
幸せホルモン「セロトニン」を増やす運動は?なぜ体を動かすとメンタルにいいのか (3/3)
こんな運動は逆効果! セロトニン低下を招くNG運動とは
運動がセロトニン分泌によいといっても、少し注意点があります。
過度な激しい運動は避ける
ウルトラマラソンなど、長時間にわたる過度な激しい運動は、体にストレスを与え、コルチゾールの分泌を増加させる可能性があります。コルチゾールが増加すると、セロトニンの分泌が抑制されることがあります。
休息をとらないで頑張ってしまう
運動後に十分な休息を取らないと、体の回復が遅れ、ストレスホルモンが増加し、セロトニン分泌に影響を与える可能性があります。
好きではない運動、苦痛を感じながら行う運動
嫌々行う運動は、セロトニン分泌に悪影響を与えることがあります。ストレスや不快感によってセロトニン分泌が低下することがあります。
無酸素運動だけ行う
無酸素運動も健康にいいのはたしかですが、セロトニンの分泌という視点では、無酸素運動(短距離走や筋トレなど)はそれほど効果が期待できません。
1日どれくらいやればいい? 1週間の頻度と継続期間
こうした運動を、1日どれくらい、どんな頻度で続ければよいのでしょうか。
1日あたりの運動時間は「30分〜60分」
約20〜30分の運動を継続することで、セロトニンの分泌が促進されるとされています。10〜15分の短い運動を数回に分けて行ってもOKです。
1週間あたりの頻度は「3〜5回」
週に3〜5回の頻度で運動を行うのが理想的です。とくに週3回以上行うことで、持続的なセロトニンの分泌が期待できます。
最低でも6〜8週間は続けたい
セロトニン分泌を促す効果を実感するためには、少なくとも6〜8週間の継続が推奨されます。2~3か月が目安ですね。
セロトニンとはどんなホルモン?
改めて、セロトニンについておさらい。
セロトニンは、脳内で重要な役割を果たす神経伝達物質のひとつです。おもに感情の調整、睡眠の質の向上、食欲の制御、消化機能の調整など、私たちの体と心の多くの機能に関与しています。
セロトニンはどんな働きをする?
セロトニンの主な役割を見ていきます。
感情を安定させる
セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、気分や感情の調整に重要です。セロトニン分泌のレベルが高いと、幸福感や安定した気分が保たれやすくなります。
同じ神経伝達物質のひとつに「ドーパミン」があります。名前を聞いたことがある人もいるのでは。ドーパミンが分泌されると身体の興奮を促すのに対し、セロトニンは、興奮を抑制する方向にはたらきます。
感情が沸き立つドーパミン的な幸福と、しんみりと感じるセロトニン的な幸福。セロトニン的な幸福を目指すことは、人生におけるQOL(生活の質)を高めることにつながります。
ストレスを軽減させる
セロトニンが十分に分泌されると、ストレスや不安を感じにくくなると言われています。逆に、セロトニンの不足はうつ病や不安障害のリスクを高めることがあります。
睡眠の質向上
セロトニンは、睡眠を促進するホルモンであるメラトニンの生成に関与しています。日中にセロトニンが十分に分泌されると、夜のメラトニン分泌が正常化し、質の良い睡眠が得られます。
食欲コントロールや消化機能のサポート
セロトニンは、腸にも多く存在し、消化活動をサポートしています。また、食欲のコントロールにも関与し、過食や食欲不振の予防に役立ちます。
セロトニンが不足するとどうなる?
セロトニンが不足すると、次のような症状が現れることがあります。
- 気分の落ち込みやうつ症状
- 不安やイライラが増す
- 睡眠の質の低下、不眠症
- 過食や食欲不振 など
こうした状態を避けるため、適度な運動やバランスの取れた食事、十分な睡眠、日光浴などでセロトニンの分泌を促す必要があります。
どれかひとつというより組み合わせて対策することが大切です。
運動だけでなく睡眠や食事、生活習慣なども合わせて対策しましょう
今回は運動にフォーカスしてお届けしましたが、セロトニン分泌のためには睡眠や食事なども大切になってきます。ストレスも大きな要因のひとつなので、こまめなストレス解消や良好な人間関係の構築、余裕をもったスケジューリングなどを意識する必要があるでしょう。
監修者プロフィール
まくらくま(KCSセンター武蔵小杉セラピスト)
関西カイロプラクティック医学院卒業。一般社団法人KCS会員。「背骨をやさしく動かして不調を改善します。キレイな身体はキレイな脊柱から。」
KCSセンター武蔵小杉 https://www.kcs-center.com/centers/2804/
<Edit:編集部>