ランニングに最適? 1万円以下の骨伝導ヘッドホン「AfterShokz OpenMove」を試してみた
ランニングのお供に良さそうなAfterShokz社(アフターショックス)のワイヤレス骨伝導ヘッドホン「OpenMove」を試す機会を得たので、製品レビューをお届けしたいと思います。
「OpenMove」は、質量わずか約29gのワイヤレスヘッドホン製品。骨伝導により音楽が聞けるのが最大の特徴です。骨伝導技術とは、骨を通じて音の振動を聴覚神経に伝える技術のこと。本製品は、業界随一の骨伝導ヘッドホンブランドAfterShokz社の第7世代の骨伝導テクノロジーが導入されています。どんな聞こえ方がするのでしょうか? レビュー前から興味津々です。
1万円を切る骨伝導ヘッドホン「OpenMove」とは
スマホとはBluetoothで接続が可能。マイク端子が搭載されているので、音楽も楽しめて通話もできる仕様です。ちなみにマルチペアリング対応により、スマホだけでなくPCや音楽プレイヤーなど、複数のデジタル機器とペアリングしておくこともできます。「普段はスマホで音楽を聞くけれど、走るときは専用の音楽プレイヤーで聞いている」なんて人にはうれしい機能ではないでしょうか。
▲重さ約29gと軽いので、気軽にバックに入れて持ち運べます
▲電源ボタン、音量ボタン、マルチファンクションボタンはすべて物理ボタン。
ヘッド部分には2箇所のマイク端子の穴を確認できます
防水防塵性能はIP55に対応しているので、汗をかいても不意の雨に濡れても安心です。連続使用時間は最大で6時間(待機時間なら10日間)。USB Type-C端子で充電します。各家電量販店、オンラインショップなどで9月18日より販売を開始しました。価格は税込¥9,999円。
▲製品の同梱物は写真の通り。なんと、耳栓も入っていました
気になる音質は?
さて、実際に使ってみました。ネックバンドを首の後ろにまわして、フックを耳にかけて装着。なるほど、ほどよいホールド感で着け心地は悪くないです。少し頭を振ってもズレずに安定してくれます。本体が軽いので耳の負担にもなりません。
▲装着したところ。頭を絞めつける感じはなく、それでいて頭を振っても落ちません
早速、スマホから音楽を鳴らしてみます。すると……? 耳の穴を塞いでないのに音楽が聞こえてきました。なんだか不思議な気持ちがします。ロック、ポップス、クラシック、ジャズと立て続けに聞いてみました。
▲マスクをかけると、こんな感じ。
耳の穴を塞がない位置(耳珠のあたり)が振動して音が伝わってきます
いずれもドンシャリのようなメリハリの効いた音ではなく、角がない柔らかな音がするのが特徴的です。そもそも骨伝導イヤホンで伝わる音の種類が、一般的なヘッドホン製品(空気伝導)とは違うのでしょうか。
落ち着いた音質。そして耳を塞がない仕様のため、長い時間、音楽を聞いても疲れません。押しやすい位置にマルチファンクションボタンや音量ボタンがあるのも好印象でした。これならスマホや音楽プレイヤーを取り出さずに、ヘッドホンだけで音楽の再生/一時停止/音量調節が行えます。物理ボタンなので、冬の手袋の季節でも問題ないでしょう。
▲物理ボタンは押しやすいので個人的にも好印象
なお、3種類のイコライザがプリセットされており、音量+と音量-を3秒長押しで切り替え可能でした。イチバン音質が鮮明だったのがスタンダードモード。ボーカルの声が伸びやかで聞き取りやすい印象です。ほかにもラジオやポッドキャストを聞くのに適したボーカルモード、音楽の世界に没入できるイヤープラグモードがありました。
製品に付属されているイヤープラグ(耳栓)をしたうえで音楽を楽しむのがイヤープラグモード。飛行機や新幹線、あるいは自宅でエンタメコンテンツに没頭する、といった利用シーンで活躍してくれそうです。
音漏れについては許容範囲でした。例えば最大音量で音楽を聞きながら静かなエレベーターに乗れば、周囲の人には音が漏れて聞こえるかも知れませんが、そもそも最大音量ではこめかみへの振動も強く、最大にする必要もなさそう。もっとも、気になったらマルチファンクションボタンで音楽は一時停止できるので、そのあたりもユーザーフレンドリーです。
ランニングしてみた
ランニングのお供としての性能はどうでしょう? 少し走ってみました。コードの煩わしさがないのでストレスフリーであることはもちろん、カナル型の他社製品のように耳からポロリと落ちてしまう心配もありません。耳の中が蒸れることもなく、自分の呼吸が大きな雑音となって聞こえることもなし。何より、安全面に配慮できるメリットが大きいです。後ろから自転車が近づいていた、角からクルマが頭を出そうとしていた、走りながらそんな気配を感じられるのも耳の穴を塞いでないから。上を向くとネックバンドが首の後ろに当たりますが、少しズレてもすぐに元に戻ります。これ、ランニングのお供に最適ではないでしょうか。
▲スマホでの通話も試してみました
このほかOpenMoveがどんな挙動をするのか、スマホと音楽プレイヤーを使ってあれこれ試してみました。スマホとOpenMoveをBluetoothで接続すると「接続しました」とアナウンスがありますが、続いて音楽プレイヤーを接続したときのアナウンスは「第2デバイスに接続しました」。スマホと音楽プレイヤーで同時に楽曲を再生させると、先に再生を開始した方の曲が流れ、そちらを停止するともう片方の曲が聞こえてきます。
スマホと音楽プレイヤーのどちらで音楽を聞いていても、その途中で電話がかかってくると曲が停止して呼び出し音が鳴り、同時に振動でも着信を知らせてくれました。ここでファンクションキーを押せば通話がスタートします。相手の声は非常に聞き取りやすく、こちらの声も(筆者の利用環境では薄いセロファンを1枚、唇に押し当てたような音質になりましたが)明瞭に相手に伝わることが確認でき、マイク性能も問題ないと感じました。これならランニング中の着信にもボタン1つで出ることができますね。通話を終了すると、スマホあるいは音楽プレイヤーは停止していた位置から曲を再スタートしました。
個人的には以前、音楽プレイヤー×Bluetoothヘッドホンで音楽を聞いているときにスマホに着信があり、気が付かずに電話に出られなかったことがありますが、本機の仕様なら、音楽プレイヤー×OpenMoveで音楽を聞いていてもスマホの着信にも対応できるので無用なトラブルを避けられます。話が少し脱線しますが、ハンズフリー通話できるのでリモートワークにも適しているでしょう。
気になっていたメガネの装着も問題ありませんでした。OpenMoveのフレームとメガネのフレームが並ぶ感じになります。ネックバンドはチタニウム合金製ということで、耐久性も心配はなさそう。なにより競合製品よりもずっと安価な、1万円を切る価格設定が正直うれしいポイントでした。
この記事に興味を持った方は、音楽を聞きながら運動する効果について知っている方でしょう。ルーティンで走る同じ道でも、音楽があったら気持ちも新鮮になりますし、苦しくてめげそうな坂道でも、好きな曲さえあれば頑張れる気がしてきます。ランニングのお供にOpenMoveはちょうど良い製品でした。試してみてはいかがでしょう。
▼Amazonでチェックする
・AfterShokz公式サイト
https://aftershokz.jp/
・SHOP FOCAL(直販サイト)
https://shop.focal.co.jp/product/aftershokz-openmove/
<Text & Photo:近藤謙太郎>