アガベシロップとは。体にいい?悪い?ダイエット効果を高める使い方、はちみつやメープルシロップとの違いも
コストコなどスーパーで見かける「アガべシロップ」ですが、はちみつやメープルシロップとはどう違うのでしょうか。ダイエット中の人はその効果やメリットが気になるところ。アガべシロップは何がいいのか、使い方や危険性はないか探っていきます。
アガベシロップとは
アガベシロップの原料はアガベという植物で、メキシコなどの中央アメリカや、アメリカ南部、南アメリカなど広く生息しており約300種類以上あるといわれています。
その中でも、シロップが作られるアガベは一部のみで、リュウゼツラン科ブルーアガベを原料として作られるシロップのことをアガベシロップと呼んでいます。
ちなみに、リュウゼツラン科ブルーアガベはテキーラの原料ともなるため、お酒に詳しい方は聞いたことがある名前かもしれません。
アガベシロップは植物由来の甘味料で、砂糖の約1.3〜1.5倍の甘さがあると言われているため、砂糖よりも少量で甘さを感じることができます。
近年では、健康を意識している方にも話題の甘味料となっています。
はちみつやメープルシロップと何が違う?
アガベシロップ、蜂蜜、メープルシロップなど甘味料にはさまざまありますが、それぞれ成分や性質が異なります。
アガベシロップ
アガベを原料とした植物由来の甘味料。主に果糖を多く含み、血糖値の急な上昇を防ぐことができるため、脂肪の過剰な蓄積を抑えられる。
蜂蜜(はちみつ)
さまざまな花の蜜を原料としており、主にブドウ糖と果糖が主成分。殺菌効果のある成分も含まれているため、喉の痛みを和らげる効果があると言われている。
蜂蜜に含まれるボツリヌス菌で食中毒を起こす危険性があるため、1歳未満には与えない。
メープルシロップ
サトウカエデの樹液を濃縮して作られる。ショ糖が主成分だが、砂糖(上白糖)に比べてGI値は低く、カルシウムやマグネシウム、カリウムなどのミネラル分が豊富。
※GI値とは、グリセミック・インデックスの略で、食品に含まれる糖質の吸収の度合を示したものです。ブドウ糖を摂取した時の血中の吸収度合を100とし、GI値が高いほうが血糖値の急な上昇につながりやすく、GI値が低いほうが血糖値の上昇は緩やかになります。70以上を高GI食品、55以下を低GI食品として分類されています。
アガベシロップは何がいいの? 栄養や効果、メリット
アガベシロップの期待できる効果としては、主に3つあります。
血糖値の急上昇を抑える
1つめは、血糖値の急上昇を抑えることができる点です。
前述のように、アガベシロップの主成分は果糖となっており、血糖値を上げにくい低GI食品となっています。一般的な上白糖のGI値は109に対して、アガベシロップは21となります。
GI値が高いほど、急な血糖値の上昇につながりやすく、血液中の糖が脂肪として溜め込まれてしまいますが、果糖は血中ではほぼ分解されないため血糖値の急な上昇を抑えることができます。
その結果、過剰な脂肪の溜め込みを抑えられたり、身体の負担を軽減したりすることができます。
腸内環境の改善
2つめは、腸内環境の改善が期待できることです。
アガベシロップには、イヌリンと呼ばれる水溶性食物繊維も豊富に含まれています。
水溶性食物繊維は腸内の善玉菌を増やす効果があると言われており、イヌリンは腸内の善玉菌のエサとなります。
善玉菌が増えることで腸内環境が整い、便通改善などにも効果が期待できると考えられます。
アンチエイジングにも期待
3つめは、アンチエイジングにも関わることです。
アガベシロップには、ケルセチンやケンペロールというポリフェノールも含まれており、抗酸化作用や炎症を抑える効果も期待できます。
アガベシロップに期待できるダイエット的メリット
太りやすい原因のひとつとして、糖質の摂りすぎによる血糖値の急な上昇も挙げられます。
たとえば、お砂糖たっぷりの甘いお菓子などを食べることで、血中の血糖値が急上昇してしまいます。すると、体内では上がりすぎた血糖値を下げるためにインスリンが大量に分泌され、血中から細胞に糖が取り込まれることで血糖値を一定に保とうとします。
取り込まれた糖はエネルギー源として利用されますが、余ったものは脂肪に蓄積されてしまうため、過剰に糖を摂取してしまうことで、脂肪につきやすくなってしまいます。
アガベシロップは甘味料でありながらも、血糖値の急上昇を抑えることができるため、脂肪の過剰な蓄積を防ぐことができます。ダイエット中でも甘いものがとりたいときはおすすめの食品ですね。
ダイエット中は、甘いものを我慢してしまいがちですが、無理に我慢せず上手に取り入れることがポイントです。
アガベシロップは何に使える? おすすめの使い方
アガベシロップは淡い琥珀色で、香りは少なくクセもないため、さまざまな料理に使用できます。
普段のお料理で使う砂糖の代わりとして使用するだけでも、砂糖よりも少ない量で甘さが得られるため、カロリーオフにもつながります。
上白糖よりも1.3~1.5倍甘いと言われているため、レシピに記載されている砂糖の量から約25%減らすことで代用も可能です。
また、アガベシロップは液体で溶けやすいため、コーヒー、紅茶や無糖のヨーグルトに少量プラスするだけでもOK。
甘みも感じつつも低カロリーとなるため、ダイエット中の飲み物やデザートとしてもおすすめです。
1日にどれくらい摂ったらいい?摂取量の目安
砂糖の摂取量は、WHO(世界保健機関)によると、『1日の総摂取カロリーの10%未満を推奨』としています。
たとえば、1日1800kcalの摂取カロリーであれば、砂糖は約1800kcal=45g/日となり、さらにアガベシロップを砂糖の25%で代用できるとすると、45g×25%=約11g/日となります。
そのため、アガベシロップなら1日約11g(小さじ2弱)程度がおすすめです。
「肝臓や体に悪い」というウワサもあるけれど、危険性は?
アガベシロップが「肝臓に悪い」と言われているのはなぜでしょうか。
アガベシロップの主成分である果糖は、血中ではほとんど分解されず、主に肝臓で分解されます。そのぶん肝臓に負担がかかると考えられ、そこからアガベシロップが「肝臓(体)に悪い」とウワサされているのでしょう。
主成分が果糖であるからこそ血糖値を上げにくいというメリットもありますが、ダイエットにいいと思って過剰に摂取すると、肝臓の負担になってしまう可能性もあります。
ただ、果糖はアガベシロップだけではなく、普段から口にする果物にも含まれており、取り過ぎなければ肝臓や身体の負担になることは少ないと言われています。
過剰にならないよう取り入れるのがおすすめです。
監修・著者プロフィール
板橋瑠美
渋谷DSクリニック管理栄養士。患者さまの食事内容や生活スタイル、減量したい目的などをお伺いし、一人ひとりに合わせて無理のない食事改善のポイントを提案。我慢や制限するばかりのつらいダイエットではなく、普段の生活に合わせて健康的に減量するための実践方法を伝えている。
<Edit:編集部>