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「HIIT(ヒット)は全力でやらなくても効果がある」ってホント?最新研究を紹介

 タバタトレーニングに代表される高強度インターバルトレーニング「High Intensity Interval Training(ハイ・インテンシティ・インターバル・トレーニング)」 、通称HIIT(ヒット)。

 短時間で強度の高い運動を繰り返すことで、効率的な脂肪燃焼が可能となり、心肺能力に関しても、有酸素運動エネルギー(長距離走など)と無酸素運動エネルギー(短・中距離走など)の両方に効果があることもわかっています。そのため、ダイエットが目的の人にも、スポーツパフォーマンスを向上させたい人にも、HIITは広く受け入れられているトレーニング方法です。

 最近になって、HIITには脳の血流を高め、アンチエイジングにも効果があるとする論文が発表されて注目を浴びています(1)。また、HIITは限界まで追い込まなくても効果が期待できるという新情報も。今回は、気になる新説についての論文と研究内容についてご紹介しましょう。

研究1 HIITは脳の血流をよくし、認知機能の低下を防ぐ

 オーストラリア・クイーンズランド大学の研究チームは、25歳前後の若いグループ(11人)と70歳前後の年配者のグループ(10人)それぞれに同じ強度の運動を2種類の方法で行ってもらい、その前後に脳の血流の速さや血圧などを測定しました。

運動内容

 最大酸素摂取量(VO2max)の60%でのサイクリング

方法1(継続式)― 10分間運動した後で10分間休み
方法2(インターバル形式)― 1分間運動して1分間休みを10回繰り返す


 どちらも運動の合計時間は10分間、休みの合計時間も10分間です。

結果

 研究結果として、インターバル形式での運動を行った場合に、継続して運動を行った際と比べて脳血流(CBF)がより高まることが分かりました。とくに年配者のグループに、その傾向が顕著でした。論文著者らは、加齢による衰えは脳血流の障害と密接な関連があることを指摘。インターバル形式の運動によって脳血流を高め、ひいては認知機能の低下を相殺する可能性があるとしています。

研究2 HIITは物忘れの軽減にも期待できる

 カナダ・マックマスター大学が行った別の研究では、HIITに高齢者の記憶力を高める効果があるとしています(2)。この研究では、数十人の健康な高齢者(60歳から88歳まで)に、以下の3種類の運動を12週間に渡って行ってもらい、記憶力を測定するテストを実施しました。

運動内容

HIIT (high-intensity interval training) ― 4分間の高強度のトレッドミルを使った運動を休息を挟んで4ラウンド
MICT (moderate-intensity continuous training) ― 穏やかな強度のトレッドミルを使った運動を継続して50分
ストレッチのみ

結果

 結果として、HIITを行ったグループのみ最大で30%の記憶力向上が見られました。他の2グループでは、記憶力に大きな変化は見られませんでした。

 年をとるにつれ記憶力が衰えるということは、多くの人が感じていることでしょう。しかし、もしかしたらHIITを行うことによって、物忘れを軽減できるのかもしれません。ちなみに筆者の経験談としては、長いことHIITを行っていますが、残念ながら記憶力がよくなった気はしませんので、必ずしも万人に効くわけではなさそうです。

研究3 HIITはきつくなくても効果がある

 HIITにさまざまな効果があることは分かっていても、きつくて大変そうだなと敬遠してしまう人は多いでしょう。筆者もかつてタバタトレーニングを紹介した記事で、疲労困憊になるまで追い込まなくては効果がないと書いたことがあります。ところが最近になって、HIITに敷居の高さを感じていた人に耳寄りな情報がもたらされました。

 インターバル形式のトレーニングは運動の強度はそれほど高くなくても、へとへとになるまで取り組んだ場合と効果がさほど変わらないとする論文が、ブラジルの研究グループが行った研究から発表されたのです(3)

運動内容

 クロスフィットでよく行われる強度の高い運動を4分間4ラウンド、ラウンド間に2分間の休息を挟むメニューを、全力で行うグループと6割程度の強度で行うグループに分けて乳酸および心拍数の反応を比較。

結果

  両者の間にトレーニング効果の大きな違いは生じなかったとのことです。効果が同じ程度なら、怪我のリスクが減る、心理的につらくならないということで、6割ほどでトレーニングする方が全力で取り組むより体にいい。それがこの論文の結論となっています。

 筆者はへとへとの極限状態になるまで追い込むトレーニングを信じ、自ら実践してきただけではなく、指導でもそのように伝えてきました。ですからこれらの論文は非常に衝撃的な結論です。同様の思いで受け止めている方も多いことでしょう。しかしどうやら、HIITはもう少し穏やかに行ってもそれなりの効果があるようです。

関連記事:短期間で体脂肪を減らす「HIIT(ヒット)」トレーニングとは。ダイエット効果を高める運動方法を解説

参考文献
(1)Cerebral Blood Flow during Interval and Continuous Exercise in Young and Old Men.
Klein et al., 2019
https://journals.lww.com/acsm-msse/Abstract/2019/07000/Cerebral_Blood_Flow_during_Interval_and_Continuous.21.aspx%C2%A0


(2)Strive to remember: Researchers find high-intensity exercise improves memory in seniors.
https://brighterworld.mcmaster.ca/articles/strive-to-remember-researchers-find-high-intensity-exercise-improves-memory-in-seniors/

(3)Is Perceived Exertion a Useful Indicator of the Metabolic and Cardiovascular Responses to a Metabolic Conditioning Session of Functional Fitness?

Tibana et al., 2019
https://www.mdpi.com/2075-4663/7/7/161

[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani

<Text & Photo:角谷剛/Photo:Getty Images>

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