インタビュー
2018年9月3日

コーチが感じた“相棒”の成長。「僕らは水泳で自分を表現している」。競泳・小山恭輔×コーチ・八尋大(後編)│わたしと相棒~パラアスリートのTOKYO2020~ (2/3)

「目立てるなら目立ちたいって……思いません?」

―2020年が一つの区切りになると思います。“4年に1度の男”という話もありましたが、2年後の目標を伺えますか。

小山:東京2020に向けても大事ですが、やはり自己ベストを出すことです。やっぱり、29秒台に乗せたいんですよ。そのために、今年はまず30秒。31秒01の自己記録を更新していった先に2020があると思っています。

八尋:今聞いていて、成長したな、と思ったのは、昔であれば、「東京に出て、とりあえず金メダル獲りたいです!」と言っていたんですよ。今回も言うだろうなと思っていたら、真面目に、「30秒切りたいんです」と。それは僕らの間で、何度も話していたことなんです。

水泳ってシンプル。プールの端から端まで泳ぐ。その間は誰にも邪魔されないんですよ。何が一番の成功かと言えば、突き詰めると自分自身を超えること。ならば、一番最初に会った時に決めた30秒切りを達成した先に東京があればハッピーで、メダルが獲れればさらにハッピーだよね、と。

根本的に、カッコつけたいだけなんですよ。僕らは水泳で自分を表現しているんです。大勢の観客の前でパラリンピックのメダルを獲った選手は、「あの舞台にもう1回行きたい」という思いがエネルギーになる。分かりやすく、“お祭り男”とか“4年に1度の男”と僕は言うけれど、要するに、一番大切な舞台で目立ちたい、目立っちゃえ、という思いが原動力になると思っています。

――小山さんも、目立ちたがり屋?

小山:変なところで目立つのは嫌ですけど(笑)、目立てるなら目立ちたいって……思いません?

八尋:あの舞台を味わうために僕らは苦しいことをやっているんです。毎日のように早朝にプールに来るのもあの舞台があるから。今もいろいろな課題を抱えているから、最終的にどんな感慨深いことが起きるのかと、ワクワクしているんです。楽しいですよ。楽しくなければやりません。いい歳の男が、朝2人きりで、悩みながら練習する。いい思い出になると思います。

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