわりを伸ばす。
3. 背筋を伸ばしたまま10〜20秒キープ。
4. 脚を入れ替えて同様に行う。
<ポイント>
・腰を反らせず、骨盤を前に押し出すイメージ
・伸ばしている側の太もも前〜下腹が伸びていればOK
ストレッチの注意
・痛みが出るほど無理に伸ばさない
・呼吸を止めず、ゆっくり行う
・日常的に取り入れると硬さが戻りにくい
Q&A|腸腰筋に関するよくある疑問
腸腰筋について寄せられる質問を、わかりやすくまとめました。
Q. 腸腰筋が痛むとどんな症状が出ますか?
腸腰筋は深層筋のため、腰の奥がズキッと痛む、股関節の前側が詰まる、立ち上がりで腰に力が入りにくい、といった「奥の痛み」として現れやすいのが特徴です。
Q. 腸腰筋はほぐすだけで改善できますか?
軽い張りや硬さならストレッチやリリースだけでも改善しますが、弱さがある場合はトレーニングとの併用が必要です。ほぐす=硬さの改善、鍛える=弱さの改善と考えると効果的です。
Q. 腸腰筋は触って確認できますか?
できません。腸腰筋は腹筋群よりさらに奥にある深層筋のため外から触れません。動きや姿勢の変化で働きを確認するのが一般的です。
監修者プロフィール
パーソナルトレーナー
三原 大和(みはら やまと)
専門学校にてパーソナルトレーニングと人体の構造について体系的に学び、JATI-ATI(日本トレーニング指導者協会 認定トレーナー)や健康運動指導者など複数の資格を取得。卒業後は女性専用パーソナルジムにてトレーナーとしてのキャリアをスタートし、丁寧で寄り添う指導に定評がある。
また、10年以上にわたり自身が競技者として取り組んできたバドミントンの経験を活かし、スポーツパフォーマンス向上やジュニア指導にも精通。現在は大阪・高槻にある「パーソナルジムBREEZE」のトレーナーとして、ダイエットから機能改善、競技力向上まで、幅広いニーズに対応した指導を行っている。
保有資格:
JATI-ATI(日本トレーニング指導者協会認定)
健康運動指導者(健康・体力づくり事業財団)
トレーニング動画指導・監修
鳥光 健仁(とりみつ たけのり)
フィットネスランニングトレーナー。1991年生まれ、千葉県出身。出張パーソナルトレーナー、SUUNTO5 アンバサダー、VX4アドバイザリー、(株)BOOSTマネジメント契約、HOKA ONE ONE サポート。
出演者プロフィール
MIHO(みほ)
市民アスリート。トライアスロン、トレイルランニング、マラソン、スパルタンレース、筋トレが大好き。フルマラソン自己ベストは3時間0分18秒。1児の母。
■ Instagramアカウント → @mip0000
<Edit:編集部>





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