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コーチが感じた“相棒”の成長。「僕らは水泳で自分を表現している」。競泳・小山恭輔×コーチ・八尋大(後編)│連載「わたしと相棒~パラアスリートのTOKYO2020~」#5 (1/3)

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 東京2020パラリンピックを目指すアスリートの傍らには、彼ら彼女らをサポートするヒト・モノの存在がある。双方が合わさって生まれるものとは何か。連載「わたしと相棒〜パラアスリートのTOKYO2020〜」では、両者の対話を通してパラスポーツのリアリティを探る。

 北京、ロンドンとメダリストになったパラスイマーの小山恭輔選手(日鉄住金P&E/S7/運動機能障がい)。リオを経て、「目立ちたがり屋」という本質は変わらないながらも、師である八尋大コーチも認める変化があった。東京2020までおよそ2年。水泳を自己表現の手段とする、両者の関係の芯について聞いた。

前編:世界のメダルまで到達した“型破り”と“純粋さ”の師弟関係。競泳・小山恭輔×コーチ・八尋大(前編)

あえての“放置”で“奮起”を促す

――2014年のアジア大会での不振で一時、水泳から離れていた際に、八尋さんから「水泳をやめてもいい」と言われた、という話がありました。そこから、徐々に復帰に向けて立て直していくわけですが、コーチにそう言われた時は、ある意味で、気持ちが楽になるのでしょうか。というより、“楽になるからこそ”、やる気が出てくるのでしょうか。

小山:そうですね。「このまま離れちゃうとマズいんだ」と、思わせてくれるので、「このままここで落ち込んじゃいけないんだな」という気持ちになりますね。

八尋:戻ってくるかどうか、というのはまた別の話なんです。本人の心が決まるまではプッシュをするつもりはなくて、やる気になった時に僕が一歩先を行ってあげればいいと思っています。いつも考えているのが、小山のボリュームに合わせて、その一歩先を行って、必要に応じてもう一段階引き上げられるようにサポートをすること。もし僕が選手だったら、ほうっておいて欲しい時もあると思うんですね。だから強要しない。そこで「もっと頑張れ」と言われると、「そう言われても、頑張ってるよ」という気分にさせたら逆効果です。

実際、すでによく頑張っていますから。北京パラリンピックで銀メダルを獲っても、もう1回同じ舞台に立つにはエネルギーが必要です。(銅メダルを獲った)2012年のロンドンの時は、まだエネルギーがありました。ただ、2016年のリオ(第5位)ではその先の東京でメダルを獲りたいと思うあまり、中途半端になったことは否めません。リオが最後だという思いで、エネルギーを集中していたら、違った結果になっていたかもしれませんね。

――リオに関しては、東京へ向けての“通過点”と思っていた、と。

八尋:少なくとも僕がそう思っていたんです。「東京で小山を男にするぞ」という思いが強すぎて、そこは自分の反省点でもありますね。小山は、ここぞという時には必ず結果を出します。コーチングで常に気をつけているのは、僕がいなくても選手が最高のパフォーマンスを出せるようになること。「八尋がいないとダメだ」という状況にならないように自立させることが大事です。

リオに関しては、メダルは獲れなかった。5位という結果は失敗ではありませんが、北京、ロンドンとメダルを獲ってきた中で、そんなに簡単なことではないということを身をもって経験したわけです。今までのように、“いけいけどんどん”ではなく、目標から逆算して取り組んでいく時期だよね、と。リオの時に、競技で獲れなかった代わりに、僕は路上で売っている金メダルを彼に買って渡したんですよね。

小山:そうなんですよ。母がすごく喜んでました(笑)。

八尋:本物のメダルは獲れなかったけれど、僕は、それまでの過程を見ているから。

次ページ:「目立てるなら目立ちたいって……思いません?」

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