2024年7月9日

猛暑で増加中の「ペットボトル症候群」とは?医師が教える予防対策術

「ペットボトル症候群」という言葉を聞いたことはありますか?

プレミアムウォーター株式会社が行った「熱中症や水分補給に関する調査」によると、68.1%の人が「知らない」と回答していますが、熱中症対策として水分補給をするなら知っておきたい言葉です。

医師の谷口英喜先生が、ペットボトル症候群とは何か、その対処法や、適切な水分補給方法を解説します。

ペットボトル症候群とは「高血糖症状」のこと

ペットボトル症候群とは、スポーツドリンク、ジュース、清涼飲料水など糖分が多く含まれたペットボトル飲料を大量に飲み続けたり、甘い食べ物の過剰摂取によって起こる、高血糖症状を指します。

血糖値が上昇すると、糖を血管内から細胞の中に取り込んで血糖値の上昇を防いでくれる“インスリン”と呼ばれるホルモンが膵臓から分泌されます。

細胞の中に取り込まれた糖は、細胞内でエネルギーに変換されて、私たちの生命活動の原動力になりますが、あまりにも血糖値が高くなるとインスリンの分泌が間に合わなくなります。

その結果、細胞内に糖を取り込めなくなり、生命活動に必要なエネルギー源が賄えなくなってしまいます。

すると私たちの体では、エネルギー源が脂肪や筋肉にシフトされることでエネルギーが得られると同時に、ケトン体という酸性物質が多量に産生されます。

この病態が、糖尿病性ケトアシドーシス、いわゆるペットボトル症候群の状態です。

ペットボトル症候群に多い、怖~い症状

ペットボトル症候群は、激しい「喉の渇き」から始まるので、さらにペットボトル飲料を欲します。そのため高血糖となり、ケトン体の産生量が増加するという悪循環となります。

初期症状は「倦怠感」「激しい喉の渇き」、重篤な場合は、「多尿」「嘔吐」「腹痛」「意識混濁」「昏睡(糖尿病性昏睡)」等の症状が現れ、とても危険です。

ペットボトル症候群にならないために、気を付けるべきこと

1日の糖分摂取の上限を意識して食生活を送ることが大切です。

清涼飲料水には、糖分が100mLあたり10g(40kcal)程度、スポーツドリンクには、100mLあたり6g(24kcal)程度の砂糖が含まれています。

たとえば、清涼飲料水を2Lとると糖分が200g(800kcal)程度となり、1日のほぼ上限に達してしまいます。

なお、ミネラルウオーターやお茶など、無糖のものが入ったペットボトル飲料をとっても、ペットボトル症候群は起こりません。

お茶、お水、スポーツドリンク、清涼飲料水……飲み分けのポイントは?

日常的に飲む飲料としてはお水やお茶が適しています。

一方、スポーツをした後にエネルギーやビタミン補給の目的でスポーツドリンクを飲むことや、脱水症や熱中症に伴う脱水症の時に経口補水液を飲むことは問題ありません。

また糖分入りの清涼飲料水は、食事の時に料理の味を引きたてたり、おやつの時に楽しむためになど、一時的に飲む分には問題ありません。

スポーツドリンク22種類を比較!甘くない、砂糖なし…おすすめは?

目覚めてから寝るまでの間に「コップ1杯×8回」が目安

朝起きてから寝る前までにコップ1杯(150~180ml)を8回程度とると、十分な水分の摂取になるでしょう。

大汗をかいたときに限っては、塩分が含まれている飲料を摂取するのも良いでしょう。

一度に多量の水分を摂取すると尿として排出されてしまうので、少しずつ数回に分けて水分を摂取することが大切です。

谷口先生おすすめの水分補給方法は「キウイ」

私は水分補給の一つとして、キウイを1日1個食べています。

キウイには暑熱対策に必要なビタミンCや、汗から失われるカリウム、マグネシウム、カルシウムが豊富に含まれているだけではなく、食後の血糖値の上昇率を表すGI値が低いので、甘さの欲求を満たしかつ血糖値をそれほど上げません。

寝る前に摂取する水分補給としても適しています。

キウイの栄養素とメリットが“ガチで”すごい!効果的な食べ方は?1日何個まで?

また、プーアール茶、ウーロン茶、ジャスミン茶など、好きな茶葉で手作りした中国茶を常時ストックしています。

自宅で作るメリットは自分に合った濃さのお茶が手軽に作れること。その他水出しコーヒーも大好きで、自宅の冷蔵庫にストックしてあります。

おいしいお水を使うことでアイスコーヒーの味も引き立ちます。

朝のコーヒーがもたらす「思いがけない」6つの利点

谷口英喜先生 プロフィール

済生会横浜市東部病院患者支援センター長、東京医療保健大学大学院客員教授、麻酔科医師、医学博士、麻酔科専門医

水電解質管理、栄養管理、経口補水療法を専門とし、脱水症、かくれ脱水の学術論文を発表。「熱中症からいのちを守る」・「いのちを守る水分補給」(ともに谷口英喜著 評言社)の著書があり。新聞、テレビ、雑誌等でのコメントも多い。医療従事者向け生涯教育サイト「谷口ゼミ」を開講。

<Edit:編集部>