2025年6月18日

発達障害は見た目で判断できる?「共通する顔つき」はあるのか。専門家の回答

「発達障害って、顔つきでなんとなくわかる」そんな声を耳にすることがありますが、本当なのでしょうか?

発達障害は目に見える“特徴”で判断できるものではなく、誤解や偏見につながるリスクもある話題です。発達障害と“顔つき”に関する疑問について、2人の専門家の見解を紹介します。

ADHDは見た目だけで判断できるのか?

ADHDは見た目だけで判断できない

順天堂大学医学部の非常勤講師で株式会社土屋 顧問、千葉ロッテマリーンズのチームドクターとしても活躍する、雪下岳彦(ゆきした・たけひこ)医師は、「ADHDは見た目だけで判断することはできません」とコメントしています。

「結論から言えば、ADHDは見た目だけで判断することはできません。ADHDの診断はDSM-5やICD-11といった国際的な診断基準に基づき、問診や行動観察、スクリーニングツールなどを用いて総合的に行われます。外見や「顔つき」は診断基準に含まれていません。また、医学的にも『ADHDの人はこういう顔をしている』と断言できるような特徴的な顔つきは確認されておらず、そのような見方は偏見やスティグマ(社会的な烙印)につながるおそれがあるため、慎重に扱うべきです。」(雪下医師)

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ASDの人に特有の顔の特徴はあるのか?

ASDも見た目だけで判断できない

医療法人社団燈心会ライトメンタルクリニックの清水 聖童先生も、「診断基準や個人識別に用いるべき明確な特徴は確立していない」としています。

「科学的には、顔貌の特徴に関する研究は存在するものの、診断基準や個人識別に用いるべき明確な特徴は確立していません。一部の研究では、ASD児に軽度の顔の形態的差異(顔幅や鼻幅の増大など)が報告されていますが、これらは成人における明確なデータに乏しく、また診断目的での使用には不適です。顔つきよりも、表情や視線、社会的な非言語的行動がASDの傾向を示すポイントとされています。」(清水先生)

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<Edit:編集部>