ヘルス&メンタル
2023年12月21日

寝ても疲れが取れない、いつもイライラ…それ「脳疲労」のサインかも!専門家インタビューまとめ (2/4)

「ジョギングなどの軽い有酸素運動がおすすめです。騒音が多い都会は避け、緑の多い場所で行うのがベストです。緑の多い場所は香りがよいので、それだけでも代表的ストレスホルモンであるコルチゾールがすっと減ります。とくにヒノキはおすすめです。研究では、ヒノキの画像と、香りだけで画像なしと比べたところ、香りのほうが効果が高いことが分かっています。両方あるとさらにいいですね」(澤⼝先生)

ヒノキのほか、ラベンダー、畳の香りもおすすめとのこと。もちろん、これら以外の自分の好きな香りを楽しむのもストレスホルモンの減少に効果的とのことです。

「窓から緑が見えると脳疲労の解消によいという研究も多いです。緑を見る、好きな香りを嗅ぐ。余裕があればジョギング、ウォーキング。これで十分です。

緑が近くにないときは音楽も効果的とという報告があります。一般的にモーツァルトなどがよいという説もありますが、必ずしもそうではなく、自分自身の好きな音や音楽を聞くのがよいでしょう」(澤⼝先生)

静かで、心地よい音が聞こえ、緑豊かでいい香りがする。森林浴などは脳疲労を癒すのによさそうですね。

関連記事:「アロマオイル」がストレス解消によい理由とは。使い方とおすすめの香り一覧[専門家監修]

次は、食事面からアプローチ。脳疲労によい成分や食べ物にはどんなものがあるのでしょうか。

「魚です。DHAなどのオメガ3多価不飽和脂肪酸(PUFA)は脳の健康や疲労によいとされています。サプリメントより魚まるごと食べるのがおすすめです。フィッシュオイルもよい成分ですね。ストレスがスーッと下がっていきます。サプリメントでも、良質なものやオメガ系のものはよいと思いますが、見つけるのが大変なので、魚を食べたほうが早いでしょう」(澤⼝先生)

言われてみれば、魚を食べると頭がよくなるといったフレーズの歌がありましたね。また、魚のほかには“緑茶”もよいそうです。

「緑茶のカテキンは脳にも病気予防にもよい成分です。まさにスーパーサプリメント。仕事時にもおすすめの飲み物です。これから仕事をするぞというときは前頭前野に負荷がかかるのですが、緑茶は前頭前野を活性化してくれるので、疲れずにすーっと仕事ができますよ」(澤⼝先生)

仕事のお供はコーヒーという人も多いのでは。人によってはエナジードリンクでしょうか。どちらもカフェインが含まれており、カフェインをとらないとぼーっとしてしまう、眠気が襲ってくるなどよく聞きます。

しかし、澤⼝先生によるとカフェインの効果は一時的なもので、集中力などの脳機能の向上にはそれほど意味はなく、逆に後から疲れを感じてしまうといいます。

飲み物を緑茶にしたり、あるいは魚をよく食べたりすると、数カ月で効果が出るという研究もあります。また、長期的に取り入れれば前頭前野が大きくなるという報告があります。

緑茶の写真

ちなみによく聞く成分として“GABA(ギャバ)”はどうでしょうか。最近では機能性表示食品などに含まれることもあり、疲れやストレスを軽減すると聞きます。

「GABAは、アミノ酸の一種なので脳に入っていかないという研究が多かったのですが、最近では入っていくのではないかという説が出てきています。GABAが入っている飲料を飲むとよいのではないかという研究もありますね。なので、GABAはある程度摂れば脳に入っていく可能性があります」(澤⼝先生)

こちらもおすすめ:「これがAIが導き出した味…」リラクゼーションドリンク『チルアウト』、たしかに謎の浮遊感ある|編集部の食レポ

ちなみにお酒については、残念ながら脳疲労解消には向かないそう。

「お酒は一時的にストレスが解消したと思わせるだけで、飲めば飲むほどストレスは溜まっていきます。やがて飲酒量が増え、アルコール中毒になっていくわけです。アルコールは適量であれば体にいいとする説もありますが、それはワインやビールに含まれる別の成分がいいということ。アルコールを飲むと微小のダメージを脳に与えていき、脳の萎縮につながります。萎縮=脳機能の低下というわけでもないですが、基本的にはアルコールはよくないという研究が多いです」(澤⼝先生)

食べ物以外だと、マッサージ、ツボなどはどうでしょうか。

「いいという研究とそうでない研究があります。人に触られることが脳によい影響を及ぼすこともあり、親しい人にマッサージしてもらうのはよいとされています。痛みの軽減にもつながります。もちろんプロのところに行き、揉んでもらうのも、血液の流れがよくなるのでいい影響を及ぼすでしょう。ツボや漢方薬が脳に与える影響に関しても、きちんとした研究はあまりないのですが、最近になってようやく中国でもツボや漢方に関する研究を進めています。鍼(はり)は鎮痛効果があると証明されています」(澤⼝先生)

ちなみに最近ブームのサウナはどうでしょうか。サウナで“ととのう”と脳がスッキリするといった話を聞きますが、日本での研究はまだ少なく、フィンランドの研究ではよいという報告が出ています。

暑いところから寒いところに行くことで心臓血管系を強めるメリットはたしかだと澤⼝先生は語ります。

関連記事:サウナの効果と入り方、守ってほしいマナーとは。日本サウナ学会の医学博士に聞いてみた(前編)

筋トレ民注目! 筋トレが脳に与える影響とは

MELOSの読者であれば、筋トレを日課にしている人も多いのでは。ズバリ、筋トレは脳疲労によい影響を与えるのでしょうか。

1 2 3 4