マラソン大会、雨なら中止?当日マストの持ち物は?初心者におすすめのレースの選び方も!|ゼロから始めるマラソン&ランニング
日頃からランニングやトレーニングをコツコツと続け、万全の体制で臨む本番のレース。しかしながら、大会前やレース中に、予想もしないトラブルに動揺してしまうのは、ランナーであれば、誰もが一度は経験するもの。
そこで今回から4回に渡り、ランニング初心者のために「ゼロから始めるマラソン&ランニング」と題して、今さら聞けないあんなことやこんなことを分かりやすく解説していきたいと思います。
疑問にお答えするのは、国内外でのリゾートラン&旅ラン歴20年&100回の大会参加や伴走経験を持つ内田英利(うちだひでとし)トレーナー。タイムや順位にこだわらない生涯ファンランを標榜する、内田トレーナーにQ&A方式で聞いていきます。
できる限り、専門用語を使わず分かりやすい言葉で解説します!
Q:初心者はどんな大会がおすすめ? レースを選ぶ基準とは
A:ご自身のランニングレベルや参加目的を、ノリではなく冷静に考えてチョイスすることですね。
タイムや順位を狙って参加するのか、はたまた健康維持のため、レース後の一杯を楽しむため……目的によっても基準が異なってきます。
周りで走っている仲間が多いから何となく! 有名な大会に出る自分がステキ! といった、今の自分の体力や脚力を度外視して参加するのは無謀といえるでしょう。
大会やレースに参加することが、楽しいランニングライフを送るのとイコールではないことを気に留めておくことが大事です。
初心者はハーフ、クォーターマラソンがおすすめ
また、レース=フルマラソンと決めつけず、半分の距離のハーフマラソン(約21km)、そのまた半分のクォーターマラソン(約10km)など、今の体力&脚力に合った大会もたくさんあります。
フルマラソンに5時間かかると仮定して、半分の2時間半、その半分の1時間ちょっと、足を使い続けることができるかどうかを冷静に見つめることが、参加への第一歩ともいえるでしょう。
ご自身のランニングレベルや体力に合わせて、参加することをおすすめします
Q:大会に出るにはいくらかかる? レース参加費が知りたい!
A:参加人数の規模によってさまざまですが、万単位の参加人数であれば10,000~20,000円程。数千人単位であれば、5,000~10,000円が目安です。
主要都市名が大会名に付いているレースや、ランナーであれば一度は参加してみたい人気があるレースは、万単位で参加費が掛かります。
開催資金の元になるのは、地元の自治体や民間企業のスポンサー料、そしてランナーが払う参加費の3本柱です。
コロナ禍が落ち着きレース開催も増えてきたとはいえ、円安が続くこともあってか、スポンサーの懐の紐も固いようです。
大勢が走るには幹線道路を封鎖したり、運営には人海戦術が必要です。そうなると、経費が嵩む=参加費が上昇傾向になるのは致し方ありません。
それでも、コースで水やスポーツドリンクを渡してくださるボランティアの皆さんの声援や振る舞い、コースをリードするスタッフの皆さんの労力を考慮すると、多少高くとも、気持ちよく支払いたいですね。
なお開催地周辺では、レースを開催することで経済効果が見込めることもあるようです。
海外レースも、10,000人以上の参加者で賑わいます
Q:やむを得ず参加をキャンセルしたいが、返金は可能? 天候が不順の時は、返金される?
A:基本的には、あらゆる理由でも返金は無く、雨天&悪天でも決行されることが多いですね。
私たちが参加するレースは競技会の意味合いが強く、一定の決まりに則って大会が運営されています。また、地元の自治体や行政機関などの協力があって、レースで利用する道路を走れるのです。
その協力費をはじめとする諸経費はレースの準備段階でも発生するため、基本的に返金されることはありません。
参加のためにレース会場まで移動する、場所によっては前入りして宿泊することもありますが、やはり、開催までいくつもの準備ステージがあり、人やお金が発生していますので、当日の天候不順でも返金はないと思ったほうが良いでしょう。
参加するか否か。当日の天候だけではなく、自身の体調にも耳を傾け勇気を持って決断する場合もあります。
私も、レース参加のためにランニング&トレーニングを継続したにも関わず、当日は立っていられないほどの土砂降りで、思いきって参加を取りやめて”休足期間”にし、地元を食べ歩きしたこともありました。
レースに参加せずとも、練習を頑張った自分へのご褒美タイムにあてるのもアリです!
Q:大会の持ち物について。レースで身に付けるもの、必要なものはありますか?
A:必須なのは、ナンバーカードと計測キッド。そして、レース中に補食できるものを用意しましょう。
参加者には、事前にタイムを計測するためのチップやビブス(ゼッケン)が配布されます。チップはシューズのどちらかに、そして、ビブスは体の前面に貼ることが、ほぼ義務付けられます。
また、ビブスは2枚配られることもあり、その場合は、背面にも付けるようにします。最近では、計測器の軽量化に伴いビブスと一体化になっているものが多く、よりストレスレスになりました。
ビブスを装着するのに気を付けなければならないのは、必ず見える位置に貼ること。関係者や他の参加者にも、大会参加者であることをはっきりと分かるようにしなければなりません。
事前に配られたビブス(ゼッケン)は、身体の前面&分かりやすいところに貼りましょう
補給食も忘れずに!
また、フルマラソンなど2時間以上のランニング活動を継続する場合は、レース中にエネルギーを補えるものを携帯したほうが無難です。
おすすめはすぐにエネルギーに代わるもの。軽くてカロリーが高いジェルや液状のものです。脂肪分が多く固形のものは、全般的に体内への吸収が遅くなるので、なるべく避けたいものですね。
次回は、レース当日のスタートからゴールまでに起こりうるトラブル&対処法です。
著者プロフィール
内田英利(うちだ・ひでとし)
1971年生まれ。茨城県出身。日本大学卒業後、立命館大学に進学。立命館大学在学中に運動生理学などを学び、その後、米国の栄養学修士課程を経る。初心者向けマラソン&ランニング教室を開催、国内外でのレースに参加し“旅ラン”記事を出稿する中、女性や高齢者向けの生活習慣病予防プログラムの開発、生涯フィットネスに関する講演や運動指導なども行う。日本成人病予防協会認定講師。全米エクササイズ&スポーツトレーナーズ協会(NESTA)認定講師、アメリカン・ホリスティック・カレッジ・オブ・ニュートリション (AHCN)栄養学修士、健康管理士一般指導員、健康運動指導士、京都造形芸術大学非常勤講師。大相撲の元貴乃花親方との共同開発プログラム「シコアサイズ」を販売。株式会社フィットネス・ゼロ代表取締役。シェアスタジオ「コア・フォレスト」運営責任者。フルマラソン歴24年。ベストタイムは2時間45分01 秒。
・公式YouTubeチャンネル
<Text & Photo:内田英利>